テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー2


対応機種プレイステーションポータブル
発売日2009/01/29
価格5200円
発売元バンダイナムコゲームス

(c)2006 2009 NBGI / Alfa System / いのまたむつみ / 藤島康介
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テイルズシリーズの人気キャラクターが一堂に会する「レディアントマイソロジー」がパワーアップしての登場である。
基本システムはそのままに、随所にグレードアップを施しつつ、総勢50名に及ぶおなじみのテイルズキャラクターたちを仲間にしたがえ、クエストに挑め。

キャラクターゲームとしての楽しませ方をわかってきたのか、ねらい所とする購買層に満足出来るゲーム作りを心がけている。
バンダイと合併したこともあるのか、この辺のツボは、かなりわかってきたくさい。
前作では、使えるキャラが少なくがっかりであったが、今作では、全シリーズからまんべんなくキャラクタを収録し、隙間無く網羅している。
よっぽど偏屈な人でない限り、このラインアップで満足出来るだろう。

なんといっても、あのNDS「テイルズオブザテンペスト」からも収録されているほどの力の入りようである。

また、ヒロインでありながら、戦闘に参加しなかったカノンノというキャラが、今回は要望に応じて(?)戦闘メンバーに入っている。

このシリーズは、近年、リリースペースが急激に上がってきたこともあり、前作以上にスケールが広がり、作るのも一苦労になってきている。
元となる媒体がRPGという性質上、似たような性能を持ったキャラがどうしても出てきてしまうが、今作では、本編作品にある秘奥義のシステムを組み込むことで、個性を出そうと頑張っている。
また、使い回しを極力無くし、各キャラクターの元々の個性を表現しようという試みも評価出来る。

ただ、一部のキャラで2Dから3Dポリゴンへ起こす際に、どうしても違和感が生じてしまうキャラが出てきてしまっているのが残念に感じた。元々がやや無理のあるコンセプトなので目をつぶらざるを得ない面もあるのだが。

前作ではあくまでおまけ的な面が否めなかったテイルズキャラだったが、本作では、「好きなテイルズキャラで冒険に出かけよう!!」という意図で作られている。
そのため、シリーズファンであればこの辺のシステム変更は納得の出来と言えるだろう。

それ以外の大元のゲームシステムは、前作を踏襲している。
前作の不満点などを解消し、ゲームバランスなど改善の余地が見られる面は良い傾向だ。

戦闘システムのプログラムが大きく手直しされ、かなり遊べるようになった。
本編に負けないぐらいのクオリティをはき出しており、戦闘のテンポやレスポンスも大幅に向上している。
開発元のアルファシステムは、以前NDS「テイルズオブイノセンス」を作っていた。
今回は、この時のノウハウを生かしたのだろう。戦闘周りは見違えるようにパワーアップしている。
ゲームバランスの付け方も良く出来ていて、多少レベルが離れていても、戦力として戦えるパラメータ計算や、レベルの上がりやすさなど、事細かな配慮が見られる。
具体的に書けば、手数を重視したいわゆるコンボゲーである。レベルが上がってもあまり強くなった感触は得られないが、割と簡単にコンボを繋げられるので、爽快感はある。

秘奥義、オーバーリミッツ、NDS「テイルズオブイノセンス」にあったインフィニティジャムと、てんこ盛りの戦闘システムだが、一連の操作性が、LとRボタンだけに割り当てているのが不満。
オーバーリミッツ(いわゆる怒り状態である)になるには、Lボタンを押しながらRボタンを押すのだが、反応が悪い気がする。
また、ターゲット変更のとき、今までなら時間がとまっていたのに、今回は流れっぱなしなのもねえ。

ゲームの流れも前作と一緒。問題点も前作と一緒だ。
クエストを受けて、ダンジョンに赴き、依頼内容を達成する繰り返しだ。
相変わらず、数の割に、依頼内容のバリエーションに乏しく、作業感が強い。

ゲーム・ボリュームも膨大になり、それに伴ってクエストの数もかなり増えている。
しかし、最初から最後までやっていることに違いが無いので、かなりつまらない。
ゲームが進むごとに、ダンジョンの奥地が開放されて入れるようになるのだが、そのタイミングで新エリア向けのクエストが新しく発生する。
多くのダンジョンの場合、ダンジョン奥地へのショートカット機能が無いので、同じ場所を行ったり来たりさせられる。これは苦痛。

今回、各キャラの術技登録で、従来の登録数を1セットとして、3スロットまで設定出来て、戦闘中Lボタンで切り替えられるようになった。これは個人的に発明と思う。
これで一度の戦闘で、わざわざ設定画面に切り替えずとも、色々な技を出せるようにしている。

ストーリー性や世界観も強化され、一本のRPGとしても納得のボリュームとなっている。
かなりの人数となるテイルズキャラクターも、一人一人極力シナリオに絡ませるような努力も評価したい。

不満点といえば、かなりの人数となるテイルズオブシリーズのキャラクターの管理が大変であること。
かといって、戦闘に参加してないのに経験値が取得されていくというのも、なんともつまらないものである。
クエストの数が多く、所持金や名声がカンストしてしまうこと。これは前作と同じシステムエンジンを流用していることから来る現象っぽい。

宝箱から精霊のかけらというアイテムが手に入る。これをダンジョンのどこかにある緑色の宝箱に全部集めて調べると、パズルを解くことになる
解くことで、貴重なアイテムが手にはいるが、このプロセス自体に必然性がない。パズルシステムもいかにもとってつけた感じでテンポを悪くしている印象がある。

装備品が増えたと言うが、店で買えるものは少なく、敵が落とす装備品が多く、体感的には増えるどころか減った印象を受けてしまうこと。
装備品も、持てる数に制限があり、あっという間に持ちきれなくなってしまうことが気になった。前作はそんなこと無かったはずなのに…。
しかし今回も前作ほどとまではいかないが、装備品はださいと思う。低レベルからもっと色々遊べると良かったとも思う。

主人公=プレイヤーということで、ゲーム開始時に容姿を設定するが、前作よりも格段とカスタマイズ性が強化されている。
これをネットワーク機能を使ってサイトにアップロード出来たりする。いわゆるアバターの要素もあるということだ。

今回は、PSP本体がネットワーク接続できなければサービスを利用出来ない不便さがある。
しかも、サーバー認証後のアップロード画面は、相変わらずインターネットブラウザを使っている。専用のプログラムぐらい組んで欲しい。

前作という土台があったのか、ダンジョンの造形がだいぶ凝ったものを作れるようになり、臨場感がある。
また、音楽が良い意味でいつものテイルズっぽくない。
個人的には、このシリーズのBGMは、マンネリを感じていたので、こういう挑戦はいいと思う。

ダンジョンもクエストも増え、前作のシステムも改良され、ゲームとしては申し分ない出来かもしれない。
だが、今作は前作以上にゲーム分量が多く、ぶっちゃけ多すぎるぐらいで、とにかく単調で作業的であった。途中で何度も飽きてやめそうになったが、頑張ってクリアーまではやった。

ダンジョンの数も前作をはるかに超える数で、かなり遊べるゲームとなっている。
とはいえ、残念なことに作業ゲームの域は出ない。
前作の遺産を上手に活用している点は評価しても良い。

続編を出すなら、根本的な面での変化を期待したい。そこで結論。

前作より大幅進化、しかしやってることは同じ。秀作に限りなく近い凡作。





[2009/02/10]
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