テイルズオブシンフォニア ラタトスクの騎士


対応機種Wii
発売日2008/06/26
価格6800円
発売元バンダイナムコゲームス

(c)2003-2008 NBGI / NAMCO TALES STUDIO / 藤島康介
戻る

テイルズオブシンフォニアの2年後を描いた作品、それが今作のラタトスクの騎士である。
新キャラを主軸とした全く新しい物語に期待。主題歌は元day after tomorrowのボーカル、misonoの二人三脚(最近ではバカドルとしての方が有名か?)。

この作品で新たに書き起こされたキャラクタは藤島康介ではなく、別の人間がおこなっているとのこと。
ただ、セル画やポリゴンに落としちゃうとさしたるデザインの違いはない。気になるのは瞳の色ぐらいかなー?

ストーリーは前作で、2つの世界を一つに統合し、めでたしめでたし!ではなく、文化レベルの違いから2つの世界の住民同士の軋轢が起きていて、
文化レベルの低いシルヴァラント人による反乱組織が暴動を起こしているというところから始まる。
一見すると、前作同様人種差別をテーマにしたものかと思いきや、今作で新登場の主人公とヒロインによるラブロマンスの様相が強い。
主人公は、弱気、内気、友達いないというステレオタイプだが、前に出たばっかりの「テイルズオブイノセンス」の主人公も同じ路線のキャラだったんで、おいおいまたかいとも思ったのだが、
今回のヒロインはなかなかにデレデレで可愛い。しかも動きが一々エロい。「イノセンス」のヒロインは、ただツンツンしてるだけであまり可愛くなかったんで、序盤からサービス満点の今作とは雲泥の差だ。

物語の展開としては単調になりがちな部分を、元気な旧キャラが代わる代わる登場することでごまかしている。ごまかしているという言い方がひどいが、なんというかそんな感じだ。
イベントはフルボイスでガシガシ喋るし、シリーズおなじみのスキットチャットも大量発生だし、作り手の意気込みは伝わってくるのだが、なんちゅーか中身が無い。
これだけ時間かけてこの程度かよ!という感じの話である。駄目駄目というほどでもないのだが。

一応、新規プレイヤーも意識していて、前作を遊んでいなくてもこの作品だけで独立したお話しがみれるので、楽しめないことは無い。

ゲームシステムは、目玉としてモンスターを仲間にするというシステムがあるが、テイルズってそういうゲームじゃない気がする。
モンスターを仲間にする条件も面倒くさいというかそもそもわかりづらいし、料理を食べさせて能力強化の要素にしても、一々ねこにんのところと店を行ったり来たりするのが面倒くさい。
約230匹まで仲間に出来るなんて言われても、うーん…という感じだ。
やっぱりモンスターに魅力を感じるゲームソフトじゃないと、やる気になれないんじゃないかと思う。
その点、ドラゴンクエストは意識していないにもかかわらず、モンスターすらも愛着の出るデザインにしたせいで、「ポケットモンスター」人気にあやかって「ドラゴンクエストモンスターズ」なんかで成功出来た訳だ。

その点をのぞけば、「テイルズオブジアビス」を踏襲した物になっていて、一言で書けばオーソドックスなタイプのRPGだ。

戦闘システムは、これも「テイルズオブジアビス」の、3Dフィールドを自由に動いて戦うバトルシステムを持ってきている。
ただ、操作感がかなり違う。攻撃後の硬直やピヨったときの時間が不自然に長かったり、良く攻撃が軸ずれしたりする。
対空技なんかも、妙にふわっと浮いた感じで違和感があるし、フリーラン(3Dフィールドを自由に動いている状態)のときに攻撃を受けたら必ずクリティカルというのも納得いかない。
それよりなにより、攻撃がうまくつながらなかったり、思った通りに攻撃が入らないことが多い。これだけテイルズ作っていて、これはお粗末な完成度だと言わざるを得ない。
良くバトルフィールドの端に移動してしまっていて、透明な壁に遮られることも特に多かったり、大型タイプの仲間モンスターなんかがいるとそれに操作キャラやら敵が隠れて見えなくなってしまったり、不満点は尽きない。
ユニゾンアタックもわかりやすくした、というよりも逆にわかりにくくなった気がするし、AIも頭が悪く、作戦で指示出来る項目も少ない。色々ひどい。

旧キャラもパーティに入って参戦してくれるのだが、このキャラたちが極端に強く、装備品もいじれず経験値も入らないNPC的なキャラだが、最初から最後まで頼りっぱなしになる。
存在感の薄くなりがちな今作の新キャラ2人の立ち位置がこれではさらに微妙に…。
さらに言えば、モンスター仲間システムの意義も微妙に…。

ディスクアクセスは、テイルズシリーズとしては長いと感じるが、まあ普通だ。
とはいえ、ゲームキューブ版で見せたロードの速さを是非Wiiでも見せつけて欲しかったが…。

グラフィックは、前作のようなトゥーンシェード&3等身ではなく、「テイルズオブジアビス」のリアル路線である。
そのため、旧キャラの見た目がガラッと変わってしまって違和感を感じることもあるが、おおむね再現度は高いだろうと思う。
前作と同じ世界観ということで、フィールドマップは使い回しされていると思われがちだが、全て作り直されている。
ただ、いわゆるワールドマップは廃止され、地図上から行き先を指定する仕様になっている。
これについては色々否定的な意見もあるかもしれないが、ゲームとして余計と思われる要素であればガンガン省いて欲しい派なので、テンポも良くなって良いと思う。
探索する楽しみが減るかもしれないが、前作プレイ済みであれば、また同じマップを歩くのも面倒だろうし。

まあワールドマップ廃止に限らず、町やダンジョンで従来より規模が小さくなって町だと入れない家が多かったり、ダンジョンだと崩れて行けなくしてるところが多かったり、
ムービーにしたって、オープニングエンディングぐらいで、全体的に低予算で作りたかった感じである。

イベントシーンは、フルボイスで台詞を自分で進めていく従来のものと、下に字幕が付いて完全に見るタイプの2種類あるが、後者のイベントシーンでは、モーションキャプチャーを使っているのか、動きが妙に生々しい。
テイルズオブシリーズは、アニメ的なイメージが強いと思うんで、キャプチャーに頼るよりは、手作業でアニメっぽさを追求した方がいいと思う。

操作性は、いわゆるヌンチャクスタイルのみである。
ポインターを使うのは、ワールドマップで行き先をポイントするときと、ダンジョンのギミックを解く時に使うぐらい。前者はコマンドでも選択出来るので、あまり必要性の感じないチョイスである。
まあ慣れるとヌンチャクスタイルでも遊びづらくはないのだが、十字キーが微妙に使いづらいので、従来的な要素の強いゲームだったら、クラシックコントローラにも対応して欲しかったところだ。

ゲームの方は、全体的に饒舌で長々としたイベントボイスシーンや、回りくどいフラグ立て、ボス戦になるといきなりタイトになるバランス、スキットチャットのやりとりなんか見てると、
「テイルズオブリバース」のスタッフが作ったんじゃないか?ちゅう感じがする。このチームは素直に2D戦闘のゲームを作った方がいいのでは、という気がするゲームだった(受けがあまり良くなかったとか色々事情があるんだろう)。

全体的には、旧キャラが仲間に入る割りに、そのキャラに介入出来なかったり(装備品をいじったりレベルを上げたり出来ない)、モンスターを仲間に出来るシステムが何をやりたかったのかわからなかったり、
やはり戦闘周りのレベルの低さに唖然としてしまうという、疑問点が多く残るゲームであった。そこで結論。

ファン向けとしても微妙。RPGとしても微妙。方向性がわからない。





[2008/06/30]
戻る

inserted by FC2 system