天外魔境 ZIRIA 遙かなるジパング


対応機種Xbox360
発売日2006/03/23
価格6800円
発売元ハドソン

(c)1989 2005 HUDSON SOFT / RED
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天外魔境の第一作目がXbox360の力を得て、華々しくリニューアル。
15年ぶりにまったく新しく生まれ変わったリメイク内容が気になるところだ。

ようは、急いで作った天外3みたいなもんで、どーにも簡素な、手間をかけてないような印象が全体に漂っている。
スケジュールやさまざまな事情があるにせよ、作り込みが足らないことを感じさせてしまう水準は残念でならない。

システム的な部分は簡潔に、オーソドックスに立ち返っており、完全ターン制の戦闘やドラクエ式の道具システムなど、取っつきはいい。
ただし、昔に戻りすぎている節もあり、アイテムの管理が少々煩わしかったり、効果説明が曖昧な記述だったり、行き過ぎなところもある。
あと、画面が広く使えるはずなのに、どうもメニュー画面が窮屈なのは、構成がまずいのだろう。
アイテムの表示枠の狭さなんか見る限り、下手くそだなあと感じてしまう。

グラフィックは結構綺麗ではあるが、マシンパワーでの力押しではき出した映像というチープさが否めない。
キャラクタモーションは、今回は手作業で付けているのか、動きがぎこちなかったり固かったりと、残念なレベル。
せっかくイベントシーンでカメラが会話に合わせて寄って動いてくれるようになったのに、肝心の素材が出来てない。
それから、ちょっとしたことで処理落ちが起こるのはマシン性能のせいなのか、ハードの使い方が下手くそなせいなのか、非常に気になるところだ。

ストーリー構成は大胆に変更されていて、パーティキャラがしゃべるようになった事もあってかなり作家性の強いものになっている。
元々は、寡黙でドラクエ形式な内容だったから、PCエンジンと比べると違和感はあるが、時代の流れを考えると、妥当なものだろう。
でも、パーティメンバーが唐突に入れ替わるのは、ちと納得いかない気はする。

声優が一部PC-E当時と同じ人が声をあてがっていたりと、なかなか懐かしさを感じさせるところもいい。
15年も間が空いているのに、同じ人が再び担当しているってのは、何気なく凄い事である。
オロチ丸役の塩沢兼人は故人になってしまい、代役に不安が残っていたが、いい人選を引っ張ってきたと思う。
っていうか、1年前にひいこらいいながら集めてた出演声優だが、今回は普通に豪華な人たちをそろえているってのは、やっぱりコナミの力か!?

イベント時の文字表示を声と合わせてシンクロさせているのは、なかなか好感の持てるところだ。
元々PC-Eのハドソンのゲームでは、当たり前のようにやっていたことなので、これが標準になると思っていたのだが、
いちいち合わせる処理をするのが面倒なのか、文字表示と声の速度がバラバラなのが主流になってしまっている。これには、個人的にずっと違和感を覚えていたことなので、これを機に本作の手法が広がってくれると嬉しい(まぁ絶望的なのだが)。

どうもドラクエ8に影響されたらしく、カメラ視点が、見下ろし型からビハインドタイプになっている。
そうかと思えば、民家に入るとカメラ固定の見下ろし型だったりする。マップの種類によって、視点が細かく分けて3種類用意されているようだ。
この辺の整合性がまるっきりとれてないのは致命的な問題。特にダンジョンマップの見下ろし型+横方向への回転のタイプは、視点によっては物陰に隠れて全く地形が把握できなくなったり、2Dマップの感覚で作ってるせいで、かなり迷う。困ったものだ。
また、マップにしろ、パーツを組み合わせた使い回しの安い作りで、この程度なら天外3と同じく全部見下ろし型にしてくれたほうがストレスを溜めることなく遊ぶ事が出来たのだが。
ビハインドタイプのカメラ視点が、PS/SS初期かのような劣悪さで、耐性の無い人はたぶん酔う。見づらいのは操作キャラに近いってのもあるが、縦軸の高さが低く置いてあるせいのほうが正しいかも。
たとえ低めの障害物が手前にあったとしても問答無用で前側に避けるカメラの頭の悪さは、さすがに何とかしてほしかったなぁと思った。

それと、戦闘では、ヘビとガマとナメクジの3すくみ属性や、陣形、連携攻撃と、やれることが多い割に、たいした存在感がなく、無駄に複雑にしてしまった感があり。
属性の強弱関係は、どっちかというと、理不尽に多くダメージを受けたっちゅう印象しか持てなかったんだが。
連携攻撃や、召還システムも、ややこしい割に使えないものが多いので、結局単体での、普通の戦い方になってしまう。
バランスもかなり大味で、出来損ないのドラクエのような内容は、いきおい単調、作業になりがち。戦闘不能の回復手段が限りなく無いに等しいほど厳しいのもつらい。
ロード関係は快適だが、微妙にエンカウントが高いのがどうもテンポを帳消しにしている感じが。
乱数の設定がちゃんと出来てないのか、同じパターンの敵が続けて出てきたり、敵キャラクターが同ターンで同じ攻撃を繰り出したりと、冗長でイマイチなエフェクトとあいまって楽しさが見いだせなかった。
戦闘時の、リング状に表示されるコマンドは、レスポンスや見やすさなど様々なものを犠牲にしてまで、採用する利点がわからない。

要所要所の見所ではセルアニメが挿入される。天外3では、頑張って3Dで通していたのに、評判が悪かったのか統一するのはあきらめたようだ。
これは、Xbox360ほどのスペックを持ってしても原画との違和感を埋めるのは難しいというのを証明したともいえる。
しかし、主要キャラのデザインの時代錯誤もいいところな突っ張った媚びなさ加減はすがすがしくて凄くいい。こんなキャラデザインはもう二度と出会えないだろう。

悪いゲームではないのだが、どーもあまり余裕がなかったのか、ちぐはぐな箇所も目立つ微妙な残念なゲームである。
そこで、ひとつの結論。

ハード立ち上げ期のRPGは未だに危険。





[2006/04/03]
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