ウイルス


対応機種セガサターン
発売日1997/08/22
価格6800円
発売元ハドソン

(c)1997 HUDSON SOFT
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ハドソン、セガ、エイベックスの3社共同プロジェクトということで、発売前から注目度の高かった、サイバーパンクアドベンチャーゲーム。
クリーチャーデザインに韮沢靖を起用、その他、目に付く試みとしてCGとセルアニメの融合を目指したムービーなど、見どころの多い作品だ。

ゲームとしては、基本はコマンド選択型アドベンチャーゲーム……なのだが、沢山の余計な要素に手を出してしまっていて、全くもってゲーム全体の統一感を落としており散漫になっている。

まず、移動画面が2種類あり、一つがポリゴンで作られたダンジョンの移動。これがまた微妙に古臭くて操作性が悪い。
次に、ワープ「Dの食卓」などで使われている手法の、ムービーを使った移動シーン。
この2種類が存在するが、はっきりいってどっちかに統一した方がいい。どちらも飛び抜けてクオリティが高いわけでもない。そもそもこれらの移動自体、テンポが悪くて面倒、正直たるい。
今作の場合、それぞれの悪い部分ばかりが合体してしまったような印象。

通常時のアドベンチャーパート自体の操作性は悪くない。各コマンドがボタン一つに割り振られていて、ボタンを押していき、どれを調べるかまでボタンをおすことで候補までカーソルが勝手に動いてくれる(これを「プッシュ・オンリー・システム」と名付けているらしい)。
ただ、このゲーム、マウスにも対応しているのである。パッド操作でここまで快適だと、マウスいらなくないか?と思ってしまう。

ダンジョンでは、ウイルスとエンカウントして戦闘して、溜まったお金で装備を買ったり、ストーリーの進行でLVアップしたり等、RPG的要素も取り入れられている。
が、このゲームはアドベンチャーゲームなので、基本的にストーリーをなぞっていくわけで、RPG的要素を楽しもうにも自由に行動できないことのほうが多いし、結局困るのがボス戦ぐらいなもので、
凝っているのはわかるのだが、プレイヤーからすれば、なんだか余計なものにしか感じられなかった。思い切って取っ払ってもいいぐらい。

ボス戦は、リアルタイムで流れるアニメーションバトルという豪華さで、ボスの弱点(ウィークポイント)を探して攻撃するという作り。その他にも行動力ポイントやHP回復の駆け引きなどが申し訳程度に付けられている。
だが、弱点探しは基本的にノーヒント。アナライズでヒントを示してくれる機能は付いているが、まるで役立たず。使い物にならない。
それよりも、バトルシステム自体の作りが荒くて、全く面白いと思えない。終盤は特にボス自体が強くなってくるので、足止めされるたびにウンザリする。
もっと他のやり方でボス戦をやらせるか、これも思い切ってバッサリ取っ払ってもいいぐらい余計な要素に感じた。

続いてストーリーについて。
筋書きとしては、良くもなく悪くもなく、王道に忠実といった水準だろう。
ただ、問題に感じたのは、ADVパートについてである。
ところどころ、ストーリー進行とはあまり関係なかったり、あまり必然性を感じないまわりくどい、実に古典的、古臭いアドベンチャーをやらされる。
アドベンチャーゲームだもの、仕方のないことだと言う向きもあるだろうが、同時にアドベンチャーゲームならば、プレイヤーの気分をノッて遊ばせる手法を取ることもまた必要だと思う。
頻繁に挿入されるミニゲームの出来は良くもなく悪くもなくといった感じで、悪くはないんだが、ちょっとくどい感じがしたのは残念。

最後の不満だが、セーブが好きな時に出来ないのは大きなストレスになった。一応バックアップという形で頻繁にオートセーブしてくれているのだが、セーブを任意でさせてくれないことの理由がほしい。

どうも全体的にコナミ「スナッチャー」「ポリスノーツ」に触発されて、作ったような節があるものの、本質を見抜くことができなかったのか、ADVとしてみてもイマイチ感が漂う。
たとえば、いちいちビデオフォンで連絡を取る所だったり、乳揺れ役の女の子がふんだんに用意されてたり(残念ながら乳揺れアニメはない)、セクハラできるようになっていたりなど。
ストーリー、というか設定も序盤から詰め込み気味で、世界観を理解したら独特の面白さが味わえるかというと、そうでもなく、サイバーネットというSF的世界観をどうにもうまく煮詰めていない。

それから、ハドソン、セガ、エイベックスの共同プロジェクトと言うが、エイベックス何してたの?
そこで結論。

金かけて頑張ったが、見事に滑ったゲーム。





[2017/09/30]
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