罪と罰 地球の継承者


対応機種ニンテンドウ64
発売日2000/11/21
価格5800円
発売元任天堂

(c)2000 Nintendo / TREASURE
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「ガンスターヒーローズ」のトレジャーが放つ、コテコテのアクションシューティングが「罪と罰 地球の継承者」だ。
トレジャーのアクションシューティングというだけで、期待が高まる!!完成度はいかほどか!?

3D空間を生かしたゲームデザインで、画面の奥へ向かって強制スクロールしていく、ベルトスクロール式のシステムを取っている。
画面奥へ向かうだけでなく、突然トップビューの視点になってみたり、はたまた、サイドビューのジャンプアクションをやらせてみたり、統一感のないステージ構成である。
しかし、この破天荒な作りが、良い意味でメリハリのあるゲーム展開を生んでいて、非常に面白い。敢えてゲームの型にはまらない、型破りなゲームで成功している数少ない例だと思う。

操作は非常に複雑で忙しい。3Dスティックで照準を動かし、Zボタンで攻撃。Cスティックの左と右でプレイヤーを動かし、Rボタンでジャンプも出来る。
こうやって敵の攻撃を避けつつ、応戦していくのだが、突飛な操作形態にはじめは誰しもとまどうだろう。
序盤こそ、敵を狙うだけ、避けるだけ、といったように、特定の行動に専念出来るように作っているが、ある程度進んでいくと、全てのアクションをフル活用することを求められる。

なお、特殊アクションも数多く用意されている。近づいた敵を斬りつける「ソード」(近寄った敵に対してタイミング良くZボタン)、ミサイルなど特定の弾を跳ね返す「カウンターアタック」。
Cスティックで左か右を素早く2回押すと、押した方向へローリング(緊急回避)などである。

非常に難しそうなゲームだが、アクションゲームの楽しさの基本とも言える「何度もプレイして上達する喜び」がダイレクトに実感出来るまれなゲームだ。
これは、一見理不尽に見えるゲームバランスも、やり込んでみるとそうでもないという絶妙のさじ加減から来る物と思う。
何回も遊ぶことで、対処法が必ず見えてくる。その繰り返しが実に面白い。

ステージ構成も、非常にハチャメチャで、無駄に派手で気持ち良い。3Dアクションシューティングということで、カメラワークも凝っており、臨場感の演出も素晴らしい。
まるで、コナミ「魂斗羅」が3Dになったかのようだ(ま、作ってる人が一緒だからだけど)。

けっこう、ストーリー設定なども凝っているようだ。合間にデモムービーが流れる。
しかし、ゲーム内だけでは、はっきりいって説明不足で、何を訴えたいのか良くわからない。
逆に、一からウダウダ長台詞で語られるのもうざったい。これはアクションシューティングなのである。シナリオムービーが売りでは無い。
寧ろ、突拍子もないステージ構成をつなげるために、作ったかのように見える。このゲームが主で、ストーリーが従というゲームの作り方は、あくまでゲーム作品であるという目的を忘れていなくて良い。
全部とばしてゲームだけ遊べるのもわかっている。

昨今は、綺麗なビデオムービーを見せることを覚えたゲームメーカーが増えたなか、きっちりゲームとして作り込んでくる姿勢は、それだけで評価出来る。
とはいえ、本作はおまけと言えるイベントムービーのクオリティもなかなか高く、手は抜いていない。

トレジャーの得意とする「アクションシューティング」は、いかんせんストイックなジャンルとして遊ぶ人を選ぶものになってしまっている。
本作も残念ながら、退廃的でSFチックな世界観は、例に漏れず取っつきにくいイメージを生み出している。
しかし、このゲームの販売は任天堂なのである。とうぜん、厳しい任天堂チェックを受ける。そのチェックのおかげで、万人にもじゅうぶん遊べる配慮がなされている。

説明書いらずの、トレーニングモードでの操作方法の説明&練習、そして、照準をオートで合わせてくれる射撃モードの搭載。但し、オートモードの場合、攻撃力が落ちるため、最終的には自分で狙う腕を磨く必要がある。逆にこのオートモードを活用した方が良い局面もある。
また、初期設定では、難易度が「イージー」に設定されている。自分は「ノーマル」にして遊んだが、慣れないうちからノーマルモードのクリアを目指すのはやはり厳しかった。クリア後、イージーモードをプレイしてみたが、かなり楽であった。
まず「イージーモード」から遊んで欲しいということなのだろう。「ノーマル」と違って、そこまで厳しくない。エンディングまでなら、すんなり到達出来るだろう。
逆に、ゲーム慣れした、この手のものを好んで遊ぶゲーマーなら、いきなり「ノーマル」でも問題ないだろう。

ノーマルモードをクリアすると「ハードモード」が追加される。ノーマルやハードをクリアするとどうやらオプションモードの項目が増えていくようだ。
ただの自己満足で終わらず、こういう抜け目ない作りは、さすが任天堂と言えよう。

到達したステージは、ステージセレクトで個別に練習出来る。これは嬉しい機能だ。
ただ、このゲームは1ステージが長いので、中間ポイントから選べる機能が欲しかった。
また、重箱の隅つつきでしかないが、ローリングの操作が若干やりづらかったのが気になった。

マニアックなジャンルのゲームも、任天堂の手にかかれば、誰でも遊べる、それでいて奥の深い飽きの来ないゲームに仕上がる。さすがといったところだ。そこで結論。

難しいけど面白い。これぞゲームの神髄。





[2009/10/22]
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