TOBAL No.1


対応機種プレイステーション
発売日1996/08/02
価格5800円
発売元スクウェア

(c)1996 SQUARE / Dream Factory
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スクウェアのプレイステーション参入第一弾!!ファイナルファンタジー7体験版付き!!など、ゲーム以外の部分が話題になって、肝心のゲームがあまり話題にならなかった不遇なソフトだ。
しかも広告の仕方が悪く、鉄拳とバーチャファイターのスタッフが合体!!などと書くものだから、悪質なヘッドハンティングだ!と言われ、ゲーム画面の出来の悪さも手伝って、最悪の印象を与えている。

ジャンルは3D対戦格闘ゲーム。ただ巷にあふれるありふれたモノでは無い。この頃は3D格闘と言っても、表現技法が3Dというだけであって、ゲームシステムは2D的で、3D空間を生かしたゲームはほとんど存在しなかった。
条件付きで、手前や奥に回避するといった使われ方はされていたが、基本的に横向きで戦う「ストリートファイター」のやり方に習っていた。

しかしこのゲームは他とは違い一歩抜きん出ていた。バトル・フィールドを移動できるのである。それも前後左右に、制限なくである。
元々家庭用ゲーム機向けに作っていて十字キーで操作することを想定していたし(専用コントローラを除けば、やっと任天堂がサンディースティックを出していた頃)、基本的に「格闘」して欲しいらしく、走りまわれるってほどスピーディには動けないが、それでも当時としては革命的ソフトであった。

ゲームを作る上でフレーム数を重視した結果、ゲーム画面上のポリゴンにテクスチャーを一切貼らない生ポリゴンにしたおかげで、60フレームのなめらかな動作を可能としたが、この割り切った作りが、当時かなり不評であった。
また、フィールドを移動できるシステムといった他ではやってなかった革新的な要素を次々取り入れたものの、全体的な作り込みが足りず、コアなプレイヤーほどいい印象を持たなかった。
このゲームの最大の欠点といえば、それは地味すぎることだ。とにかくフレーム数とゲーム性ばかり追求して、派手なエフェクト等、見た目の爽快感は後回しにした結果、やり込まないと面白さが伝わってこないゲームになってしまったのである。

どういう意図で起用したのかわからないが、キャラクターデザインを鳥山明にしたのも逆効果だと感じた。恐らく、ドラゴンボール=格闘漫画=格闘ゲームにぴったり。という浅はかな考えじゃないかと思う。そもそもゲーム中のグラフィックの優先度を下げているのだから、せっかくの有名漫画家の起用も全然フィードバック出来ていない。
つーか、そもそもキャラ全般ダサい。魅力に乏しい。これだけで大減点だ。

さて、ここまでだったら「なんか新しいことやってるけど粗が目立つ凡作」止まりなのだが、このゲームの真価はクエストモードにあると思っている。
いくつか用意された3Dダンジョンを探索して、奥にいるボスを倒してゲームクリアーを目指す。ダンジョンにはトラップあり、モンスターあり、アイテムありと、ローグ系ダンジョンそのままである。
特に最後のダンジョンは地下30Fに及ぶ長いダンジョンかつ構造が自動生成式で、難易度が高い。システムを熟知して、有利に進めるよう戦略を練る必要があるほど奥深い作りになっている。
このクエストモードに限り、フィールド内を対戦モードと異なり、自由に移動できる。寧ろ、本編はこちらじゃないかと思えるほど。
ちなみにクリアすると隠しキャラが使えるようになるご褒美まで用意する徹底ぶり。

3D対戦格闘ゲームをいい意味で型破りに仕上げた、良作と言える。映像がチープなど欠点も目立つが、コンセプトが一本筋通っている結果での犠牲なのだから、そこをつつきまわすのはナンセンスだ。
格闘コマンドの入力も、他の格闘ゲームに比べると簡単な方で、遊びやすい点も評価できる。変にゲーム外の話題性だけが先行して売り方が悪かったの一言に尽きるのだが、これはもっと評価されてもいい作品だろう。そこで結論。

見た目とは裏腹に斬新さが評価できるゲーム。





[2010/09/15]
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