ヴァルキリープロファイル2 シルメリア


対応機種プレイステーション2
発売日2006/06/22
価格7800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2006 SQUARE ENIX / tri-Ace
戻る

1999年末に発売され、独創的なゲームデザインが未だに印象深いヴァルキリープロファイルの続編が堂々登場。
制作はもちろん、「スターオーシャン」「ラジアータストーリーズ」など送り出したトライエースだ。

マップも戦闘も3Dポリゴンと、見た目は様変わりしているが、サイドビューのフィールドマップに、戦闘は移動システムが追加されたぐらいで、基本部分は一緒である。
このグラフィックがとにかく綺麗。スクウェアは昔からビジュアルが取り柄の会社だったが、これは完全に関連会社とはいえ、抜かれたな。
まぁ、フィールドは視点操作ができないので、裏データをごまかしたり出来る分、ファイナルファンタジー12と単純比較は出来ないのだが、それにしてもこの水準で60フレームでぐりぐり動くのはやっぱり凄い。
そして、アクセスも早い事早い事。とにかく、トライエースはロード時間にやたらこだわりすぎて、プレイステーション開発初期の作品なんか、バグやフリーズを良く起こしてたたかれたものだが、今作ではそういったバグは無い。
しかし、FF12に続き、このゲームでも、まさかPS2でまだここまで出来たとは!という驚きがある。怠慢してる会社が多いのか真相はわからないが、もうちょっと頑張って欲しいところだ。

前作は、一風変わった構成だったが、続編となる本作では、ストーリー主導型のオーソドックスなスタイルをとっている。シナリオ分岐も無い、完全なる一本道。
要所要所では、これまたクオリティ抜群のイベントムービーの挿入。だが、それ自体に魅力はない。
この作品は、ストーリーの評価も高いようなのだが、個人的にトライエース作品のシナリオは、あまり面白くない。
なんというか、センスが良くない。同じ人間が脚本書いてるのか、テイストも似たり寄ったり。しかしここはタイムトラベル物が好きだなあ。
演出もグラフィック維持で精一杯だったらしく、弱いし、中身もたいした無い。このレベルで、ゲーム全般を牽引していこうなど、甘い。

さて、ゲームシステムだが。自己満足で終わってないか?という印象。
色々作り込んでいて凝っているのはわかるのだが、いざ遊ぶ側に立ってみると、ただごちゃついているだけで、目立ったものが無い。
スキルなどカスタマイズ性も強いのだが、バランス崩壊をおそれているのか、極端に効果的なものが少ない。
スキルの覚え方や装備品のリンクなんかもさあ、もうちょっとわかりやすく、やりやすくしてくれないと、面倒くさいだけ。
装備品のとりわけ、アクセサリが多すぎる。そうやって、複雑な要素をかいくぐってスキルを覚えさせても、前作ほど自由にやらせてもらえないので、あまり楽しくない。

封印石のパーティ、フィールドに及ぼす効果はなかなか面白いシステムだが、これももっと主張を強く出して、自由にいじらせて欲しかった。最大でも2つしか持ち運び出来ないってのはもどかしい。

前作でも、フィールドマップでのアクション操作が好評で、今回も用意しました!!と自信を持ってでかでかとパッケージに書いてあるのだが、あれは面白かったか?
光子システムというのだが、徘徊している敵シンボルを凍結させて止めるほかに、自分と場所を入れ替えるとか、足場にして上に昇っていくというようなギミックを付けているのだけども、
前作より融通をきかなくして、わざと難易度を上げているのだが、これが押しつけがましくつまらない。大体RPG作ってるチームが、こういうのを作ると自己満足のつまらないものになる。少なくとも、面白い!と言えるものと出会った事はない。

ゲームバランスは、こういうタイプのものにしては、序盤は随分とダメージ調整、お金の与え方が良いな、と思っていたら、後半になるとやっぱり壊れはじめ、お金はあまり放題。ボスでは食らうと確実に倒されるような攻撃が続く。

戦闘は、リーダーに設定されている相手を、手早く倒す事で、戦闘が終了し、良いアイテムや多くの経験値が得られる仕組みは面白い。
しかし、フィールド移動のシステムが、こなれていない気がする。
リアルタイム制だが、こちらが動かない限り時間が進まないタイプの物で、じっくりと考えて戦う事が出来る。
だが、敵の攻撃範囲が移動する際に消されてしまう(どうもハード的な問題だと思うのだが)うえに、その範囲に入ってしまうと問答無用で攻撃を受けてしまう。
しかもこれは、自分以外のCPUが動かす仲間にも当てはまるため、慎重に動かざるを得ない。
また、ダッシュ移動というものがあり、これを駆使すると攻撃範囲をすり抜けて移動出来るのだが、行動ポイントを消費する上に、障害物に引っかかってしまうとそこで止まってしまう。
さらに、あまり強引な動かしかたをすると、CPUキャラが取り残されてしまうという理不尽さ。
仲間を2隊に分けて動かす事も出来るのだが、ここは頑張って1人1人別々に動かせるようにすべきだった。どうしても、技術的な限界が原因だと思えてならないのだ。背伸びしすぎたというか。

ボス敵との戦闘では、強力なキャラクターを一人だけ前に出して、攻撃範囲に入らないように逃げ回って地道に削り倒すという戦術が、際だって効果的なのは、おそらくこういう進め方を考えてなかったんだろう。
敵の攻撃範囲はほとんどが正面から扇形に伸びているものばかりで、敵の後ろに密着して張り付き回っていれば、大半の攻撃を回避し続ける事が出来る。

ほかにも、戦闘の処理のルール付けが曖昧なところがあったり、CPUキャラがおかしな動きをしたり、確かに凄い技術力は感じられるのだが、ゲームとして完成してない。

たぶん、RPGで独自性を出すために、移動の概念を取り入れようとしたゲームはたくさんあったと思う。しかし、手間とデメリットの多さを考えて辞めているのだろう。
結局は、コマンド入力による駆け引きに勝るものは無いのだ。シンプルイズベストとは良く言った物だ。このゲームも、前作の単純にコンボ理論や決め技の出し方を突き詰めていくコマンド戦闘の延長程度のさじ加減ぐらいが丁度良かった。

最大の不満点は、パーティメンバーの離脱だった。
ストーリー進行上、仲間の出入りが激しく、長く使ってきたキャラがいなくなられるという行為は、もっともプレイヤーに嫌われるものである。
一応フォローとして、大量の経験値を与える事が出来るアイテムが直後に手にはいるのだが、どうにもやり方が荒っぽい。
個人的には、こういったことには理解あるつもりなのだけども、あまりにひどいので、中盤以降、このゲームに対する信頼を完全に失った。

ストーリーに関係ないエインフェリアという、魂を具現化するメンバーが別にいるのだが、前作ではこれらのキャラクターの生き様を見ていくというものだった。
今作では、なんの脈絡もなく仲間に入る。その経歴はステータスのプロフィールでの簡単な紹介文のみである。おそらく、人数を考えると、ちゃんとこの人達のストーリーも作る予定だったのではないだろうか。
なんだか、全体的に急いで出してしまったような作りが目立っている。

全体的な作風は中世ファンタジー映画に近く、前作のようなアニメチックな路線は控えている、シックなデザインだ。しかし、アニメっぽい適当にデタラメだった前作の方がいろいろと面白かったんだけどなぁ。明らかにそれ銃だろって言う弓使いとか。

つまらないと断言はしない。ただ、おもしろさが自分にはわからなかった。
どーも、若い頃から良くも悪くもちやほやされすぎると、ろくなゲーム会社にならんよーだ。変なプライドを持ってしまっている。

高い技術力に感心するゲーム。





[2006/07/02]
戻る

inserted by FC2 system