シュタインズゲート 比翼恋理のだーりん


対応機種Xbox360
発売日2011/06/16
価格5800円
発売元5pb.

(c)2009-2011 5pb. / Nitroplus
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「シュタインズゲート」のラボメン(登場人物)が繰り広げるラブコメディを描いた外伝的作品。
サブタイトルは「比翼恋理(ひよくれんり)のだーりん」と読む。

先立って発売されていた科学アドベンチャーシリーズの「カオスヘッド」のメディア展開を踏襲していたので、「カオスヘッド らぶChu☆Chu!」に位置する作品が「シュタインズゲート」でも出ると思っていたらやっぱり発売された。
「カオスヘッド らぶChu☆Chu!」の方は、安易な企画物で中身が手抜きでがっかりな代物だったから本作が発表されたとき不安になったものだが、今回はきっちり作り込まれていて、遊べるレベルになっている。

「シュタインズゲート」本編は、単体で綺麗な終わり方をしたので、こういうものを出しても蛇足になるだけだと思っていた(おまけにお世辞にもスピンオフを考えた内容とは言えない作りだった)が、どのシナリオも丁寧に作られていて、ファンディスクの目的はしっかり果たしていると言える。

1人1つ、計6本のシナリオが入っていて、どの話もおしなべてクオリティは高くボリュームも結構ある。少々ベタ過ぎるところや強引さも目に付くが、ラブコメの基本をしっかり押さえていて、かつ、期待を裏切らない展開を入念に盛り込んでいる。

不満点も言わせてもらうと、本編とは違う人間が脚本を担当したせいか、文章に違和感を感じる部分があった。書いてる人間が違うのだからしょうがないことなのだが。
あと、キャラクターの性格付けも「あれっ?」と思うところがあった。いちおう本編でシナリオ書いた人も監修で参加しているのだから、もうちょっとどうにか出来なかっただろうか。
既存のキャラクタを使ってストーリーを作らなければならないせいか、話の流れでどうしてもこの台詞を誰かに言わせなければならないが、しっくり来る人がいなかったためやむなく近い人物に当てたというようなシーンも目立ち妙に気になった。
設定を使い回して作っているため融通がきかないのだ。
それから、自分はゲームのテキストはあまりじっくり読まず流し読みする方なので、あまりこういうことに気づかないのだが、そういう人間でも、致命的なところでの誤字脱字がかなり目に付いた。
ノベルゲームは文章が生命線とも言えるゲームである。気を遣って欲しいものだ。
最後になるが、相変わらず一部のボイスがBGMに負けてしまって聞き取りにくいものがあるのもどうにかして欲しい。

システムエンジンやゲーム上の背景や立ち絵、BGMといった素材は、ほとんど本編から使い回しで作られている。特にBGMなんか新曲が数曲というほどだ。
だが、この手のゲームは、なにより脚本が面白いかどうかが根底にあるため、使い回しが大半だろうが後は演出さえしっかりしていれば許されるものだ。
元々、「シュタインズゲート」本編のインターフェイスや素材は優秀だったので、流用すること自体は何ら問題はない。

ただ、フォーントリガーの中でもメールの送受信は、仕組みが分かりづらいことが指摘されていたのか、メールのフラグ情報が視覚化され閲覧することが出来るようになったため、かなり分かりやすくなった。
今作ではルート分岐に影響しないようだが、一度見たメールがリスト化されていくので、全部集めようと言う気にさせてくれるものだ。贅沢を言えばこの辺は一発目からやっておいて欲しかった所だ。

ジャケットのイラストの雰囲気がだいぶ違ってみえるが、今回もキャラクターデザインはhukeのまま。そもそもゲーム上の立ち絵は流用しているし、一枚絵も絵柄が変わっているとかはない。
一見すると、お色気シーンが主でストーリーが従というスカスカなゲーム内容を連想させてしまうが、実際はお色気シーンはほぼ無く、飽くまでキャラクターの魅力を引き立てるストーリーが主である。
このへんもっと、うまい販促やアプローチが出来ないものかと感じたものだ。実に勿体無い。

いちおう、ゲーム上で話を楽しむための情報は丹念に与えられるが、基本的に本編をクリアーした人前提のゲームである。
ゲーム終盤のネタはうまくバラさないようにしているものの、それでも、ゲーム中盤に明かされる伏線がバラされたりする。
本編をさしおいて、いきなりこっちを遊ぼうとする人はあまりいないだろうが、これはそういうゲームだ。そこで結論。

本編が気に入った人は是非やっておくべし。





[2011/06/19]
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