アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝


対応機種プレイステーション3
発売日2007/12/06
価格5980円
発売元ソニーコンピュータエンタテインメント

(c)2007 Sony Computer Entertainment / Naughty Dog
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「クラッシュバンディクー」「ジャック×ダクスター」を代表作に持つノーティドッグがプレイステーション3専用ソフトを作る!
これまで子供向けアクションゲームを生業としていた同社だが、一転して写実的でリアリティ溢れる世界観を舞台とする3Dアクションアドベンチャーに挑戦する意欲作だ!

プレイステーション3の性能を引き出すべく、かなり高度なプログラムや複雑な処理を行っているが、それとは裏腹にゲームシステムは極めてシンプルで、プレイヤーが覚えることは非常に少ない。ゆえにとっつきが良い。
これは、開発者としては頭の悩ませる事態と言える。なぜなら、システムを単純に突き詰めれば突き詰めるほど、単調な展開になりやすく、ゲームとして楽しませることが逆に難しくなっていくからだ。

そこにこだわったのはおそらく、このゲームのコンセプトの、臨場感溢れるアクション映画を自分の手で体験できるというものから来ている。
ハイクオリティーな映像とスリリングな演出、そしてスピード感に満ちたゲーム展開を組み合わせた作りは、プレイヤーを1秒たりとも退屈させないよう次々とスペクタクルに巻き込んでいく絶妙な構成のためだけにあると言える。

銃撃戦はあるが、撃ち合いに特化した作りではない。このゲームでは飽くまでアクションのワンシーンとして大別される。
自動回復制を採用し、近接攻撃では派手なカットシーンが豊富に用意され、まさに映画のヒーローのようにかっこいい演出が流れ、気持ち良く敵を倒すことが出来る。
撃ち合いがゲームの核を握っているわけではないので、難易度も低くてどちらかというとテンポや爽快感を重視している。慣れたプレイヤーならやられてしまうことは殆どないだろう。
だからといって適当な作りではなく、敵のAIや重火器類のエフェクト効果も割としっかりしてて、冷めてしまうこともない。稀に自分の投げたグレネードで自爆することがあるのが気になった程度。

一変して遺跡を探検して頭を使って謎を解くシーンも存在する。敵は一切存在しない、壁をつたってジャンプしたり飛び移ったりのアスレチックアクションだ。この辺は「ICO」の影響を大いに受けた作りになっている。
足場を飛び移ったりジャンプアクションもあるが、操作スキルを要求する意図は全くなく、かなり大雑把なプレイでも補正がかかり、上手にジャンプする。しかもそのモーションに不自然さがないのも凄い所だ。
ここだけに限らず、プレイヤーのモーションはどれもつなぎ目が自然で、良い意味でゲーム的でない。そうとう気を使ったと思われる。

海外のゲームでは比較的弱い、キャラクターやストーリーも出来がいい。個性的で魅力的なキャラクタと、うるさくない程度に先が気になるストーリー。少々王道すぎる気がしないでもないが、いい感じにまとまってて良い。

このように、ゲームとしては語れるところがあまりなく、実はプレイヤーがやっていることはやり込み要素を含めてもかなり少ないのだが、そこを途切れなく展開するイベントシーンの連続と、映像美とカメラワークやマップ構成、絶妙なアトラクションが仕込まれたフィールドマップの力技で楽しませている。

クリア後には、メイキングムービーを見ることが出来る。それを見て驚かされたのは、イベントムービーのモーションは起用した俳優が実際に演技したものをそのまま使っているという画期的な制作手法だ。そのせいか本作は日本語吹き替えも選べるが、英語音声も日本人から見ても結構しっくりきてて中々いい。
こういったメイキングは、今やゲームも映画と並ぶ巨大産業となったのだから、容量に余裕があるならば、ぜひ標準で入れて欲しいモードである。クリアした後にどこに力を入れたのか、どのように作られたのかというのは知りたいものである。

1周のプレイ時間は初プレイでも6時間半と短いが、その分中身が詰まっており決してボリューム不足と感じさせない。また、マップ切り替え等のディスクアクセスが全くなくシームレスに動くのも素晴らしい。

翻訳も丁寧で声優も豪華なのだが、字幕と音声が合ってない場面が多く見られたのが残念。ここまで完璧なゲームなのだから、この辺の摺り合わせも完璧だとなおよかった。

しかしこれだけ出来の良いゲームなのだが、主人公は泥にまみれたTシャツを着た黒髪の冴えないにーちゃんで、タイトルロゴもなんだか一昔前のB級映画のような雰囲気。SCE日本で売るつもりないだろう?と聞きたくなるようなジャケットである。
それにしてもSCEは「ICO」の時もそうだったが、シンプルなゲームをハッタリで面白く仕上げるのが得意なメーカーだ(褒め言葉である)。そこで結論。

触れるアクション映画とはまさにコレのこと。遊べ!!





[2011/09/03]
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