ヴァルキリープロファイル


対応機種プレイステーション
発売日1999/12/22
価格6800円
発売元エニックス

(c)1999 ENIX / tri-Ace / PRODUCTION I.G / Actas
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スターオーシャンで、一躍有名になった職人集団トライエースが送る完全新作RPG。

プレイヤーの目的はレナス・ヴァルキリアとなり、世界の終末を防ぐため
下界に降り立ち、適正な人物を探し、育てた仲間を神界戦争へ送り込む事だ。

北欧神話をベースにした世界観とストーリーはとても神格高くいい雰囲気を出している。
キャラクターデザインの画風も良く、ゲーム画面ととてもマッチしている。

トライエースの作品は、完全リアルタイムのバトルシーンが特徴的で、最も注目されている部分。
しかし、同時に従来のターン制バトルとは違い、敷居の高さが弱点だった。
本作の戦闘システムは、じっくり考えられるターン制の体裁を取りつつも、リアルタイム制の面白さも上手く取り込んだ画期的な物になっている。
画面右側に味方キャラが、コントローラーの○×△□ボタンの配置に対応するような位置にいて、それぞれのキャラが攻撃ボタンに割り振られている。
好きなタイミングでボタンを押して攻撃させて、うまくコンボを繋げ、そのさいに溜まっていく「決め技ゲージ」を一杯にすると、派手な必殺技を発動出来るという仕組み。
コンボに関する細かなルール付けは幾つかあるが、基本的に戦闘でやることはこれだけ。

たかがRPGの戦闘と侮る無かれ、当たり判定や浮かせコンボなど本職の2D格闘ゲームに迫る勢いで作り込まれており、凄く手を入れて作られている。
しかも、これを評価したいのは、このシステム自体は単純で取っつきがいいことだ。ふつー、RPG制作会社は、こういう面倒くさいプログラムはいやがるもんだが、そこはさすがトライエースである。

グラフィックは、プリレンダCGであるが、なかなかの綺麗さである。
キャラクターのアニメパターンももの凄く豊富で、戦闘ではこれが活き活きと動く。

ストーリーの出来も良く、大半は仲間にするキャラの死に目をかいま見るという類の物で、さながら手塚治虫の「ブラックジャック」のような面白さがある。
しかし、キャラによって、描き込みに差があって、影の薄い人や、キャラが弱いのも多数。うーん、こういうのはゲームでは難しいか?

ただ、実際は、ダンジョン攻略や戦闘を繰り返しキャラクタを育成するのが主であり、
ストーリーを見るために頑張って遊ぶというような向きのゲームでは無い。
一応、ストーリー設定上、上手くコーディング(理由付け)はなされているが、これはほとんどあってないような物である。

はっきりいえば、キャラ育成や戦闘が楽しめる人でなければ楽しめない。
そして、その方面から言えば、合間に入るイベントをスキップ出来ないというのは辛い。
トライエースのゲーム特有の間の悪さやテンポの悪さも妙に目立つ。

ゲーム開始時に、難易度設定が出来るのだが、どうもハードモード以外は、あとからくっつけたような感じがする。
多分、想定していた戦闘バランスが初回プレイでは厳しめで取っ掛かりを良くするために付けたようである。
ハードモードにしないと、出てこない仲間やアイテムもあり、実質ハードモード以外は、遊んでいると言うより遊ばせてもらっているという印象がある。
というか、ハードモードの方が、仲間やアイテムが沢山手にはいるので、簡単だぞ!ピリオドや経験値も後半かなり余る。

ゲーム全体のボリュームや進行度が一目でわかる、チャプター制は良いシステムだが、いかんせん長すぎる。6章程度が丁度良い。
さっきも書いたが、期間に余裕を持たせているので、だいぶイベントの発生しない間が出て、中だるみが起こる。
ダンジョンに潜ってレアアイテムや戦闘を楽しむゲームなのに、エンディングが分岐したり、時間制限が付けられているのは、ちょっと余計ものという感じがする。
これは、ようは現代版Wizと言ってもいいゲームだが、エニックスの大作RPGという体裁上、多くのユーザーが楽しめなくてはならないことから、あれこれ付け足したのだろう。
クリア後のおまけダンジョンの方が、断然面白かったりするのは、開発者もその辺わかってると思うのだが。
ベストエンディングの到達条件もかなり厳しくわかりにくく、攻略本買って下さい的な露骨な趣向が鼻につく。
それだけならば別にかまわないのだが、決して短くないプレイ時間を消費して、むかえた通常エンドが、どうも釈然としない終わり方というのが気に入らない。シナリオの70%は見る事さえできてない感じだ。

よせばいいのに、ダンジョンではアクション要素まで入れており、これのまた出来が悪いこと悪いこと。非常にストレスが溜まった。

ディスクアクセスも非常に早く、快適だが、フリーズしてしまうことも多く、スターオーシャン2の二の舞をやらかしている。困ったものだ。
戦闘は、前回のスターオーシャン2の反省があったらしく、だいぶ簡単になってしまったが、アイディアの独特さを評価したい。ただ、決め技がキャラによって長すぎるきらいもあり、もっと気を配って欲しかった。

セルアニメムービーがオープニングに収録されているが、原画との違和感がひどく、ただプロダクションI.Gに仕事させたかっただけな気がする。いらない。
ゲームコンセプトを考えると、ディスク2枚組で、途中でディスク交換を要求されるのはちょっと変。イベントシーンに無理矢理ボイスを付けているのを、辞めたりして、一枚に収めて欲しかった。どうせ、ごく一部でしか喋らないんだから。

面白いゲームだけど、味付けを間違えてないか!?





[2004/03/23-2006/04/18]
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