友達が発売日にバーチャルボーイとこのマリオズテニスを買って 俺も少しだけ遊ばせてもらった。 のちに試遊台でボクサーのゲームとマリオのアクションゲームを遊んだ以外 バーチャルボーイを遊んだことはないのだが… 遊んでみて驚いた。 実際、飛び出す絵本のような立体映像を目の当たりにした衝撃は凄かった。 言葉で、この衝撃を語ることは難しい。 とにかく、「やってみてくれ!」としか言いようがない。 GBAの後継機種として発売をほのめかしていた新携帯ハード機は カラー化したバーチャルボーイ2ではないかと実は密かに思っていたぐらい このゲーム機の斬新さに共感している。 結局、いくらハードの性能を上げて、立体的でより緻密な映像を構築したところで 平面のテレビ画面であることに限界を感じるんですよ。 どんなに大きなテレビでも、映画館並の迫力が味わえる立体音響空間を用意しても あの平面ディスプレイの壁を越えることは出来ない。 そりゃあ、バーチャルボーイも平面のディスプレイではあるが、 それを立体的に見せるように工夫を凝らしている点が素晴らしい。 簡単に出来そうでどこかがやってそうなことだが、意外にやっていなかったりする。 それに、遊ぶ側がいかに見た目を重視している人が多いかがこのハードで身に染みて感じる。 当時の技術では、カラー液晶は無理だから、苦肉の策として赤を基調としたグラフィックだけど、 このころは、今ほどレトロゲームの需要もなく、グラフィカルなゲームが今以上に好まれている時期だったと思う。 だから、いくら任天堂がCMを大量投下しようと、思った以上に売れず、あっと言う間に市場から消えてしまった。 遊ぶ側だけでなく、作る側も、このハードの特性をもてあましていたのも原因である。 既存のゲームをただ、立体的に焼き直しただけのゲームが発売初期に数本出た程度で 専用ソフトの発売本数もびっくりするぐらい少ない。 バーチャルボーイと一人称視点のゲームは相性がバッチリなのに、そんなゲームは一本しか出なかった。 とにかく、このゲーム機の立体感、迫力はこれでしか味わえなかった。 いま、カラー液晶で改めて出せば、商業的に成功するのではないかと思う。いや、して欲しい。 袋小路に入りつつあるゲーム業界の現状を打破出来そうな気がする。 勿論、欠点がなかったわけではない。 ゲーム機のデザインがかっこいいが、ゴテゴテしていて邪魔になる点。 あと、端から見ると、このゲーム機で遊んでいる姿が怪しく映ってしまう点。 なんか、眼科で目の検査をしてもらう機械があるじゃないですか。 あの、スコープみたいな中に顔を入れるヤツ。上手くかけないな。 ディスプレイが完全に一人の世界に入り込む形だから、かなり怪しい。 ゲームの面白さを共有できないのである。 バーチャルボーイに至っては通信ケーブルすら無かった。 だが、ひとたびこのゲーム機の中に入れば、全視界がゲームの中である。 この臨場感は、新感覚の一言に尽きる。 俺が遊んだのはマリオのテニスゲームだけど、 視点が従来のテニスゲームの見下ろす形ではなくて、 カメラがもっと地面の近くにあって、プレイヤーの後方視点っていうのかな、そんな感じ。 ネットを境目に奥には相手プレイヤーがいて、 テニスをやるわけだけど、テニスゲームとしてはそれほど突出した出来では無いと思う。 ただ、やっていて、テニスの緊迫感というか、迫力は感じられた。 これは、長々と書いてきたバーチャルボーイそのものの評価に依存している部分でもあるんだけど。 俺としては、こういうゲーム機も一つ幅をきかせていてもいいように思う。 せっかくこういったオンリーワンなゲーム機が出たにもかかわらず驚くべき早さで消えていってしまった。 非常に、残念である。