ワイルドアームズ Alter code:F


対応機種プレイステーション2(HDD対応)
発売日2003/11/27
価格6800円
発売元ソニーコンピュータエンタテインメント

(c)2003 Sony Computer Entertainment / MEDIA.VISION
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ワイルドアームズシリーズ内でも最も評価の高い1作目が
PS2で新たに作り直されて発売された。
同時に開発中のシリーズ4作目とのデータ連動の構想も話題になった。

新たに作り直された、というのは、いわゆるリメイク移植とはちょっと違う。
屁理屈とも受け取れるが、制作者のコメントとしては「1であって1では無い別物」と述べている。
確かに、遊び比べてみるとリメイクの範疇に留まらない内容変更がなされていて、
企画書レベルでの原作を元に新たに1から作り直されたともとれるほど別物の内容になっている。
ただし、ゲームパート(ダンジョンの構造、ギミック、戦闘バランス)では全くの別物だが、
脚本の面では一応のあらすじは踏襲している。

ゲームシステムは「ワイルドアームズ Advanced3rd」のものを流用していて
寧ろどちらかというと、このシステムに合わせて1を作り直した感がある。
些細な改善点はあるが、良い点と悪い点もそのまま受け継がれている。

グラフィックは、前作のトゥーンシェードを捨てて通常のテクスチャーで描かれている。
そのため、キャラ以外の造形のテクスチャーもアニメっぽさは無く、写実的な向きになった。
今回もそれなりに綺麗なのだが、テクスチャーを描き込みすぎて目が疲れやすくなった気がする。
カメラ位置を3rdよりも引いてしまったのも要因の一つ。

また、かなりの割合でイベントシーンをムービーに頼ってしまっている。
3rdでは、全てリアルタイムでやっていることを評価したが、
今作はあまりにムービー映像に頼りすぎである。
別にムービーを入れることを悪いとは言わない。
だが、ムービーも入れて同時に台詞も合わせて表示させたいなんて、欲張りにもほどがある。
ムービー時の台詞表示は勝手に送られてしまうし、あまりに見させられている感が強い。
映像と文字、どっちを見ればいいのか、また、追い付かない箇所もままある。
ムービー自体も頼りすぎているのを分かっているのか、整合性を重視して
リアルタイムポリゴンと水準は全く変わらない。
これでは、めんどくさいからムービーにしましたよという意図が丸見えである。

今回もパーソナルスキルというスキルの付け替えが存在するのだが、
アイテムから引き出すという形を廃止。直接付け替えするようになって、
外す際にスキルそのものが消滅してしまう仕様も撤廃された。
そのためかなりすっきりした印象を受ける。

戦闘システムは、オリジナル版の面影は殆ど無く、3rdに準じた形になっている。
3rdと比べると、4人から3人パーティへ変更されたことと、
各キャラクターに明確な性能差が付けられたことの2点が違いとしてある。

全体的に3rdのシステムを簡略化し間口を広めている。
ゲームバランスもだいぶ直感的になり、遊びやすくなっている。

ボスの倒し方がだいぶRPG寄りになった。
簡単になった、というわけではないのだが、前回はあまりに奇を衒った戦い方を
要求されすぎていた節もあったので、この辺り結構直感的な向きになったのではないかと思う。
しかし、同じボスと戦わされることがやけに目立ったのが妙に気になった。
パラメータが違うだけで倒し方は一緒だし、なんとか工夫して欲しかった。

音楽のクオリティは相変わらず高いのだが、オリジナル版と比べると
アレンジにムラがありすぎる気がする。
ほとんど楽曲内容は別物なのだが、そのわりに通常戦闘のBGMは違いが殆どないなど
あべこべな面も気にかかる。
変えるならとことん変えるべきではないか?

シナリオプロットやキャラクターデザイン、演出周りなど
近作のシリーズ同様クセが強くなってきていて、非常に好みが分かれる。
オリジナル版の一作目は逆に、とことん個性を殺して殺して作られていた
真逆を行くコンセプトだったので、一作目に過剰な思い入れを持っている人が
本作を遊ぶと憤慨する可能性がある。この辺りの配慮がもう少しあっても良かったかもしれない。

また、元作同様主人公が一切喋らないのはそのままなのに、
バトルシーンなどでかけ声を入れているのはどうかと思う。
このシリーズは、声を入れるのは逆効果だと思うのだが、如何な物か?

相変わらずテキストや音楽の完成度はかなり高いので、面白い。

3rdのシステムを土台に、さらに洗練された良作。





[2004/05/13-2005/02/11]
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