テイルズオブデスティニー


対応機種プレイステーション
発売日1997/12/23
価格5800円
発売元ナムコ

(c)1997 NAMCO / いのまたむつみ
戻る

SFC末期に発売され、アクション性の強い戦闘と
高い技術力、完成度で瞬く間にその評判が広がった
テイルズオブファンタジアの続編が、PSで堂々登場!!

前作では電源を入れるとすぐに流れる声つきの主題歌と
それに合わせて流れるテレビアニメのオープニングを彷彿とさせる
デモ画面には当時話題となり、自分自身も驚かされた物だった。

それを踏まえて本作では、プロダクションI.Gが制作した
アニメーションムービーがデモに挿入されている。
当時ではまだ珍しいデジタル彩色やCGを組み込んだとおぼしき場面もあり
ムービーそのもののクオリティは相当高い。
主題歌には、大物DEENを起用し、たまらん豪華さである。

ただ、それ単体に前作のようにゲーム的な驚きや工夫が無く、
力業でやってのけたといった風で、なんともその凄さに実感がわかなかったりもする。
これは気持ちグレードダウンしたと言わざるを得ない。

実際のゲームはというと、PSではこれまた珍しいフィールドマップを除き
全てドット絵で描かれたスタイル。
無理矢理ポリゴンにしてない分、いたずらに雰囲気を崩されたりすることもなく
ディスクアクセスも軽快で、プレイ感覚としてはカートリッジROMと同等である。

しかし、このゲームの困ったところは、全体的な水準もカートリッジ並で
なんだかちゃちくさく感じられる点にある。
確かに、戦闘シーンでは、処理落ち一切無しで多くのキャラが入り乱れ
派手なエフェクトを炸裂させたりと、わりと派手だし、
キャラパターンも豊富で、声はクリアーだし、色数も多いから絵も綺麗ではある。
ただ、どーもPSというハードウェアでは低水準というか、
この程度ならちょっと頑張ればSFCでも出来そうな感じなのが、
やっていて凄く気になる。

これで、戦闘シーンへのローディングもカートリッジ並なら文句は無かったのだが、
残念なことに、この一番頻繁にアクセスする箇所で、ちょっと長めのロードが入ってしまう。
しかも、エンカウント率も高めで非常にテンポが悪く、イライラさせられる。
困った物だ。

イベントシーンは、その殆どが文章のやりとりのみで進行。
絵的な演出で魅せるということをせず、印象に残らない。
音楽の切り替えも場の空気を全く読んでなく、
悲しいシーンの直後に、おちゃらけた音楽を流してみたり、淡々としてしまっている。
イベント時の文章も、なんだか分量が無駄に多く、たいして面白くないので退屈。

フィールドマップでセレクトボタンを押すと、パーティキャラの雑談がフルボイスで流れるのだが、
この数が結構な物で、しかも本編よりも活き活きとしてしまっているため、
これを積極的に聞いたか聞かないかでゲームへの印象がガラッと変わってしまうほどである。
どうせなら、これを本筋に持ってきて、イベントをフルボイスで喋らせたり
台詞周りをもっと練り込めば、もっとストーリーの出来は良くなるだろうに、勿体ない。

戦闘は、前作より融通の利く動きが出来るようになった以外に進歩が無く
敵との遭遇率が高いこともあってか、バランスはどっぷりぬるま湯で
ただボタンを連打しているだけでもたとえボスですら楽勝なほどである。
今回は全キャラ万能型で、全員が前に出てガンガン斬り付けることと、
面白い敵がいないのと合わせて、破滅的に面白くない。
メインキャラの4人は、ソーディアンという特殊な剣を装備出来るのだが、
この剣にもLVの概念があり、経験値によって成長するため
最終的にどんな武器よりも強い武器になる。
そのため、実質武器屋で売っている武器はあって無いようなものである。
(サブキャラクターがかろうじて活用する程度)

ダンジョンでは大抵難解なパズルが用意されており、
ゲーム後半の難しさは容赦ないものがある。
あまりに難しすぎたせいか、公式ホームページではヒントコーナーが開設されているほど。
独りよがりなものも少なくないため、多くの人が詰まったようだ。

どうも、開発中に内部でゴタゴタがあったらしく、
そのせいかゲームが進めば進むほど、作りが雑っぽくなっている。

音楽の出来も悪く、コンポーサーの責任というよりかは、
サウンドプログラマーの力量が貧弱という印象がある。

ナムコというメーカーは、リッジレーサーや鉄拳といった
最先端のゲームを開発している会社だが、
そんなメーカーから出るゲームとは思えないほど後ろ向きな作りで
色んな不遇が重なったせいもあるのは分かるのだが、
これはあまりにも酷すぎる。

グラフィックをはじめとした全体の作りに拘りが無く
非常にやすっぽい感じで、なんだかがっかり。

前作の出来にあぐらをかいた駄作。





[2004/03/08-2005/01/17]
戻る

inserted by FC2 system