シェンムー 第1章横須賀


こんなゲームがDCのキラータイトルであるならば、未来がないのは当然である。

全16章という壮大な構想があり、今回はその中の第1章の部分が遊べるのだ。

ゲームのジャンル的にはADVに近い。
町を動き回ってフラグを立てることでストーリーが進んでいく。

この際、舞台となるフィールドが昔の横須賀を再現しているのだが、
とにかくグラフィックの描き込みが尋常じゃない。
流石にそこには遠慮無く金をかけているだけはある(とはいえ当時基準だが)

ただ、現実の模写としては失敗しており、ぎこちなさが目立つ。
あんなに嬉しそうにコーラを飲む人なんか見たことがないし(まるで砂漠から帰ってきた乞食みたいだ)、
18の若者が真剣な顔でガチャガチャで人形を集めている姿も滑稽だ。
ゲームの仕様上しょうがないのだが、23:30を過ぎると、
「家に帰らなきゃな」と、強制的に一日を終わらされる。これには参った。
どう見てもいい子ちゃんに見えない主人公が、0時前には家に帰って寝るなんてのはおかしい。

これは理解に苦しむのだが、何故かアナログスティックに移動を割り振らず十字キーで移動させている。
3Dの空間を十字キーで動かすことの苦痛が分からないのだろうか?
とにかく動きが固くて、動かしているだけで辛い。

きちんと時間の概念もあり、横須賀の住人一人一人はその時間に従って動いているようだ。
流石にただの通行人にまで専用の台詞は無く(話しかけても「忙しいので」といった台詞で突き返される)、
物足りなさが漂うが、
ストーカーをしてみると、夕方には家に帰ったりと無駄なところで芸が細かい。

町の中にはゲーセンもあり、そこで遊ぶことも出来る。
ハングオンやスペースハリアーが完全な形で収録されているのは実に太っ腹である。
他にもエキサイトQTEという、ゲーム中に出てくるQTEを練習できるゲームまである。
流石にゲーム屋だけあって、ゲーセンの細かい部分までの作り込みのすごさにはあきれかえるほどだ。
正直言って、ゲーセンで時間を潰している方が本編を進めるよりよっぽど面白かったのだが、
これでは本末転倒である。

非常に残念なのは、何故か日付までカウントされており、
期日が過ぎるとストーリーの関係上か、否応なくゲームオーバーになってしまう。
せっかくガチャガチャで人形を集めたり、アイテムを集めたりといった要素があるのに
時間制限を設けてしまっているのは勿体ない。

オープニングで親父が殺されるシーンなど、壮大感が漂うのに
実際ゲームが始まると昔のADVよろしく、町の中をたらい回しされ情報集めに翻弄されるのには愕然とするものがあった。
また、ゲームの後半になると、毎日バイトでフォークリフトで荷物整理させられるのにも参った。
なんでゲームの中でまで仕事をさせられるんだという感じだ。

俺はあまり気にならなかったが、CMに出てくるヒロインの女の子はこのゲームでは全く出てこない。
確かに、そう思って昔のシェンムーの記事を読み返すと、
このゲームには入っていないシーンがいっぱい載っていた。
はっきり言って、無駄に横須賀を作り込みすぎである。
全体的なプレイ時間も短いし、話の進展も無いし、
やっと出てきた大作ゲームがこんな話のさわりをちょろっと入れた程度の内容ではがっかりだ。

異常に描き込まれたテクスチャを鑑賞するという変な楽しさはあったが、全然面白くない。
バーチャばりの格闘ゲームも入っているが、はっきりいってない方が良かったのではないかと言うほど出来が悪い。





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