出たな!!ツインビー


対応機種PCエンジン(Huカード)
発売日1992/02/28
価格6800円
発売元コナミ

(c)1992 KONAMI
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「出たな!!ツインビー」のPCエンジン移植版。

移植再現度としては、PCエンジンというハードウェアを考えれば、頑張っている方と言える。
容量の都合で1ステージ省かれているが、サウンドの質が高く、特に重低音の音質がいい(Huカードにしては)。
また、ごく一部ではあるが多重スクロールを再現して立体感を演出していたり、音声合成のボイス、ステージ間のデモカットもしっかり流れる。
もちろん2人同時プレイもちゃんと出来る。

ゲームとしては、本作でようやく「ツインビー」の世界観、ビジュアルデザインといったイメージ、方向性が確立した作品と言える。
ツインビーを操るパイロットが描かれ、マスコットキャラクター的な扱いにしていたり、パステルカラーの明るいグラフィックなど。

アーケードでリリースするにあたって、ゲームシステムが練り直されている。
ベルを取ってパワーアップする過程がきつくて、一度撃墜されると復帰するのが非常に困難なシリーズであった。

一般的な縦シューティングだと、基本的に出現するパワーアップアイテムを取るだけで自機を強化することができるが、
ツインビーの場合は、流れてくる雲を撃つと出現する黄色いベルを、さらに撃つことで色が変わり、その色の状態でベルを取ると、色に応じた強化が得られる。
黄色の状態の時にとっても得点が得られるだけで、色が変わった状態の時に弾を1発でも撃ちこんでしまうと、また黄色に戻ってしまう。

雲が出現する場所は決まっていて、パワーアップの機会を逃してしまうと、苦しい状態でゲームプレイを強いられる。
逆に、フルパワーアップの状態だと、雲から出現するベルにも当たり判定があるため、今度はゲーム進行を妨げる障害になってしまう。
また、ベルの色の変わる順番が、視覚的にわからないので、狙って欲しいアイテムを取ることが出来ないなど、自機強化の部分だけを切り取ってみると、かなり敷居が高い。
補足しておくと、本作の場合、雲によってベルの色の変わり方が決まっているので、パターン化は出来る。
更に言うと、撃ち過ぎて黄色に戻してしまうと、どうも黄色から色が変わることがないっぽく、パワーアップの機会を潰してしまうことになる。

とにかくパワーアップがキツイってことで、プレイヤーには標準で溜め撃ちの能力をもたせている。
これがかなり強力で、ゲージ最大で発射した場合、巨大で強烈な貫通性能を持ったショットを出せる。
溜め時間はそれほど必要なく、ゲージの途中でも溜めた分の威力を持ったショットが発射出来る。

また、お助けキャラとしてグインビー(ショット強化)がいて、こちらは装備した状態でミスしても画面に放出されるだけなので、ミス後でも取得出来るために復帰までの良いセーフティネットになっている。

それほどフルパワーアップに固執しなくても、溜め撃ちの性能が強力なので、これを使いこなすことでそれなりに立ちまわって行けるゲームバランスになっている。

横STGを得意とするコナミらしく、ただ爽快感を重視したありふれた縦STGにしないところが面白く、オリジナリティの強さが際立っている。
しかし、自機強化のプロセスが面倒くさい上に、ベルにも当たり判定があり、撃つ度に押し上げられるため画面上に滞留しやすいこと。
滞留したベルに弾を遮られてしまうシステム的な部分での矛盾、消化不足っぷりが残っている点がすごく気になってしまった。

コナミは、「グラディウス」「パロディウスだ!」等、横STGでは一度見たらまず忘れないほどインパクトの強い個性的なステージデザインを沢山生み出してきた。
そんなコナミにしては、本作の縦STGとしてのステージデザインは、実に旧世代的で、ゆっくり流れる風景に、決まったタイミングで出現する敵という実に淡々とした、無味乾燥な展開だけで最後まで行き着いてしまう。
強いて言えば、ボス戦がやたら凝っていて面白い。テンポを度外視したステージ2の巨大戦艦や、撃った方向に機体が回転して弱点部位を正面に向けさせないと攻撃が効かないボスなど、ただ撃ち込むだけで済まないボス戦は新鮮であった。

ゲームとしてつまらない、出来が悪いわけではないが、端的にいうと物足りないのだ。
爽快感を殺してまでベルパワーアップのシステムを貫き通す必要は本当にあったのか、もっと上手い仕組みを作れなかったものか、横シューティングのパイオニアであったコナミなら、縦STGでも唸るものを出してくるはずだという期待が大きすぎたかもしれない。

最後になるが、PCエンジン版は、アーケードと同じ画面比率で遊べるVモードが搭載されており、ジャケット裏にも売りの一つとして紹介されているのだが、裏技(隠しコマンド)扱いで、なおかつ、マルチタップが必要という作りはいかがなものか?と感じた。
そこで結論。

主戦場のアーケードで出る以上、もっと面白く進化したツインビーが見たかった。





[2014/06/20]
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