シーフ


対応機種プレイステーション3/プレイステーション4/Xbox360
発売日2014/06/12
価格7800円(パッケージ)/6800円(ダウンロード)
発売元スクウェアエニックス

(c)2014 SQUARE ENIX / Eidos
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一人称視点のステルスアクションゲーム。
ステルスアクションのさきがけとなったシリーズだが、日本では発売されてないため知名度はない。

「トゥームレイダー」「デウスエクス」と同様に、過去のアイドス作品をリブートさせたもの。
アイドスモントリオールの作るゲームは、丁寧な作り込みによる安定感があるが、結論から書くと、今作は、その期待を裏切られる出来映えだった。

Unreal Engineを採用しているため、このエンジン特有のクセが強く出ている。
画質がシャープ過ぎる、エフェクト、テクスチャ描画などが機械的で、質感とか空気感の演出が弱く、どことなく固い雰囲気。エリアチェンジのロードが長い。
動作が不安定で、カクツキや処理落ちが出たりする。

ステルスアクションというゲームは、作るのが非常に大変な割に、それに見合った面白さをなかなか出せない難産なジャンルである。
この辺に関しては、今作のゲームシステムは、良く出来ていて、面白いと素直に感じた。

まず、敵がプレイヤーを視認して攻撃態勢になるまで、数段階あり、気配を感じて周りを調べる(白)、人の気配を確信して詳しく調べる(黄)、警戒する(オレンジ)、
このステップを踏んで攻撃態勢に移行する。
また、影の中にいると、よほど近づかれない限りは敵に気配を悟られることがない。
そのため、完全に敵の目を盗んで移動しなければならない厳しさはなく、影を縫うように移動する、または、明かりを消して暗くする(影の部分を増やす)など、割とプレイヤーに有利なバランスになっている。

一方で、一度見つかってしまうと、その状態から立て直すのが困難なキツさにしている。
戦うこともできるが、プレイヤーの攻撃力は低く、1人倒すだけでも大変で、攻撃アイテム(弓矢やフラッシュボム)は、貴重で持てる数も少ない。
ぶっちゃけ、敢えてこの状態を切り抜けるより、やり直したほうが楽で早い。
あと、仮に見つかっても、ダッシュ移動で無理矢理走り抜けて進めちゃう場面が多いのが残念だった。
一応、鍵のついた扉(解錠に時間が掛かる)などで足止めしてるエリアもあるのだが、素通りできちゃうエリアも多い。

おおらかなゲームであるという見方も出来るが、このやり方があまりに有効すぎると、隠れながらゲームを進めるというルールが崩壊してしまうので、もうちょっと何とかして欲しかったところだ。

ゲームの中身については正直「うーん」と唸ってしまう部分が非常に多い。

まず、ストーリー。
ミステリ色が強く、個人的には、期待していた内容とはミスマッチに感じた。
登場人物の性格や人間関係、世界観の説明が少なく、ひたすら淡々と話だけが進む感じで、なんとも面白く無い。
何も考えずに楽しめる単純で、ハリウッド映画的な路線で良かったと思う。へたにストーリー的演出が多いせいで、鬱陶しく感じてしまう。

先ほどゲームルールは良く出来ていると書いたが、マップの設計や敵配置、攻略の面白さについては、自由度の高さを売りにしている割には、幅が狭い印象がある。

基本的にマップは一本道であることが多く、潜入ルートに多少色を出しているものの、2011年の「デウスエクス」と比べると、ゲームの作りとしてはあらゆる部分でどうしても劣って見えてしまう。

例えば、探索の面白さについても同様のことが言えて、「シーフ」では、値打ちのありそうな品を探して拾っていく探索要素が入っている。
しかし実態は、ただの日用品をマップ上に大量に配置しているだけで、それを隅々まで探してみつけるだけ。
大半が10G以下にしかならない安物ばかり。一応収集品というカテゴリーがあって、珍しい財宝や、世界観を描いた新聞記事や文書が存在するが、あまり魅力的とはいえない。
この辺は、「トゥームレイダー」を参考にしたのだと思われるが、ただマニュアル的になぞって作られたという感じで、集めていく楽しさが感じられず面白さがない。
「トゥームレイダー」が特別面白かったというわけではないが、マップの大きさと配置のバランスは今作よりは取れてたと思う。
「シーフ」の場合は、マップが妙に広かったり入り組んでたり、その上ステルスアクションなので、敵を排除しないとじっくり探索出来ないこともあり、相性がイマイチ良くない。

拠点となる町でも、敵が徘徊していて、ステルスアクションを強いられる。
屋根の上にあがれるようにして、楽に移動できる配慮は見られるが、それでも通り抜けるのが面倒くさい部分が多数存在している。
サブクエストを受けたり、商人からアイテムを買ったりしたいのに、マップが広く複雑だったりして、馴染むことが出来なかった。
やりすぎかもしれないが、目的地をコマンド選択制にしたり、一度行った場所にワープできるぐらいの機能は欲しかった。

最後になるが、マップパーツの使い回しが目立つのと、エリアチェンジが頻繁で、なおかつ、ロードが長い。
パーツの使い回しをダメだと言うつもりはないのだが、エリアの境界で細道に入り込むパーツみたいに、目立つ所で当たり前のように使われるとつらい。

マップの切り替わりの多さにもゲンナリした。
拠点の町は、大きいこともあって1つに収められないのはしょうがないと思う。だが、目的地に向かうのに、2回3回もエリアチェンジされるのはさすがに古臭い。
チャプターステージに入った後でも、盛り上がるイベントシーンが終わった後に、今どきありえないタイミングでエリアチェンジのローディングが入ったりする。
他のゲームだともうシームレスにつないでて当たり前の時代に、このローディングは冷める。

HPが自動回復制じゃない点や、即死トラップの多さなど、古臭い部分が多く見られた点も残念。

大々的にリブートされたものの、時代の進化に追いつけなかった印象。そこで結論。

これぞガッカリゲー(元々それほど手をかけられないプロジェクトだったのかもしれない)。





[2014/06/16]
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