テイルズオブザテンペスト


対応機種ニンテンドーDS
発売日2006/10/26
価格4800円
発売元バンダイナムコゲームス

(c)2005 NBGI / NAMCO TALES STUDIO / Dimps / いのまたむつみ
戻る

携帯機向けとしてはシリーズ初となる本格ロールプレイングとして売り出された「テイルズオブザテンペスト」は、直前に発売延期が発表され、最終的に発売まで半年も待たされた。
DSで据え置き機の方法論でRPGを作ってきたのは、このゲームが最初ではないだろうか?
フィールドはフルポリゴン化され、イベント演出も据え置き機さながらのやり方で見せている。
(スクウェアエニックス「ファイナルファンタジー3」もポリゴンを多用していたが、やはり携帯機ということを意識した箇所が多く見られた)

ニンテンドーDSで出すということで、キャラクターデザインが幼めに設定されている。戦闘シーンも、簡略化されており、低年齢層を取り込む意図が強く見られる。
しかし、長期にわたる発売延期により、どうにも売り時を逃してしまった印象がある。

発売前の画面写真を見た段階から、ヤバイ匂いがプンプンしていたのだが、それは残念なことに的中してしまった。

ポリゴングラフィックが汚い、モデリングが雑という見栄えの悪さについては、実機で見てみるとさほどひどいものではない。
イラストレーターの「いのまたむつみ」が、ハードの性能を考えないで好き勝手にデザインしてしまったので、それを再現するのに無理があったともとれる。
この辺は、DS「ファイナルファンタジー3」では、デザイナーも三位一体となって、たとえばローブに袖を付けて、DSでも無理なく再現出来るようデザインをシンプル化したような配慮が見られないことによる弊害が大きい。

全体的に、プログラムが安っぽい、技術不足に感じる。
おそらくは、これ、最初は携帯電話向けに作ってたゲームだったんじゃなかろうか?
それをDSがブームになってきたって言うんで、強引に持ってこさせたっていう感じがする。
メニュー周りの処理なんか、携帯アプリっぽいし、タッチペンを使う料理システムとかを後から無理矢理付け足したっぽい。

特にひどいのが、戦闘シーンで、アクション性の強いテイルズシリーズとは思えないほど、出来が悪い。
挙げるときりがないのだが、動きがもっさりしている、レスポンスが悪すぎる、動きと同期がとれてない、攻撃をヒットさせた音が無い、ダメージ表記がしっかり表示されない、魔法エフェクトがしょぼすぎる、などなど。
致命的な物として、仲間AIの頭の悪さ。回復役のキャラが、回復魔法を使ってくれない時がある。これまでならば、こちらで指示することが出来たのだが、今作では術の使用を命令することは出来ない。
前衛キャラが、前に出て戦って欲しいのに、やたら間合いを取ろうとする、敵のいないところに攻撃してたりする。
これを見てると、いかにシリーズ作品のAIが優秀であったことを思い知らされる。
原因の一つとして考えられるのが、ワイヤレス通信に対応させたことにあるのではないかと思う。
でも、Wi-Fi通信に対応しているわけでもないし、あんまり仲間と協力してわいわい遊ぶような性質のゲームでもないと思うので、足を引っ張っているだけに見える。

また、最初に、戦闘シーンが簡略化されたと書いたが、これが逆効果で、通常攻撃の威力が高いので、特技を使う意味合いが無い。
そのため、ただ敵に近寄ってボタン連打しているだけで勝ててしまう。ただただ単調。作業。実につまらない。
戦闘画面に切り替わる時の暗転時間も少々長いと思う。

本編のゲーム内容は、相変わらずストーリー性の強いもので、強制イベントが怒濤のように発生する。
今回は、ワールドマップがエリアごとに分割していて、終盤になるまで、自由に行き来することが出来ない。
このワールドマップも結構広いのだが、ただ広いだけで、実際は目的地まで一本道である場合がほとんど。
最後まで、ただ決められたレールの上に乗っかって進んでいくような単調さである。

各キャラには、声優が当てられているが、イベントでは喋らずテキストのみで、戦闘のかけ声のみとなっている。

2画面の使い方もあまり良くないねぇ。やはり一番気になるのが、メッセージウィンドウの表示箇所で、
画面下にプレイヤーが表示されて、通常のRPGのようにマップを徘徊する画面になっているのに、テキストが表示されるのが上画面である。
イベントシーンでは、カメラワークでせっかく演出しているのに、台詞を追うのに、上の画面を見ることが多く、同時に下画面まで見てられない。見きれない。
おまけに、誰が喋っているのかもわかりづらい。一応、下画面で喋っている人の頭上に吹き出しが、メッセージウィンドウにも喋っている人の名前が出る。
しかし、従来のテイルズシリーズのように、普通に吹き出しウィンドウでやったほうが、わかりやすいと思うのだが。

いくつかダンジョンもあるが、無駄に広く、似たような地形が続き、その割に何もない場合が多く、探索する気になれない。
たぶん、何個かパーツを作って、それを組み合わせただけじゃないかと思う。あまりに似たり寄ったりの構造で、はっきりいって自動生成型のローグ系のゲームよりひどい。

RPGとしては、かなりボリュームが短く、10時間もかからずに終了。いや、下手に長い方が苦痛だっただろうか。

このゲームをやると、テイルズシリーズが、いかに声の出るキャラクターとストーリーに頼っているかが良くわかる。
(戦闘システムの出来の善し悪しは別にして、最終的には活き活きと喋って動くキャラクタがいるからこそ盛り上がるんだと思う)
DSで出したのは間違いだったかと。

全体的にテイルズをわかってないヤツが作ってるなーと思っていたのだが、スタッフロールを見て愕然。
どうやら、ディンプスというメーカーに制作を丸投げしてたようである。

ブランド名とDSブームに頼り切った駄作。





[2006/10/27]
戻る

inserted by FC2 system