ソングマスター


対応機種スーパーファミコン
発売日1992/11/27
価格9000円
発売元やのまん

(c)1992 YANOMAN / JAPAN ART MEDIA
戻る

ゲームボーイで「アレサ」シリーズを手掛ける、やのまんが送るスーパーファミコン向けロールプレイング第一弾!!
それが「ソングマスター」だ!

「アレサ」と同様に、ストーリー重視型の作りで、ゲームとしての自由度は低い。

ストーリー重視でありながら、イベントの演出が殆ど無く、テキストのみで描かれる。
そのテキストのレベルも全体的に非常にチープで、加えて誤字脱字がわざとやってるのかっていうぐらい非常に多い。「ず」と「づ」の使い分けを間違えていたり、町の住人の台詞は適当で、情報の与え方も下手。
町やダンジョンの地名なんか、どうやったらこんなに覚えにくい名称に出来るのかというぐらいひどい。
後、この文字サイズで、頑張って漢字で表そうとしなくていい。「武器」を「武き」など、中途半端に書かれても逆に読みづらいし、文字が小さいので、このサイズで漢字にされても何が書いてあるのかわかりにくいのだ。

メインシナリオのほうもダメで、特に序盤は、主人公の目的が、世界観の説明をちゃんとする前から二転三転するために訳がわからなくなる。

マップも似たり寄ったりで無個性で全く面白くない。いわゆるワールドマップはなく、代わりに峠や山道などの街道を通って行くのだが、どのマップも景観が同じ森に獣道が付いたようなもので味気ない。
ダンジョンもバリエーションに乏しく、かなりつまらない。構造も全然凝ってなくて、通路に都合よく宝箱が配置してあるなど、かなりいい加減な代物には呆れてものも言えなくなる。

残念なことに、バトル周りに関しても挽回できるような出来ではない。

良くあるDQのような対面式ではなく、上から見下ろした形。「移動」のコマンドがあったり、隊列でパーティの位置を設定したりできるが、これらにはゲーム的な意味は全く無い。がっかり。
とにかく、ザコ敵のHPが非常に高いので、ザコ戦闘から意味もなく時間がかかってばかりでかなりダルい。

戦闘時のインターフェイスの出来が非常に悪い。味方にコマンドが回ってきた時、画面の半分以上がウィンドウで隠れてしまう。味方のステータスやコマンドの表示位置が、見下ろし型のフィールドと全然あってないし、合わせる気もない感じ。
魔法を使った際のエフェクトも、SFCのゲームとは思えないほどヘボい。
魔法やアイテムの名称のセンスも悪い。名前だけである程度どのような効果なのかが想像できるのが理想的なのだが、このゲームは、そこら辺への配慮がない。

敵の強さや経験値の設定もちゃんとできてなくて、強い割に全然経験値が入ってこなかったり、途中の雑魚よりボスのほうが弱いなんてことも多く冷める。

基本的にレベルはサクサク上がっていくが、金や経験値の与え方は、手をかけられなかったっぽい感じ。あっという間に大金持ちになって、欲しいものはなんでも買える状態になる。

パーティメンバーの入れ替わりが多く、入れ替わりのタイミングに配慮が全く無い。そのため、この人に装備品買い与えていいものなのか、ということをまず考えるようになる。
前述のとおり、有り余るぐらいお金が手に入るので、過剰なストレスにはならないが、大した戦いに参加もしないのに、こまめに装備品を気にかけてやっても...という気持ちになる。

バランスが滅茶苦茶で、真面目にやらなくても先へ進めてしまうぐらいのいい加減さなので、そもそもゲーム自体を凝って真面目にやる必要があるのかと疑問になってしまうほどなのだ。
そこら辺に気づいてくると、段々と適当になってきて、真面目にやらなくなる。極端な話、ザコ戦闘も実入りの悪い敵だと逃げるようになる。

こうなると、もはやRPGとしてどうなのかと言う話になってくる。レベルを上げても大した強くなった感覚はなく、せっかく育てたキャラが簡単に離脱し、新しいパーティキャラが高いレベルで入ってきたりする。
装備品も、いいものが宝箱から手に入ったりすると、わざわざお店で買う必要もない。
バトルが面白いかというと、攻撃を外す確率が他のRPGと比べると高いし、挙句、消費MPの高い魔法ですら良くかわされる。
一生懸命遊ぼうとしても、このように様々な場面で茶化されるので、まともに遊べたものではない。

音楽も、音痴。まだSFCの性能をちゃんと引き出せなかったのだろう。

厳しい話ばかりになってしまったが、ゲーム全体のクオリティは、SFC一発目のタイトルであることを考慮に入れても著しく低い。
とりあえず、スーファミ向けに一本練習がてら作ってみたという位置付けの作品だったのだろう。
あてつけたようなモザイク処理や、拡大縮小の演出なんかにも、その事情がかいま見える。

おそらく、スーパーファミコンで「アレサ」シリーズを展開させるための布石だったのだろう(事実、一年後にアレサをSFCで発売している)。そこで結論。

商品化するにはあまりに稚拙。





[2016/03/11]
戻る

inserted by FC2 system