トラインザロストレリック


対応機種プレイステーション3(PlayStation Store)
発売日2010/03/31
価格2400円
発売元スクウェアエニックス

(c)2010 SQUARE ENIX / NOBILIS / FROZENBYTE
戻る

フィンランド生まれの骨太横スクロールアクションRPGとなる本作。
ダウンロードコンテンツながら、良く描き込まれた美麗グラフィックやボリュームあるゲーム内容となっている。

盗賊、戦士、魔法使いのキャラ特性を使い分けてギミックを攻略していく、良くあるタイプのアクションゲームだ。
盗賊は、弓で遠距離から攻撃し、ワイヤーアクションで地形を軽々と乗り越える。
戦士は、盾で敵の攻撃をガードし、高い攻撃力で障害物を破壊し、接近戦を得意とする。
魔法使いは、攻撃能力は持たないものの、足場を作ることが出来る。作ったブロックを敵に念力で動かしぶつけることで、一応攻撃することは出来る。

グラフィックはフルポリゴンで、記号的な観点から見ると、どこに何があるかわからないような所はあるものの、横スクロールアクションのシステムを踏襲しているので、プレイヤーを混乱させることなく遊ぶことが出来る。
スイッチを探して扉を開けるなどのフラグ立てはあるものの、基本的に右へ進むという「スーパーマリオブラザーズ」から続く文法を守っているので、昨今のゲームボリュームを出そうと欲をかいて複雑な構造にする横アクションゲームと比べると、基本的に一本道だし、ストレスを与えることは少ない。

ただ、若干マップ構成がこなれてない部分があり、たとえば足場から落ちてしまうと実質抜けるのが不可能な針山に放り込まれて、死ぬのを待つだけの場所があったり(穴に落ちて死ぬという概念もあるので、シビアな印象を与えるかもしれないがそっちの方がまだイライラしない)、ダウンロードコンテンツという媒体を取った宿命だろう、ザコキャラが実質一体、ボスキャラは2体のみと寂しい部分もある。

リアルな物理演算を売りとしているが、これは海外ゲームの欠点と言える。
不安定な足場を渡る時などに、挙動が読めないのである。敢えて、単純にしてしまってくれたほうが、わかりやすくて良い。変に難しくしてしまっている気がする。

ロールプレイングの要素もあり、経験値を溜めてレベルアップもする。ステータスが上がるのではなく、割り当てられたポイントを使ってスキル(アクション)を強化していく感じだ。
敵を倒しても入手出来る(但しステージごとに上限値があるようだ)し、マップ上に配置されているものを取っていく2つの方法がある。

3Dポリゴンということもあり、若干大味なところはあるが、洋ゲーにしては、しっかり作り込まれていて、かなり楽しめる。
個人的には任天堂「スーパードンキーコング」を思い出した。あれほどスピード感のあるゲームではないが。

ストーリー設定(展開ではない)も、システムとマッチしていて中々面白い。キャラクター設定も、才能はあるが落ちぶれた3人という作りがいい。
ただ、日本のゲームではおきまりのボス戦闘がなかったり(一応あるにはあるが中ボスといった所)、キャラクターデザインなどが日本受けしづらいといった要素が目立つのが残念。ゲームタイトルも直訳ではなく、日本向けに名称を変えるとなお良かった。

ローカライズ(翻訳)も優秀だし(スクウェアエニックスということで心配していたが)、インターフェイスも非常に良く出来ている。
しかし、価格設定が強気すぎる。ダウンロードコンテンツに2400円というのは、かなり高い。少しお金を出せば、パッケージタイトルの廉価版が買えてしまう。
いくら内容が良くとも、所詮それはダウンロードコンテンツというくくりで良いと言っているだけで、フルプライスのパッケージタイトルと比べると、見劣りしてしまうのは否定出来ない。
ダウンロードゲームは、高くとも2000円までに抑えて欲しい。

ゲームバランスでちょっと気になったのは、盗賊が優秀すぎて、戦士の必要性が乏しいこと。
盗賊と戦士の攻撃ボタンが異なる(盗賊は右スティックをはじく、戦士は□ボタン)こと。
魔法使いのカーソルを操作して四角や三角でブロックを作る操作は、スティックの操作ではやりづらかった。他のキャラみたいに、△ボタンで切り替えるようにすればよかったのでは?Wiiリモコン向けの操作性だと思うが?
このように、キャラごとの操作に一貫性がなかったのが気になった。

スキルがそろってくると、ワイヤーアクションや、魔法使いの足場生成を駆使することで、強引に先に進めたりしてしまうが、これは逆に面白い物と思う。
ゲームクリアしても、これらのアクションを駆使して経験値集めなどの探索が楽しめるし、難易度選択機能も付いており、長く遊べるようになっている。

3人までの協力プレイに対応しているが、オフライン専用。これはもったいない。せっかく配信タイトルなのだから、オンラインに対応して欲しかった。オンライン対応で、話題性は10倍は変わるのに。

もうどうせなら、ここまで作ってしまったなら、もっと作り込んで、パッケージタイトルで出せば良かったのでは?と思えるほど色々(良い意味で)惜しい出来だ。そこで結論。

高いが、値段に見合うだけの価値はある。





[2010/04/03]
戻る

inserted by FC2 system