テイルズオブエクシリア2


対応機種プレイステーション3
発売日2012/11/01
価格8380円
発売元バンダイナムコゲームス

(c)2012 NAMCO BANDAI Games / いのまたむつみ / 藤島康介
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「テイルズオブエクシリア」の1年後を描いた作品。
新たな主人公「ルドガー」と、新たなヒロイン「エル」を迎えて、別の視点から描かれるリーゼ・マクシアのその後の世界。

本作はテイルズシリーズの完全新作という触れ込みで大々的に発表されたと記憶している。
だが、蓋を開けてみれば、細部に変更点はあるものの基本的にシステムはそのままでシステムエンジンも同じものの流用。マップも既存エリアばかりで、新規に作られたマップはほとんどない。
「デスティニー2」のように、ストーリーを継承していていも、ゲームシステムが別物でゲーム的には新作というほどの力の入りようでもない。

言い換えてみれば、本作は「ファンディスク」レベルの内容なのだ。ゲームを売るためにハッタリを言わなければならない事情はわかるものの、期待させといてこれではガッカリというものだ。

簡潔に書くと、シナリオも、戦闘も、システムもどの要素も、「1のほうがもっと面白くなかったっけ?」と微妙に感じる程度の内容。

まず、システム周り。
育成ではリリアルオーブが廃止された。このFF10方式(盤上の駒を進めて好きなスキルを取得していくスタイル)は、自分のプレイスタイルや好みが反映されて、個人的には好きだったのだが、
不評だったのか、はたまた作るのが面倒だったのかなくなってしまった。

代わりに、アローサルオーブというスキル成長システムが用意されている。
今回の育成システムは、オーブを装備してエレメンタルコア(スキル経験値のようなもの)を一定値貯めると、スキルを習得していくというオーソドックスなものに変更された。
が、序盤はまだいいものの、オーブの種類が多すぎる上に個性がわかりにくく、スキルの数も多いが強烈に取っておきたいものがほとんどない。
それをパーティの人数分管理しなければならない。次第に面倒くさくなってきて、面白味もないので適当になる。

このエレメンタルコアは、フィールド上にも落ちていて、それを拾うことでも貯まっていくため(それも拾っていけば結構なポイントになる)、戦闘をしなくてもスキルが成長するようになっている。
これがまた、育成をつまらなくしている理由にもなっているのだが、エレメンタルコアも戦闘をこなさないと手に入らないようにしたら、スキルを覚えさせるのが異常に面倒になるはずである。
自分も最初は戦闘せずにポイントが貯まっていくのはどうかと思ったが、バランスとしてはとれているように感じた。

こんなに淡白で煩雑な育成システムに変更するぐらいなら、ちょっと頑張ってリリアルオーブ式のシステムをなんとか再現して欲しかった。

スキルの内容も、数だけ多くて、多くが操作系に関するものばかりで、キャラクタを強化しているという実感が薄いのも残念。
確かに特殊操作(敵の攻撃をステップで回避するなど)でTPが回復するなどの便利な動作は、うまく活用すればTPがなくなることなく気持ちよく戦えるのだが、なんとなくマニアックなスキルが多くなって地味になっている印象だ。

それに、イベント(シナリオ)によってパーティメンバーを勝手に決められてしまうのもつまらない(ムービーの関係上)。
好きなキャラをひいきに使って行きたいと思っても、自由に決められる場面がほとんどないので、結局全キャラ分見なければならないのもつらい。

続いて先に戦闘について触れる。

大きな変化はない。バトル中控えメンバーとの入れ替え出来るシステムが廃止されたのと、リンク中のAI操作を「一緒に戦え(前作のように敵を挟み込んで戦う)」「任せた」「自由に戦え」の3つから選べるようになり柔軟性ができたことぐらいだ。
あと新規要素としては、主人公が双剣、ハンマー、拳銃の3つを同時に装備できて切り替えて戦うことが出来るのと、主人公のみオーバーリミッツとは別に、キャラクタが変身して超強化されるいわゆる超必モードに入れるゲージが追加されている。骸殻(がいかく)ゲージと呼ばれている。

この超必モードが強すぎる。
パーティは変身して強化された主人公のみとなり、ダメージは受けないかわりに骸殻ゲージが減るだけ。ゲージは時間と共に減っていき0になったら終了。変身出来るようになるゲージも結構たまりやすく、すぐ変身出来る。
強すぎるために、頼りがちになる。「これは勝てない」って言う緊張感が薄れてしまっている。

大まかなゲーム構成や内容など。

新要素であるネコ派遣(ネコを各マップに派遣してレアアイテムを入手する)、借金返済、クエストは、どれも露骨な水増しのやり込み(作業)要素にしか感じられず、それ自体に面白さは全く見いだせなかった。

このゲームの構成は、序盤に借金を負って、指定された金額を支払うことで先に進めるようになる(同時に行ける場所も増えていく)。
序盤は、せっかく貯めたお金を支払わないといけないというストレスが非常に強いが、汎用的なクエストで報酬額が、支払額に応じて変化するので、お金が貯まらなくてつらいという最悪の事態にまでは陥らなくなっている。

少なくとも、マップを雑巾がけしたり、仲間のサイドストーリーを見ることで、自然とアイテムやお金が貯まるように設計されている。
しかし、この借金返済というシステムは、上記の通り、プレイヤーの足止めする目的で入れたのだと思うが、本当に必要だったのか疑問に思う。
ゲームの仕組みがわかってくる前の最初の数時間においては、「なんて意地悪なゲームだ!」と思うこと必死。もっと良いアプローチはなかったものかと思う。
ネガティブな内容ではなくポジティブな内容で足止めするなど、やり方はあったはずだ。

ストーリーは、メインチャプターと各キャラクタごとに用意されたサブストーリーの2つに分かれている。
メインチャプターは借金を規定額返済しなければはじめることが出来ず、その合間にサブストーリーが発生する(ワールドマップにアイコンが表示されるようになる)。

で、このゲーム。最初に「ファンディスク」と称したのはここにあって、実はこのゲームのメインは、メインシナリオではなく、前作キャラとのエピソードが描かれるサブストーリーではないだろうか。
どう考えても、力の入れ具合が、というか、おそらくメイン購買層だろう人たちが喜ぶのはこっちであって、新キャラを主軸に据えた無難な王道ストーリーのメインシナリオより、見知った(前作で気に入った)キャラクタ同士のサブイベントのほうがやってて楽しいはずだ。
そのために都合が良い、わざわざパラレルワールドの設定を持ちだしたりしたのではないかと思ってしまうほどだ。

個人的には、メインもサブストーリーも無難な仕上がりで、面白さを感じられるところはなかった。
それに、前作のファンディスクとしては、どのキャラも変わりすぎててがっかりするところが多い。逆に悪い意味で変わってないキャラもいたりするが。
無理に、変えようとして失敗してしまっている節がある。

それから主人公。テイルズシリーズでは珍しく、主人公=プレイヤーの図式で描かれている(ムービーでは台詞がなくほぼ全く喋らない)。
頻繁に二択の選択肢が挿入されて、受け答えによって、キャラクタとの親密度が上昇するようになっているが、基本的にストーリーは一本道である。
このゲームのメインシナリオの内容を考えれば、この図式で描くことに間違いは無いと思うが、テイルズシリーズは今までずっと主人公もガンガン喋る形式のゲームだったので、かなりの違和感がある。
いまさら、ドラクエタイプを目指して、主人公に感情移入してもらってゲームの世界との一体感を味あわせたいという配慮は、逆に仲間の台詞が押し付けがましかったり、時代遅れっぽいところもあり、残念ながら失敗していると感じた。
全く喋らせないからゲームの世界にその分入り込めるという思想はちと古いのではないだろうか。

言っちゃ悪いが、「FF13-2」を見ながら、横で似たようなモンを作ってたって感じのゲーム。ま、昔っからいつものこのシリーズのやり口ではある。
問題なのは、真似しようが面白いかどうかであって、肝心の面白さに関しては、シナリオ、ゲーム、どの要素も微妙と言わざるをえない。

FF13-2と同様に、パラレルワールドという設定を用いて、既存マップを見事に沢山使いまわしているが、使い回し方が凄く下手。
FF13-2では光源設定を昼から夕方にしたりしてごまかしていたが、こっちは手前にセピアのフィルタをかけただけというぞんざいなやり方。

また、ストーリーも前作をプレイ済みであることが前提で作られている。そのため、タイトル画面から前作のあらすじをダイジェストにしたムービーを見ることが出来る。
自分は、ほとんどやった記憶がなくなってしまっていたが、わざとおさらいムービーを見ないでプレイを開始した。すると、最初話についていくのが結構辛かったので、前作をプレイしてない人には楽しめないゲームだと感じた。

前作の「テイルズオブエクシリア」では、シリーズの慣習的な要素を一新して、新しい挑戦をしてきたことを評価した。
だが、その続編はどうかというと、全く進歩の見られないファンディスクレベルのものになっていて、今回のゲーム内容については落胆せざるを得ない。というか、最初からファンディスクとして売ったら売れないから、ちょっと金かけて豪華にして新作として沢山売りたかったのだろう。
そのやり方は間違ってないが、このシリーズにかなりがっかりさせられたのは事実だ。

最初に謳っていたシリーズ完全新作の看板には程遠い内容。客を舐めるのも程々にしたほうが良い。そこで結論。

前作(のキャラ)が好きな人向け。それでも、個人的にはイマイチでおすすめできない。





[2012/11/10]
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