シュタインズゲート 線形拘束のフェノグラム


対応機種Xbox360
発売日2013/04/25
価格6800円
発売元MAGES.

(c)2009-2013 MAGES. / 5pb. / Nitroplus
戻る

アニメでブレークした「シュタインズゲート」のファンディスク第二弾。

システム周りは、完全に流用していてシナリオだけ違うという作りなので、特に語ることはないのだが、軽く内容について触れて終わる。

前回のファンディスク「比翼恋理のだーりん」は、ラブコメ路線で固めていたが、今回は幅広い層に売りたいのか、ギャルゲー的路線は極力排除され、偏りのない内容になっている。

シナリオ数はオムニバス形式で10本(+シークレット扱いの1本)収録されていて、かなりのボリュームである。
また、今回は、シナリオ1本につき1人のシナリオライターを起用して、人海戦術の力業で作られている。そのため、個々のクオリティにバラつきは感じられるが、比較的高い完成度を誇っている。

名のあるライターを使っているのだが特に目に付いたのは以下の2人。
「シュタインズゲート」本編にも参加した下倉バイオと、KID在籍時代にinfinityシリーズを作り上げた打越鋼太郎である。

今作では、主要キャラクターを掘り下げたいという意図からか、キャラ1人に1つのストーリーが割り振られており、主人公もシナリオごとに異なっている。
今回、このような手法を初めて取ったことで、今まで持っていたサブキャラに対するイメージの崩壊が起こる危険性が生じる。実際違和感を覚えた人も出たかもしれないが、致命的に破綻していると感じる部分はなかった(このへんは好き嫌いが分かれるところだろう)。

このファンディスクに収録されているシナリオは、本編に対するパラレルワールドという意味合いで捉えたほうが良い(要するに別物と考える)。
モノによっては、本編では語られなかったストーリーが描かれているものもあるが、一方で、都合の良い設定(世界線)で作られてるシナリオも存在するため、一貫性がない。
細かいことにはこだわらないほうが楽しめる。

こうやって割りきらなければいけない時点で、いくら豪華でもファンディスクの範疇を抜け切れない点が残念ではある。
手堅く作られていて面白くはあるのだが、本編一作目に感じたような突き抜けた面白さや魅力、独自性が感じられない点も物足りなさとしては存在している。

プレイ前は、4年も前に作られた企画原案の作品を、未だに引っ張って新作を作るのは無謀だと感じていた(もちろんゲームにかぎらず、アニメや劇場版といったメディアミックス展開も含める)。
特にネットスラングの多用などは、一作目発売時点ではまだ物珍しく斬新で衝撃的だったが、当時の流行を積極的に取り入れた結果、今となっては古臭くなってないか?といった心配のほうが大きかった。
しかし、今になっても意外と色褪せず戦えているという点では、先鋭的だったといえるかもしれない。

最後になるが、ゲーム的な点で一つ付け加える。
シナリオ分岐のフラグとしてわかりづらかったフォーントリガーシステムは、今作ではフラグ分岐としての役割を完全に分離され、登場人物とのメール交換のみに留められている。
ゲーム開始時に表示されるフローチャートから、シナリオを選択するようになり、苦労する必要なく全シナリオ見ることができるようになっている。
ゲームとしてはどうかと思う向きもあるが、結局わからない人は攻略サイト等を覗いてしまうので、これぐらい親切にしても良かったのかもしれない。

複数の脚本家を使っていることで、作風がバラバラだったり、シナリオの当たり外れも気になる面は少なからずある。
また、個人的には「シュタインズゲート」の新作自体に、今更感が強かったが、概ね高いクオリティを維持していて、そこそこ楽しめた。
ちなみにプレイ時間は30時間程度。そこで結論。

力業で作られた豪華なファンディスク。豪華な割には物足りなさが気になる。





[2013/04/29]
戻る

inserted by FC2 system