ウルトラボックス6号


雑誌形式で作られ続けたウルトラボックスシリーズの6作目(6号目か!?)
初期はかなり雑誌というコンセプトを意識しすぎてゲームとしての面白さは薄く
値段分の楽しさが得られづらかったなど
まさに紆余曲折しながら数を重ねてきたのだが、
6号に来て完全にゲームありきの作りとなった。
例えば雑誌の表紙をイメージした
ごちゃごちゃと装飾文字で飾られたパッケージデザインもイラストだけになり
だいぶんすっきりとしている。

4号辺りから収録されるコンテンツがおおまかに定められてきたこともあり
6号では、一発芸的なコーナーはバッサリ無くなって、数は減った物の
一本一本の濃さはその分増していて、ゲームとしても遊べるようになったと思う。

RPG、ADV2本、恒例の脱衣ミニゲーム(レース編)、連載アニメ「クスト」、投稿コーナー、ソフトデータベース
本作のコンテンツはこれだけだが、創刊号の12個の多さから来る内容の薄さとを比べると
明らかに改善されたと言っていい。
やはり本作でも、どれもがミニゲームの壁を越えられない程度の物になっているが
開発期間や人員、締め切りの制限を考えると、制限内で出来うる最大限の内容ではないだろうか。

まずRPGだが、「じゃんけんRPG」という一風変わった物。
戦闘時に相手とじゃんけんをして勝たなければ攻撃出来ないという
安易なシステムだが、逆に安易すぎてあまり見たことのない部類。
じゃんけんは自分で出せる手を選べるのではなく、ルーレットを止めることで決まる。
敵とのレベル差でルーレットの速度が決まる。
つまり、敵がこちらより弱ければ十分目押し出来るほどの速度になり、容易に勝てるようになる。
ただ、それまでのRPG作品と比べると、容量などの関係からかだいぶ貧相である。
パーティは組まず常に一人だけだし敵も一体しか出ない。
ローディングが皆無でサクサク遊べるのはよいが、ストーリーも無いに等しく寂しい。

ADV2本のうち一本は恋愛シミュレーターで、
もう一本が「フラグの国のアリス」というコマンドアドベンチャー。
4号でもコマンドアドベンチャーがあったが、あれと作りはそっくりで、
理不尽な選択でゲームオーバーになって最初からやり直しさせられたりするが、
4号と比べると、だいぶ親切な作りになった(ちょっとやればEDまでは行ける)
絵が大雑把だが、起用している声優がわりかし豪華で良く喋る。
基本的に一本道だが若干分かれ道もあり、選ばなかった選択肢を選んだ時の反応を見るのも楽しい。

2号からずっと連載アニメとして続いてきた「クスト」だが、
5号で最終回を向かえてしまったため、
6号では未収録シーンや若干のカット修正を加えた2号〜5号までの全ての内容が収録された
完全版となっている。
途中途中にコマンド選択式のミニゲームが入っている(どちらかというとテンポが寸断される)のを鑑みても
2号〜5号の4話分の量は膨大で見るだけでも4時間近くかかる。
勿論中断セーブは可能だが、
アクセス効率があまり良くないのか暗転の時間が長くテンポが悪い。
旧システムカード時代のゲームということもあってビジュアルシーンのクオリティも低く
イマイチ見応えが無い。作画も乱れていてあまり良く無い。
ストーリーはまぁまぁといったところ。
どうせなら無駄なシーンを省いて1時間半ぐらいにまとめて欲しかった。
これはこれで豪華な感が出て良いのだが。

PCエンジンソフトデータベースは、文章の他にジャケット絵が取り込んでバックに表示されるようになり
当時の技術レベルではまだまだ取り込み画像は粗いが、
収録タイトルの全てのジャケット画像まで参照出来ることから
文章だけの解説ではなかなか行き届かなかった部分までフォローされている辺り
より一層データベースの価値が増したと言える。

連載アニメ「クスト」の全収録と、ソフトデータベースに恐らくかなりの容量を食われているのか
本作オリジナルのコーナーが割を食って今ひとつボリューム感に乏しいのが気になった。

因みに本シリーズはこの6号で打ち止めとなった。
ある意味絶妙な幕引きだったかもしれない。




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