シアトリズム ファイナルファンタジー カーテンコール


対応機種ニンテンドー3DS
発売日2014/04/24
価格5800円(カード)/4800円(ダウンロード)
発売元スクウェアエニックス

(c)2014 SQUARE ENIX / indieszero / SAS ENTERTAINMENT PRODUCT
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口コミで評判となった「シアトリズム ファイナルファンタジー」のグレードアップ版。
26作品の中から怒涛の221曲を収録!超豪華、愛蔵版とも言えるべき特大ボリュームとなっている。

ただ曲を追加しただけで終わりではなく、前作で指摘されていた問題点が改善され、全体的に遊びやすくなっている。
前作は、まだ音ゲー制作のノウハウがないせいなのか、ゲームシステム的にこなれていない部分が多く見られたが、今回は、そういった部分が洗練され、無駄のない作りとなった。

具体的にどういったところが改善されたのかを軽く述べる。

タッチ操作オンリーだったものが、ボタン操作にも対応し、操作性が良くなった。
これは、音ゲーパートでも対応しており、どうしてもタッチ操作が馴染めなかった、合わなかった人に対する救済策としてボタン操作でも遊べるようにしたのだろう。
単純に、タッチパネルとボタンの両方に反応するようにできているので、両刀使いでプレイすることも出来る。
ただ、元々タッチ操作を前提に作られたゲームであるため、究極譜面(最高難易度)をボタン操作で遊ぶのは、ちょっと大変ではないかという気はする。

しかし、メニュー画面のボタン操作は、もともとタッチ操作だったものに、ボタン操作を対応させたような後付け感があり、カーソルの挙動や操作性に違和感を残すところが多い。
タッチ操作オンリーだった前作と比べれば、遥かに快適になったと言えるのだが、せっかくボタン操作にも対応させたなら、ボタン操作での快適さももっと徹底して追求して欲しかった。
慣れれば、これはこれで不便とは思わないレベルではあるのだが、癖のある独特の操作に、はじめは眉をひそめるばかりだった。

画面構成やインターフェイス、演出面も見直され、見やすく遊びやすいことを心がけた改良が施された。
全体的に華美な装飾、演出が目立っていたのだが、譜面を見やすく、プレイヤーの邪魔にならない程度に演出周り、譜面の表示の仕方が、細かいことだが直されている。

個人的には曲数が多い以上にこれが一番大きかったのだが、ゲームシステムが整理され、無駄がなく綺麗にまとめられている。
前作は、「シリーズ」と「チャレンジ」、「カオス神殿」の3つのモードがあったが、「シリーズ」「チャレンジ」は、内容的にこれといった差別化がされてなくて、わざわざ2つに分ける意味がなかった。
「カオス神殿」は、難しい譜面をプレイして強敵を倒し、レアアイテムや隠し要素をゲットするRPG的面白さを入れたかったのだろうが、いかんせんマニアックすぎること、ゲームバランスが渋すぎて、楽しいといえる内容ではなかった。

他にも、アビリティを全て外した状態でクリアしたらスコアボーナスが入るとか、クリティカルバーを埋めるためには、譜面分岐の所で、失敗した方の譜面に入りたいためにわざとミスしなければいけない仕様など、ちょっと煩わしかったり、音ゲーとしてこれはどうか?という仕掛けがかなり多かった。
こういった音ゲー的にちょっと不条理さを感じさせる部分を今回は全撤廃している。逆に、難しい譜面を、強いキャラクターを連れて行ってクリアするなど、プレイヤーに有利に働いている部分はそのままに残している。

今回のメニューモードは「ミュージックセレクト」「クエストメドレー」「バーサス」の3種類。

「ミュージックセレクト」は、文字通り、好きな曲を選んでプレイできるモード。
前作は遊べる曲を増やすために結構なやり込みが必要だったが、今回はチュートリアルを終えた段階で収録曲をほぼ全曲選べる気前の良さである。
数曲は、シークレット扱いで、リズポを一定数集める必要があるが、それらはボーナストラックという位置づけと思ったほうが良い。

「クエストメドレー」は、前作「カオス神殿」に近い意味合いを持つモード。
ランダム生成されるマップで、マスごとに設定された曲をクリアしながら先に進めていく。
一本道ではなく、途中で2つから3つに道が分岐していて、自分で道を選択したりする。

最奥にいるターゲットボスまでにいたる道中には、様々なイベントがあり、良いアイテムをくれるでぶチョコボのいるマス、中ボスがいるマス、通過すると失敗してもそこからやりなおせるチェックポイント(エーテライト)があるマスなど。
ただ示された曲を連続でプレイして終わりではなく、RPG的要素が強く“冒険している感”がとてもよく出ている。
フィールドマップでは、減ったHPをポーションで回復させたり、譜面の難易度を下げるラッキースフィアというアイテムを使えたり、曲自体を変更できるアイテムまであったり、攻略の自由度が比較的高い。

主だった報酬は、隠しキャラを獲得するために必要なクリスタルのかけらで、これはボスを倒しさえすれば、確実に手に入るようになっている。
前作はこの辺がマゾくて、やる気が起こらなかったが、今回は、あらかじめ何のクリスタルのかけらが何個手に入るか地図情報に載っているため、集めやすくなっている。

今作では、この「クエストメドレー」で配布される地図をプロフィカ(ゲーム上の名刺のようなもの)に添付して、すれ違い通信などで相手に渡したり、もらったり出来る。
すれ違い通信は敷居が高いと思われるかもしれないが、今回は後述するが、「バーサスモード」でネット対戦をした相手とも、プロフィカを交換できるようにしており、一応は出来る限りのフォローは行なっている。

「バーサスモード」は、2人で同じ曲を同時にプレイしてスコアを競う対戦モード。
CPU戦、ローカル戦、ネット対戦の3種類用意されている。

いわゆる、音ゲーの一般的な対戦モードに近い内容で、譜面を見づらくするなど相手を妨害する要素が入っている。
ただ、究極譜面で対戦する場合のみ、妨害機能をなくしたフェアな対戦が出来るようになっている。

このモードは、インターネットにも対応しているところがポイントで、対応したことで対戦相手に困らない点が良い。
しかし、オーソドックスな対戦モードを作るよりは、ゲームの題材的に、協力プレイをテーマとしたほうが、ゲームに合ってるように感じた。
どちらかと言うと、「クエストメドレー」で自分の欲しい地図(良い報酬がもらえる地図)を添付してくれる相手とマッチングすることがメインになっていて、対戦がオマケみたいになってしまっている。
それだったら、相手とゲームで競い合うんじゃなくて、協力プレイするような内容のほうが、勝ち負けを争うより、間口が広まって良いと思う。

また、「だれでも」で対戦した場合、プロフィカは強制的に交換されるのに、対戦相手とフレンド登録したりみたいな接点が一切持てない。
これは、3DSの所持層を考慮に入れて、対人トラブルを防止するための措置なのかもしれないが、ただ対戦するだけでコミュニティが広がっていかないというのは、なんとも勿体無いというか、つまらない。

そして最後になるが、やはり収録楽曲の圧倒的豊富さに尽きるだろう。
前作の有料追加コンテンツ、iOS版の下地があってこそなのだろうが、それにしたってこのボリュームは凄い。

前作は、ちょっとやってすぐ飽きてしまった。
理由としては、ゲーム全般こなれていないのもあったが、収録曲が少なく、本当に定番のものしか入っていなかったというのがでかかったと思われる。
当時の採用ROMのせいだったのか、収録できる曲数を削らざるを得なかったらしく、さらに、ナンバリング作品で、バトル、フィールド、イベントなど、優先して入れていった結果、無難でありきたりの内容にならざるを得なかった。

それに比べて今回は、派生作品や外伝作品、出たばっかりのFF14にライトニングリターンズまで、幅広く取り揃えており、思い出に浸らせるには十分過ぎるクオリティへと変貌した。
その徹底ぶりがとにかく凄まじく、ゲームキューブの初代「ファイナルファンタジークリスタルクロニクル」、「ファイナルファンタジータクティクス」、「ディシディア ファイナルファンタジー」「ファイナルファンタジー零式」。
「チョコボの不思議なダンジョン 時忘れの迷宮」と、レトロゲームからは「ミスティッククエスト」を取り上げるほどで、その他には「FF7」の派生作品で「クリスタルコア」と「アドベントチルドレン」まで。
とにかく、あらゆる角度から隙間なく収録しているのが今作の最大の売りで、まず“入っていて欲しい曲はたいてい入っている”という状態を作り上げている。

そのうえで、演出強化もぬかりなく、選んだ曲に対して、きちんと背景が曲に合わせたものに反映されている。
ちゃんとFF14のザナラーン砂漠が出てきたり、発売したばかりの「ライトニングリターンズ」のユスナーンの町並みの景色がしっかり再現されている凝りっぷりには驚かされたものだ。

新規で収録された作品は、FFマニアでないと中々わからないような作品ばかりといった印象は拭えないが、
ナンバリング作品で有名なものだと人気に比例して扱いも良く、そういう作品からは10曲から15曲程度収録されているので、物足りなさは出ないと思われる(マイナーな作品だと少なくて、2曲から5曲程度しか入っていない)。

個人的には、収録作品の元ネタをほぼ全部知っているため、どうしても一般的な目線でこのラインナップを見ることは出来ない。
そういった視点で語ると、あまり有名でない最近のFFシリーズの派生作品でも、偏りなく頑張って収録しているというのは、高く評価できるところだ。
そして知りうる限り、そういった作品から、これは名曲だと感じられたものを、外すことなくしっかり持ってきている。

基本的に改善一点張りの作りではあるが、今回でも感じた不満点を述べる。

リズポのシステムが好きじゃない。
1曲やるごとにポイントが加算されていって、500ポイントごとに、特典が手に入る。
大体1回100ポイントから200ポイント、うまくやれば安定して150ポイントもらえるので、4,5曲ごとになにかしらがもらえる計算だ。
最初は嬉しいのだが、やってもやっても特典をコンプリートできない。
今回は曲数も多くボリュームがあるから、やることなくなって飽きたって言う作業的な状況には中々陥らないのだが、相当量リズポを溜めても、プロフィカに使える通り名の称号や、成功音が全て揃わない。
中盤ぐらいまでは問題にならないのだが、こういうランダム報酬制を採用していると、終盤になると煮詰まってきて、段々とやる気が削がれてしまう。
揃わずにやめてしまってもいいのだが、せっかくだからフルコンプリートしたいと思っていても、なんだかすっきりしないまま終わってしまう。

あと、コレカ集めも異常に辛い。全種類集めるだけでも大変なのに、1枚に付き、ノーマル、レア、プレミアの3種のカードが存在する。
きつい、大変、マゾなのを完全否定するわけではないのだが、これだけ集めるのが大変だと、ローカルだけでもいいから、ポケモンなどのように交換機能を入れて欲しいように感じた。
1人で集めるのが大変だからこそ、協力して集めるシステムを入れることで、面白くなると思うのだが、どうだろうか。

クエストメドレーは面白いが、1つクリアするのにちょっと時間がかかる。
ショート、ミドル、ロングの3種類あって、短いショートでも、それなりに時間がかかる。
ロングともなると、1つクリアするのに30分くらいは覚悟しなければならない。中断して別のことも出来るし、飛空艇乗船パスを使ってショートカット出来る手段も用意されているが、ただのわがままではあるがなんとかして欲しかった。

ゲームに参加させるパーティメンバーを決めるシステムが煩雑。
使えるキャラ数が多すぎることや、レベルが上がるたびにセットできるアビリティをチェックしなければならないことなど、メニュー周りの操作性の悪さや見づらさもあって、非常にストレスが溜まってしまう。
前作は装備したアビリティを記憶させる機能があったが、パーティ単位で記憶できる機能が欲しい。ボス撃破用、レベル上げ中パーティ、レア狙いパーティなど、手動でいちいち切り替えるのが本当に面倒くさい。

この煩雑さに加えて、レベル初期化というシステムまで組み込まれている。
LV99のキャラをまたLV1に戻して、育てなおせるシステムだ。見返りとしてアビリティをセットするのに必要なCPが一定数プラスされる。
比較的レベルが上がりやすく、すぐカンストしちゃうために入れたものだと思うが、今作は手に入れたコレカを消費してステータスを上げたり、自力では覚えないアビリティを覚えさせるアイテムが用意されていたりして、
カンストしても十分キャラ強化できる余地が残されていて、わざわざレベルリセット制を採用することのないように作られている。

ないよりはあったほうが良いという理論はわかるが、これだけ選択肢があるなかで、敢えて入れる意味はあったのかという結論にたどり着く。
使えるキャラが少なくて、少ないキャラから厳選する意味合いとしてのレベルリセットは重みがあるのだが、これだけ人数が多いと、レベルリセットするメリットがあまり見いだせない。
育て直したら強くなるキャラよりも、そんなことをしなくても使えるキャラのほうが圧倒的に使えてしまうからだ。

「バーサス」のCPU戦がつまらない。
元々対人戦用に作られたモードだからしょうがないのだが、CPU相手だから簡単にクリアできるならまだしも、究極譜面妨害ありの後半以降は、下手に人相手に対戦するよりも難しい。
一度でも負けたらやりなおしで、ランキング1位を目指していくという勝ち続けシステムを採用されているのも、負担が大きい。

ムービーを見ながら譜面を叩いてくEMS(イベントミュージック)が、思い出にひたる形だけの存在で、イマイチ埋もれてしまっていること。
それ自体は悪くないのだが、一回プレイすればもういいやという感じになる。クエストメドレーにも曲候補に入ってこないため、プレイ機会が本当にないに等しい。
前作はFMS(フィールドミュージック)が、譜面がBMS(バトルミュージック)と比べると緩めで物足りなさがあったのだが、今作では、上下に激しく揺れるホールドなど、歯ごたえのあるものに改良されているのに、EMSにはそういうテコ入れが見られなかった。

タイトル名から連想したゲーム内容が、曲を追加しただけで、ちょっと手直しした程度の安直な焼き直し版と思って全く期待していなかったが、とても気合いの入った作りで、正直驚いた。
はっきりいって、2を名乗っていいぐらい色んな所で改良や進歩を遂げている。というかこれで「カーテンコール」という題目なら、2を出すのがとてつもなく大変になる。
仮に次の作品が2になるのかはともかく、実質的にこの「カーテンコール」が2といえるほどの内容を持った作品であるというのは事実として既に存在している。

次を出すのだとしたら、「シアトリズム スクウェアエニックス」といったほどに、規模を膨らませなければ、もうFFシリーズだけでは出し切れない状態ではないかと思う。
なんにせよ、今後のシリーズ展開がどうなるのか、気になるところだ。そこで結論。

前作の不満点、未完成だった部分を大体解消した、完全版ともいうべき作品。





[2014/04/30]
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