トルネコの大冒険 不思議のダンジョン


対応機種スーパーファミコン
発売日1993/09/19
価格9600円
発売元チュンソフト

(c)1990 1993 CHUN SOFT / ENIX / ARMOR PROJECT / BIRD STUDIO / KOICHI SUGIYAMA
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入るたび構造が変わる「不思議のダンジョン」の謎を解き明かすのが目的のRPG。キャッチコピーは「1000回遊べるRPG」。

古くからPC上で存在する「ローグ」というゲームを元に、家庭用向け及びドラゴンクエストの要素をカスタマイズしたゲームである。
この「ドラゴンクエスト」という辺りが憎い。国民的RPGの世界観を混ぜ込めば、本来説明が必要な部分でも説明する必要が無くなる。多くのプレイヤーに認知されているからだ。
目新しいシステムを導入する時に、一番厄介な部分を、ドラクエだからで片づけられる。なんとも楽だし売りやすい。
勿論、ドラクエだけに寄りかかってるわけではなく、各々アイテムの説明文や特徴的なモンスターの挙動など、本編の作りもしっかりしているが、馴染みやすいという点では、最も最適な選択をしたと言える。

ただし、トルネコというキャラクターを持ってきたのは好きになれなかった。ストーリーを当てはめる時に適当なキャラがトルネコしかいなかったというオチなのだろうか。
しかし主人公が所帯持ちの親父というのはどうだろう。可愛い奥さんに「はい!お弁当!いってらっしゃい」と毎回言われるのは正直嬉しいが…。
ヒゲの生えたおっさん、おまけに商人。見た目もパッとしない。個人的に難癖つけるとしたらこの部分だ。大体トルネコというキャラクターはあまり好きではない。

それを別にしても非常に良く出来たゲームである。それはローグというゲームをアレンジした部分に対しても。

毎回入るたびにダンジョンの中身が変化する。一度負けるか脱出するとLV1に戻ってしまう。
これではやる気がでないと思うかもしれないが、シナリオの演出や段階的にダンジョンを取り替える(といっても、見た目は同じだが)等の工夫により、上手に目的意識を持たせようとしている。
最初は簡単なダンジョンで遊ばせて、次が本番という展開は実にうまいと言える。

ダンジョンから持ち帰った道具や金品を使い店を大きくするという目的によって、何度も潜り、無事に脱出する(やられると無一文で放り出される)という繰り返しによって、ゲームの腕を磨かせ、最終目的を達成させようというやり口はなかなか感心出来るところだ。
店が大きくなることで、倉庫が出来て、持ち帰った道具をいくつか保存したり、倉庫から道具を持ち込んだり出来る。つまりは、強い武器防具を持ち込んで強い状態で開始出来たりする。
繰り返し遊ぶことでプレイヤーの腕の上達と、有用な道具の持ち込みで、プレイ意欲を保たせようと言う努力が良く働いていると思う。

こういういくつかの配慮が重なって、遊びやすい敷居の低いゲーム(本来なら高いはずの)となっている点は非常に高く評価出来る。
しかし、エンディングと位置づけている部分が実は導入部で、本番はこれからという作りも憎い。
最後の「もっと不思議のダンジョン」こそが、本来のローグライクなダンジョンであり、持ち込み不可、アイテムはほぼ全て未識別状態、もっと不思議のダンジョンでやっと登場するアイテム多数など、コンセプト通り長く遊べるゲームとなっている。
エンディングまでなら、それほど難易度は高くない。だが、その分面白味も薄いとも言える。

新しい試みをおこなっているタイトルだというのに、操作形態など良く練られており、とても快適に遊ぶことが出来る。
強いて言えば、足下のアイテムを手元のものと交換したかったぐらいか。

斬新だが非常に(今日日出回っているコンピュータRPGらしからぬほどの)ゲーム性の強い内容なので、はまれる人ははまれるがそうじゃない人ははまれない好き嫌いの分かれるゲームではないだろうか。そこで結論。

発明とも言える作品だが、好き嫌いの出るゲーム。





[2008/01/26]
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