シュタインズゲート ゼロ


対応機種プレイステーション4
発売日2015/12/10
価格7800円(パッケージ)/7000円(ダウンロード)
発売元MAGES.

(c)2009 2015 MAGES. / 5pb. / Chiyo st / Nitroplus
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「シュタインズゲート」のノベライズ作品3作品「閉時曲線のエピグラフ」「永劫回帰のパンドラ」「無限遠点のアルタイル」を原作としてゲーム化したもの。

これまでいくつか発売されてきたファンディスクという立ち位置ではなく、完全新作と銘打っているように、かなり力の入った作品となっている。
例えば、ゲームシステムの刷新。フォーントリガーシステムから、RINEトリガーシステムへ(RINEはLINEを模したもの)。本作の操作盤とも言える携帯電話はいわゆるガラケーからスマホに進化している。
立ち絵のバリエーション(服装)が多く、演出も強化されている。BGMも、アレンジだが全曲新しいものに差し替わっている。

ゲーム内容は、無印版では「牧瀬紅莉栖を救えなかった世界」(エンディングルート)のその後を描いたものとなっている。
言い換えると、真エンドに至るまでの(描かれなかった裏の)過程が見られるものと言える。

いきなりこの作品から遊ぼうとする猛者は中々いないと思うが、無印版をプレイしていることを前提とした内容となっている。
当然ながら、遊んでいる、もしくは、(アニメ版などをみているなどで)知識を持っていることを必要とした作品だ。

「シュタインズゲート」は、大変な人気作品となったことから、様々な派生作品が生まれ、アニメ化もされ、ゲームでもファンディスクが2本発売されるほどの展開をした。
これまで発売された2本のファンディスクと比べると、様々な場面でファンに対して気を遣った箇所があり、丁寧に作られていることがそこから伝わってくる。

これは、ここまでの人気作品となったことで、当初の想定よりも大幅に「シュタインズゲート」というコンテンツ自体が、成熟したことと言えないだろうか。
なにせ、オリジナル版が生まれたのが、もう6年も前のことになる。まさか6年にも渡って、未だに現役で、なおかつ、会社の看板とも言えるほどの規模に成長するとは、誰もが思いもしなかったことと思う。

ただ、内容的に面白いのかというと話は別で、「シュタインズゲート」のキャラと世界を使った物語としては、とても丁寧で優等生な出来ではある。
しかし、作品単体でのシナリオの面白さでは、物足りなさがかなり目立ってしまっている。

あのキャラのこんなシーンが見たい、本編では描かれる機会がなかったけど、その後どうなったのかが見たい、といった欲求には十分答えてくれているのだけども、
肝心のシナリオそれ自体については、抽象的な表現で申し訳ないが、つまらなくもないが面白くもないというところにあって、かなり惜しいのだ。

そういうファンの期待に応えるシーンは、やはりまず骨子であるストーリーが面白いからこそ際立つのであって、そこだけ面白くても、物足りなさを覚えてしまう。

「比翼恋理のだーりん」「線形拘束のフェノグラム」と比べると、テキスト、シナリオは引き締まった出来で、作風のブレのなさが痛いほど感じられる。
だが、どうにも本編を大切にしすぎて、意外性が足りないというか、そういう保守さが逆に鼻についてしまうのだ。
今作で登場する新キャラ2人の、そのおとなしさが、それを象徴していると言えないだろうか。
レギュラーメンバーを引っ掻き回すぐらいの大立ち回りを見せるぐらいの濃いキャラを見たかったというのが正直な感想だ。
「シュタインズゲート」ほど癖の強い作品なら、新しく出てくるキャラもそれぐらいしてくれないと、という期待がどうしても先行してしまう。

正統な続編を背負わせるには厳しいように思うが、ファンディスクとしては中々豪華(という表現が適切とは思わないが)という印象である。
そこで結論。

よほどのファン以外は無理して遊ぶ必要なし。





[2015/12/16]
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