テイルズオブヴェスペリア


対応機種Xbox360
発売日2008/08/07
価格7800円
発売元バンダイナムコゲームス

(c)2008 NBGI / NAMCO TALES STUDIO / 藤島康介
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戦闘システムが、本格的な格闘アクションの人気シリーズ、テイルズオブシリーズの据え置き機完全新作が3年ぶりに遂に発売!
対応ハードはなんとXbox360。ハード普及の牽引役として大いに話題になった。

シリーズ作品でも、ゲーム内容の系統が複数ある最近では珍しい(初期のファイナルファンタジーの奇数、偶数作品に通ずる物がある)シリーズだが、
今作はなかでも、比較的幅広い層に人気がある(と勝手に感じている)、「テイルズオブジアビス」の系譜を引き継いだシステムとなっている。というか、スタッフ一緒だろう。

等身が高い、フィールドは3D、シンボルエンカウント、戦闘も3Dで自由に動けるフリーラン採用、おたく受けしやすい藤島康介デザインのストーリー重視の内容。
ゲームキューブ「テイルズオブシンフォニア」から始まったこの路線も、3作品目にして完全に完成系に達したと言える(ジアビスの時点でかなり出来上がってはいたが)。

良く言えば安定感があり、完成された作品。悪く言えば、マンネリ化してきた作品、と言える。

これだけ長く続いているシリーズで、色々なシーンで、シリーズのお約束が出来上がっているのだが、なぜかメニューインターフェイスだけが、毎回のようにコロコロ変わる。
「ジアビス」の時は、縦一列にコマンド表記という一般的なロールプレイングゲームにかなり近いものだったが、今回は、横一列にメニューアイコンという、また独特な、かつ見づらいデザインにしてしまっている。
文字の代わりにアイコンで表示させるというのは、見栄えを気にしたせいかしれないが(Xbox360ということで海外を意識してるんだろう)、
文字と比べ、そのアイコンの意味合いを瞬時にプレイヤー(しかもより多くの)に理解させるというのは、かなり大変だ。

戦闘シーンのように、あまり画面をコマンドで覆いたくない、かつ、コマンド数が少ない場合ならば、有効とも言えるだろう(これはテイルズシリーズでずっとおこなわれているユーザインターフェイスだ)。
それにしても、選択されているアイコンがなんなのか文字でサポートする必要はある。
しかし、あまり緊急性を要さない、特にこれといった制約や束縛もない、ましてやコマンド数の多い通常のメニュー画面で安易にアイコンを使うべきでない。たとえ海外受け良かったとしても。
それだったら北米版だけでやればいいって話なわけで(DQ8のようになー)。

マップが見てくれ重視で描いちゃってるせいで、記号(RPG)の視点から見た場合、今回のフィールドマップは出来がかなり悪い。
壁に扉が描かれてるのに、そのほとんどが入ることが出来ない。透明な壁が多く、歩けるのかと思える場所のほとんどが遮られている。
人海戦術で、綺麗な一枚絵(実際には一枚絵ではない、フルポリゴンのマップだが)のグラフィックを描くことを優先したせいだろう。確かに絵は綺麗だが、ゲームとしては最低のレベルである。
見た目を優先したいなら、スクウェア「ファイナルファンタジー10」のように、レーダーマップでも付けた方がいい。

また、人件費や容量の関係もあるのだろう、町の中などゲームとして必要最小限のものしか用意されてない。
たとえば、町で言えば、民家といったゲーム進行上無駄なエリアは一切無い。ストーリー進行に必要とされるフロアのみ作られている。

テイルズといえばイベントシーンがフルボイスが基本になってきてるが、今回は珍しく声を当ててないシーンも多い。
ハイビジョン対応のグラフィックやムービーに容量を割かれて、削らざるを得なかったということなのだろう。それでも7割以上は声が入っている。
ただ、ミスなのか、声付きのシーンで、まれにボイスがない台詞が入っている。

一昔前ならDVD-ROM一枚でゲーム制作は十分と考えられていたが、Xbox360クラスになると、きつくなってきているようだ(こういった問題を抱えるのは、作り方次第で容量を極端に必要とするRPGぐらいだろうが)。
ちなみに、スクウェアエニックス「インフィニットアンディスカバリー」は片面二層ディスク2枚組だそうだ。

一通りプレイしていて特に気になったのはこんなところか。

やはり力が入っているだろう、映像面のクオリティの高さはなかなかのもので、特にキャラクタ周りはトゥーンシェード?なのか、まさにセルアニメを見ているかのようだ。
だからこそ逆に、時たま挿入されるアニメーションムービーの方が、ゲーム的に違和感を覚えてしまう。
シネスコサイズになったことで、イベントシーンのカット割りも自由に振れるようになったため、吹き出しの位置やカメラワーク、キャラの立ち位置なんかも非常に考えられて配置されており、完成度は高い。

マシンスペック上カツカツだったと思われるPS2「ジアビス」と異なり、今作の戦闘シーンは60フレームで沢山のキャラクタを軽々と動かしており、派手なエフェクトなど、豪快な出来映えである。
個人的にはNDS「イノセンス」の方が、きびきび動かせてシンプルで好き。しかし、後述するが戦略的に幅の広いこのゲームの方が作り込みでは上だろう。

発売前の体験版では、難易度の高さが話題になったが、まだまだ。個人的にはNDS「イノセンス」の方が難しかったと思う。

武器にスキルが備わっていて、装備したまま使い込んでいくとそれを習得するシステムは、有名どころだとスクウェア「ファイナルファンタジー9」のシステムだろう。
非常にバリエーションに富んだ沢山のスキルが用意されていて、スキルポイントの分だけセットさせることが出来る。
このシステムは、増加する数値にしか価値を見いだせない従来の装備品にスキルという価値を付加させることで、なるべく多くの装備品に意味を持たせようという合理的なシステムで、良くできている(このゲームが編み出した手法ではないが)。

これにプラスして、特定の素材と装備品を合成させて、さらに強力なものを生み出す要素なんかも無駄が無くていい。

逆を言えば、良い意味でシンプルだった従来作に、色々な要素を付け加えたことで、マニア向けの作品になってしまっている点である。

それは今回の戦闘シーンでもあらわれていて、オーバーリミッツ(いわゆる怒り状態である)状態でしか出せない必殺技や、攻撃を加え続けることで発生するフェイタルストライク(いわゆるとどめ技)のタイミングのシビアさ、戦闘バランスや挙動のマニアックさ。
あらゆる要素がごちゃごちゃに付け加えられたせいで、ちょいとくどいゲームになってしまっている印象がある。Xbox360という客層を考えるとこんなものなのかもしれない。

ただ個人的には、この傾向は、1990年代後半の格闘ゲーム衰退期と姿が重なってしまい、今後のこのシリーズに対して不安を抱いてしまうものであった。

ストーリーやキャラクタ、音楽なんかはこのシリーズにしては妙に落ち着いていて、あまり受けなさそうに感じた。やっぱり熱血漢のキャラがいてこそなのか。
良い意味でも悪い意味でもアクの強いものが無いのは、この手のゲームではつらいのかもしれない。

あ、ここまで全く触れていなかったが、ロード時間は早い。そこで結論。

なんだかんだ言っても良くできてます。安定株。





[2008/08/16]
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