対応機種 | PCエンジン(Huカード) |
発売日 | 1989/04/27 |
価格 | 6500円 |
発売元 | ハドソン |
永井豪の「凄ノ王伝説」をゲーム化。
ジャンルはRPGだ。
この頃のRPGは、ドラクエのゲームシステムを無批判に採用したものがほとんどを占めていた。
しかし、本作はなるべく新しいことをやってやろうという気概溢れるRPGとなっている。
まず、世界観。
良くある剣と魔法ものではない。超能力(魔法)によって荒廃した世界が舞台となっている。
なんというかうまく書けないのだが、永井豪特有の荒々しい作風というか、雰囲気がとても良く出ている。
あまり数は多くないが、オープニングやボス前には一枚絵のビジュアルシーンが挿入され、気分を盛り上げる。
ゲームを進め、イベントをクリアすると経験値が手に入る。
また、ボスを倒すことで成長の限界が引き上げられ、レベルの上限がアップする。
フィールドを移動する際には食糧が必要で、持っていなければ代わりにHPが減っていく(町やダンジョンでは減らない)。
勿論、昼夜の概念も存在する。
共に戦ってくれる仲間を酒場で探し、お金を払って雇う。最大3人パーティで、2人までを同時に連れて行ける。
バトルは移動や距離の概念があり、素早さに応じてターンの順番が決まり、アクションポイントを消費して移動や攻撃を行う。
ワールドマップでは、シンボルエンカウント形式で、ダンジョンでは、ダンジョンマップがそのままバトルフィールドになる。
画面が切り替わらずシームレスにバトルへ移行する形式はこの時期としてはかなり珍しい。
それを実現するためか、スクロールが少々ぎこちなくなっているのが気にはなるが...。
このように、細部まで拘って作られているのだ。
巷にあふれるドラクエ形式のRPGに物足りなくなった人にこそふさわしいゲーム内容になっていると言えないだろうか。
ただ、不満点をあげると、RPGとしてはかなりヌルいということ。
食糧のパラメータは、正直あってないような代物と言えるほど値段が安いので、ほとんど気にする必要がない。
戦闘では、銃火器とESP(魔法)が十分に強いため、剣などの近距離武器を使うことがない。
敵も味方も、攻撃範囲が近距離か全体のどちらかなので、移動して距離を取ったりという駆け引きがない。
これらは、作り手側も手探りで模索しながら制作していたのではないかと思われる。
最終的にゲームバランスを落とす(簡単にする)ことで、解決をはかったのだろうが、結果的に良い落とし所に収まったと思う。
なぜなら、これだけ新しい要素を詰め込まれて(尖ったゲームで)、ゲームとしてもシビアでは、遊べる人はかなり限られる。
むしろ、このゲームはRPGというよりは、RPG風アドベンチャーと言ったほうが正しい。
そもそもイベントクリアでたっぷり経験値が入るし、ストーリーを進めないとレベルも頭打ちになってしまう。
つまりゲームの仕組みとしては、ストーリーやイベントを楽しむような作りとなっているのだ。
その割には、テキストが弱い(説明的な台詞が多い)、Huカードなので演出も弱い、という苦しい面はある。
他にもオープニングで原作のあらすじがまとめられているが、原作を知らない人にはまだ物足りないなどといった所もある。
(このへんは、原作モノの作品を、知識なしで買う人にも問題があるっちゃあるのだが...)
だが、探索して情報を集めて謎をとき先へ進めていくという流れは非常に面白く出来ている。
全体的に荒唐無稽な作りだが、挑戦的な作りは当時は間違いなく珍しかったので、評価したい所だ。
最後になるが、BGMが非常に良い。特に音色、旋律が良い。そこで結論。
斬新な挑戦をやりながらも間口の広さを意識した作品。