ゼノブレイドクロス


対応機種Wii U
発売日2015/04/29
価格7700円
発売元任天堂

(c)2015 Nintendo / MONOLITHSOFT
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MMORPGのような臨場感と、壮大なスケールの圧倒的な作りこみが口コミで一気に話題となり人気作へとのし上がった「ゼノブレイド」の続編。
今回は、オープンワールドと、ドール(巨大ロボット)に乗ったバトル、アバター主人公を使った独自のネットワーク機能(アプローチ)など、革新的な挑戦がそこかしこに垣間見える意欲作だ。

前作は発売当時プレイしたが、ここまで評判になる作品とは当時思わなかった。
2010年当時としても微妙にグラフィックのセンスが(申し訳ない書き方になるが)古臭く感じたし、バトルのテンポの微妙な悪さ(忙しさ)と、モノリスソフト特有のゲームシステムの複雑さ(アクの強さ)など。
そういった細かい欠点を打ち消すどころか覆い隠すほどの魅力があったのだろうと思う。
熱いストーリー、個性的なキャラクタ達、広大なだけじゃなく様々な面白さを盛り込んだフィールドと世界観。
もう据え置きゲームはHD化が進んでいた中で、SD環境でじっくり作りこめたというのも追い風になったと言えないだろうか。

そんな期待感を背負った作品の続編だが、はじめに結論を述べておくと、“2”を期待して買うと、かなりの肩透かしを食らう。
というのも、今作と前作では、ゲームとして目指す方向性が違っているため、「ゼノブレイド」とはテイストがまた異なっているからだ。

前作で高く評価された、冒険や探索といった寄り道的要素を大きくクローズアップして、それ以外の部分の主張を敢えて抑えめにしている。
そのために、前作で魅力を下支えしていたメインストーリー、登場人物などスタンドアロンのRPGでは欠かせない要素が控えめになってしまっている。

飽くまで個人的な好みだが、ファンタジー世界ではなく、SF路線に転向してしまったのもマイナス。
やっぱりRPGなら、魔法を使うキャラや、現実には存在しない幻想的な武器で戦う人がいるほうが夢があって面白い。
そこを「ゼノサーガ」風に戻してしまったために妙に現実的になり、キャラごとの個性や戦い方の幅が一気に薄れてしまったように感じられ、それが残念でならない。

主人公だけは全てのクラスにチェンジして色んな戦い方をさせられるが、各クラスごとに役割(バトル時の立ち回り方)が想像しづらく、どれも似たり寄ったりに見えてしまう。
装備品によって見た目が変化する仕様はしっかり継承しているが、SF調の世界になってしまったせいか、装備品の造詣に魅力を感じられず、バリエーションに乏しい。
クエストをクリアしていくとオシャレ装備が手に入ったりするが、外見だけを変えられるオシャレ装備の機能が使えるようになるのは、なんとゲームクリア後なのだからガッカリ。

前作は、MMORPGのエッセンスを上手に一人用のオフラインRPGに持ってきたような作りだったが、今作はあらゆる部分でMMORPGにならった作りになっている。
個人的には「こんなところまで踏襲してしまって良いのか」と思うほどで、良い部分も悪い部分も持ってきてしまっている感じがした。

MMORPGは長く遊ぶものなので、インターフェイスはわかりやすさよりも快適さや利便性を重視される。
だから画面上にごちゃごちゃとたくさんメニュー(アイコン)が表示されていても、そっちのほうが長くプレイするぶんには慣れれば快適だからというのを理由にそれが正義とされる。
端的に言えば「ゼノブレイドクロス」は、そういう部分まで律儀に踏襲してしまったために、MMORPGに馴染みのないプレイヤーからすれば「あれ?」という違和感を覚えることになる。

もちろん、開発側も無批判にMMORPGのシステムを採用したわけではなく考えた上でのことだと思う。
最近のオフラインのRPGも結構なボリュームになってきており、隅々までやり込めば100時間近くか、あるいはそれ以上のプレイ時間になるものも珍しくない。
「ゼノブレイドクロス」も、どちらかと言うとオフラインRPGの中ではボリュームのある方で、それだけ長く付き合うゲームになるのなら...という思いも込めて採用したのではないだろうか。

また、ゲーム全体に漂う不親切さも非常に気になった。
メニューを開くと「説明書」の項目があり、即座に電子説明書を開くことが出来るのだが、基本的にはそこへ投げっぱなしの作り。これはいかがなものか?
何か新しい機能が使えるようになるとTIPSウィンドウが出て知らせてくれるのだが、これはゲーム中で一度っきりしか見ることが出来ない。
一度目を通しても、わからずにもう一度見たくなっても、見ることが出来ない。意外と“何が出来るようになったか”がわからないために見返したくなるのに、そういう機能がない。
そこで電子説明書があるじゃないかという話になるが、さっき表示されたTIPSウィンドウを見れば一発で終わることを、電子説明書で探しまわらなければならないのは、はっきり言って無駄なストレスと言っていい。

全体的に文字が小さいのも辛い。コンシューマのゲームでも洋ゲーなんかだと、これぐらいの文字の大きさのゲームは珍しくなくなってきたが、それを加味しても辛い。
RPGなので、情報量も多く、画面を凝視していると、とても目が疲れてくる。
単に文字が小さいだけでなく、ウィンドウのレイアウトなども見づらい原因になっているように思う。

今回はいわゆるメインストーリーも含め全てクエスト方式になっている。
メインのストーリーは、ストーリークエストという名称になっていて、受注条件にレベルや開拓度が設定される。
本筋のシナリオだけを一直線に遊ぶことは出来ないようになっている。

他にもクエストにはいくつか種類がある。今書いた、ストーリークエストの他にキズナクエスト、ノーマルクエスト、シンプルクエストの4種類。
キズナクエストは、パーティメンバーの好感度を一定以上あげると受けることが出来て、イベントシーンはボイス付きで豪華な作りになっている。
ノーマルクエストは、ボイスはなくテキスト進行ではあるものの、ちゃんとストーリー仕立てになっている。
シンプルクエストは、クエストカウンターで受注してクリア条件を達成するだけの簡素なもの。最も数が多い。

ゲームの基本的な流れは、拠点でクエストを受けて、外の世界を冒険する。ゲーム上では開拓作業と呼ばれている。
巨大な原生生物を倒したり、トレジャーオブジェクトを見つけたり、データプローブと言うデータ収集の設備を決められた場所に設置する。

メインシナリオだけを取り上げれば、分量的にはかなりコンパクトで少ない。大作RPGとしてはびっくりするほどの短さだ。
しかし、コンパクトではあるが中身はしっかりしており、サプライズも盛り込まれ、ゲーム的な制約があって好き勝手やれないことを考えると、クオリティは高いほうだと感じた。

前作も、広大なフィールドに仕込まれた凶悪モンスターや膨大なクエストといった散策要素が評価されたが、最終的にストーリー重視のRPGであって、それが主役となってプレイヤーを引っ張っていた。
ストーリーを進めてしまうと戻れなくなる場所や、やれなくなることがあることがわかると、こういう要素はいくら作りこまれていても一気に冷めてしまう。
今作ではそういった散策要素をメインにしており、大作RPGが一般受けするためには欠かせない、ストーリー重視の部分を敢えて取っ払った。
言い換えるならば、マニア向けというか人を選ぶ作りにしてしまった。

個人的な好みで言えば、「ゼノブレイドクロス」の方向性のほうが好き。
「ゼノブレイド」は、いくら作りこまれていたと言っても、ストーリー重視である以上、どうやっても興味はそっちに行ってしまう。
ましてや、期間限定のイベントや取り逃したら二度とやれないことなどがあるとなおさらだ。
今作でも「クエストが事実上の失敗に分岐する」ルートなどがあり、冷めてしまう部分はあるのだが、基本的に取り逃したらもう無理といったものはないようにしている。
自分のやりたいようにやっていると、そこでイベントが発生して、能動的に遊んでいけるような構造になっている今作のほうが、自由に遊んでいる感じがしていい。

用意されたストーリーを鑑賞していくといった作りのほうが一般的な受けはいいのかもしれない。
今作は、与えられたストーリーを順番に見ていくのではなく、用意された世界を能動的に遊んでいくことでストーリーが展開していくという作りが、わかりにくい面白さではあるが、意図としては面白い。
(ロマサガのフリーシナリオに近い作りだが、アレとはまたちょっと違う)

移動の制限がなく序盤から割と好きな場所に行くことが出来るので、人によってクエストをクリアする順番など冒険の軌跡が違って来るというのが良い。
そんなRPG、昔からあるし特に画期的でもないという話になるかもしれないが、意外と最近のRPGでこういう部分を大切に作られたものは少ないのではないだろうか。
全体的にストーリーが淡白なところはあるが、ドールに乗れるようになる、あるいは、ドールフライトユニットを完成させて空を飛べるようになる、という要所要所でのゲーム的な出来事に感動していくような作りに感じる。
この辺の楽しませ方も実にMMORPG的で、ストーリーそれ自体よりも、コンテンツに参加できるようになる過程を面白く感じさせるように作っている。
(これは意味が伝わりにくいと思うが、例えば高レベルまで上げて強い装備を着れるようになるとか、目玉のボス戦に行けるようになるクエストをクリアしたなど、古い例だとFF11でチョコボに乗れるようになったり飛空艇パスを手に入れるなどといった喜び)
だから最初に書いたように、こういったところまでMMORPGっぽくする必要はなかったのではないか?という話になっている。

さて、今作ではフィールドのオープンワールド化に挑戦している。
(基本的に)画面が切り替わらず、巨大なフィールドが1つのマップに収まっているという作りだ。

オープンワールドは、技術的にかなり大変なのだが、苦労する割にゲーム的にはデメリットが多くて、メリット(恩恵)が目に見えて少ない。
広大なマップがシームレスにつながっている臨場感とリアリティは素晴らしいのだが、プレイヤーにとっては不便を感じるところが多い。

例えばマップが際限なく広いために、目的地や現在地がわかりにくく、マップ構造も覚えづらくなって、取っ付きが悪くなる。
「ゼノブレイドクロス」では、広大なマップをセグメント(六角形で区切って表示)化して表示することで、この問題をある程度解決させようと考えたようだ。
(しかし、マップが二重構造になっていたり複雑な造形をしている場所が多いため、完全に解決できていないのが残念)

また、オープンワールドのゲームではありがちな、ただだだっ広いだけで、そのマップ自体もよく見ると使い回しが多かったりする。
今作は、とにかくマップ密度が凄まじく、横方向だけでなく縦方向にも尋常じゃないぐらいマップが詰め込まれていて、そのあまりの濃さに驚愕するほどだ。
というか、Wii Uの底力をまじまじと見せつけてくれる密度と言ってもいい。よくぞWii Uでここまでのクオリティのものを作り上げた!!と拍手したい。
良くWii Uは一世代遅れのマシンなどと揶揄されるが、まだまだ工夫次第で戦えるスペックを持っているということをこのゲームを通して感じた。

特に凄いのは原初の荒野と夜行の森。この2つは序盤のロケーションにしてしまうのは勿体無いぐらい作りこまれている。
白樹の大陸、忘却の大陸あたりを最初に持ってくるぐらいがちょうどよかった気が?

ただ個人的な心境で言えば、「そこまで無理してオープンワールドにこだわらなくても...」という感じだ。
やっぱりプレイヤーが、自由になんでもやれ過ぎてしまうことが逆に、ゲーム側の管理を難しくして、結果的にクオリティを落としてしまう部分が少なからずあるためだ。
オープンワールドにこだわって、これだけの水準のものを作り上げた事自体は評価したい。しかし、「ゼノブレイドクロス」がオープンワールドである必然性については疑問が残る。

例えば、拠点であるNLAからシームレスに、原初の荒野に移動できたりするのは感動するのだが、現実的には目的地へ移動する場合は、スキップトラベルを使ってワープ移動をする。
それ以外の、洞窟や敵の拠点(要塞)などにもエリア切り替えがおこらないのは、単純に凄いんだけど、技術的に凄いだけでゲーム的には止まっているのだ。
オープンワールドにこだわることで、どうしてもマップ制作に厳しい制限などが加わり、凝ったダンジョンなどが作れず、チンケなものになりがちだ。
特にマップを一枚に統一すると、同時にスケールも統一しなければならないので、ハッタリをきかせるみたいなことが出来ない。

「ゼノブレイドクロス」のオープンワールドは極めてクオリティが高く、そういった問題点を感じさせないパワーを放っているのだが、逆にそこまで拘る必要もあったのだろうか、という複雑な気持ちも生まれる。

バトルなどゲームバランス全般について。

前作からそうだったが、レベル補正が強烈にかかるので、「結局レベル上げちまえばいいじゃん」という結論になってしまう。
アーツのセッティングやレベルアップ、装備品の強化に至るまでかなり自由にカスタマイズできて強化する楽しみを用意してくれてるんだけど、
手間隙かけてこの辺を色々やるよりは、レベル上げてしまった方が極端に楽になってしまう。
特に今作の場合、ドールの購入で高額な出費を強いられるので、装備にそこまでする余裕が無い。

バトル自体も、スキルを小気味良く発動して本格的なバトルシーンが展開するのだが、結局のところそれっぽい感じで止まっている。
バトルそれ自体をうまくこなせば勝てるとかって言うより、勝てるレベルまで上げたりドールを揃えたりってことのほうが重要である。
なので、戦闘シーン自体がキーになってるわけではなくて、飽くまでそれっぽい雰囲気というか、そういう位置にある。

これは、日本ファルコム初期の作品(「イース」「風の伝説ザナドゥ」など)に非常に似た作りになっている。

装備のカスタマイズ、バトルシステム、それそのものが独立して完成していて面白いのではなく、それ以外の要素、レベル上げだったり探索要素など、総合的に全部が揃って初めて面白いということだ。
こう言った曖昧ではっきりしないゲーム作りは、中々狙って出せないので、凄いと言いたい。
そして多くのプレイヤーは、そうやって騙されていることに気づかず、面白いという感覚に陥るところが上手いのだ。

例えば、ドールに乗ったほうが強くなるが、戦闘自体は単調で面白くなくなる。だけど、シチュエーションとしては正しい。
色んな戦い方があると思うが、個人的にはインナー(人間)戦で延々オーバークロックを出し続けられるようにした戦闘がサクサク敵を倒せて面白い。
もちろん、格上の敵(大型モンスターなど)が相手になると、敵ごとに対策を練らなければならなくなるのだが、そこで初めて装備品やアーツのセッティングが活きてくる。
つまり、今まで上で述べたように、すべての要素が最終的に揃って初めて面白いゲームとなるのだ。

この辺り、前作ではストーリー一本槍の構成だったので、特にゲーム後半のボス戦で詰まってしまうとレベル上げの作業が苦痛になっていたものだった(それ以外にやることが見当たらなくなるため)。
今作では脇道要素がむしろメインになっているので、意識的にレベル上げをする必要がなくなり、色々クエストやったり試していたら気がついたらレベルが上がって強くなっていたという理想的な状態になりやすい。

ゲームバランスは、正直言って優しくないというか、かなり突き放した作りだ。
誤解せずに書くと、良い意味でゲームに都合のいい敵の置き方をしてないというか、序盤に訪れるだろうところから、普通に高レベルのモンスターが一緒になって配置されていたりする。
前作でもそういうところはあったが、今作では余計その傾向が強い。
ここはこのレベルぐらいで行くところなんだろうというような敵の置き方をしてない。
なので、時折理不尽だなと感じることもあるが、レベルが上がって強くなって再びそこに来た時に、前は勝てなかった相手に勝てるようになるなどの喜びがある。

最高レベルが60というのもがっくり来る人がいたと思うが(敵側は普通にLV60以上のものがいるので)、レベル補正によるゲームシステムであることから来るのだろうと思われる。
敵のレベルを上回れば簡単に倒せてしまうので、経験値稼ぎはそこそこに楽に終わるようにして、後は装備品やドール、アーツのカスタマイズで格上のモンスターと工夫して戦って欲しいという配慮だ。

クエストについて。
次にどこへ行くべきかというのが基本的にナビゲーションしてくれるようになっている(MMORPGでは一般的なシステム)。
だが、特定のアイテムを拾って来い、または、モンスターを倒して得られるアイテムを持ってこい、という目的に対してはナビが示されない。
それ以外にも、例外として「自分で見つけろ」という趣旨のクエストについてはやはりナビ機能がつかない。

こうなると、とたんに難易度が上がる。何をすればいいかわからなくなるからだ。
特定のモンスターを倒して得る素材に関しては、オンラインにつないでスコードクエストをやってると手に入る報酬チケットで直接リストから交換できるが、アイテムを拾い集めるクエストは自分の手で取ってこなければならない。
こうなると、他人と情報交換でもしなければクリアが非常に困難になる。

ミーバースと連動しており、ゲーム中に質問したり、クリアした人がどうやってクリアしたかという投稿がピックアップされて時折ゲーム上に表示してくれる。
こういう機能は面白いんだけど、アクセスしたいときに表示されないし、自分の送信した発言も他人にはどうやっていつ読まれているのかがはっきりしないためどうにも不便。
自動表示されるものも、いつ更新しに行っているのかが不明瞭で、そういうところがわかりにくい。いつも同じ発言ばかり出てきて、もっと頻繁に入れ替えて欲しいと感じた。

なぜ収集系のクエストになるととたんに突き放した状態になるのかというと、きちんと理由がある。
MMORPGでは、次に何をするべきかというガイド機能が優秀過ぎて、ゲームによってはマップのアイコン追ってるだけで勝手にクエストが進むぐらい親切な作りになっていたりする。
それが逆に、試行錯誤する楽しさを奪っているという考えもあり、「ゼノブレイドクロス」では、どのへんまでゲーム上でヒントを与えるか考えた結果が今のような状態なんだろう。

親切過ぎるゲームで楽しさを奪って作業化させてるんじゃないかというメジャーなタイトルを挙げると、スクウェアエニックス「ファイナルファンタジー14」がそれに該当する。
(FF14は、極力迷わせずにゲームを進められることをコンセプトとしているので、ああいう作りになっている)
もっと極端な例を出すと、今の韓国産MMORPG(基本無料)なんかは、目的地まで自動移動という機能まで入っており、それがクリックゲーと揶揄される原因となっているほどだ。

それよりも、このゲームで問題だと感じたのは、アイテム名や敵の名称、風貌などに魅力がなく、覚えづらいところにあると思う。
もっと言うと、それ以上に、固有名詞がかなり多くて、序盤の取っ掛かりが悪いというのはそれが原因だと感じる(レアモンスター→オーバード、人間時→インナーなど)。

序盤のイベントシーンで(ナビゲーションボールを手に入れる所)、暗にFF13を批判するようなシーンがおちゃらけて入っている(勿論直接ゲーム名までは言わない)が、
その批判パロディが、そっくりそのままこのゲームにも当てはまっていると言いたい。

収集系アイテムは、落ちている場所が想像しにくく、これはどこで手に入るのだろう?と言うものばかり。
敵に関しても全く同じことが言えて、相当やり込まないと、敵の見た目と名前が一致しないんじゃないだろうか。
どこに生息しているのかというのも、わかりにくくて、クエストで示された敵を探してみても中々見つからないということが当たり前のように起こる。
このへんがもっと、抽象的な物言いで申し訳ないが、覚えやすく親しみの持てる名称だったり、敵のデザインも個性的で愛着の持てる作りこみができれば、「あの敵はあそこで見かけた」というように思い出すことが出来たのではないだろうか。
特に敵のデザインは独創的ではあるが、どの敵も化け物じみたクリーチャーで、中には風景とマッチして見惚れるような巨大モンスターもいるにはいるが、それ単体で記憶に残るような造詣のモンスターが少ない。
一目見て、強烈な印象を残すような個性的な敵が見当たらないのだ。

操作性について。

Wii Uゲームパッドで最も快適に操作できるように作られている。
Wii U用コントローラにも対応しているが、ゲームパッドの画面にマップが表示されてスキップトラベルやデータプローブの操作はそっちでしか出来ないので、ゲームパッドを触る必要がある。

慣れるまでの最初は、ゲームパッドの画面とTVモニターの両方を使わされるところが面倒くさかったが、慣れてくると気にならなくなった。

操作性はシンプルにまとめてはいるが、UIの表示も含めてどことなくごっちゃりとしている印象。
敵をターゲットするのがRボタンなのだが、ターゲット切り替えがR+A(右の敵に移動)かR+Y(左の敵に移動)というのが頻繁に使う操作にしてはずいぶん使いにくい操作だと感じた。

他には、かなりカメラを引くことができるが、NPCと話すときやオブジェクトを調べるときの判定がカメラのデフォルト視点に合わせていて、引いた状態だとかなり判定が狭く感じる所。

カメラの操作をかなり細かくいじれるが、思ったほど自由度がない。
というかそれとは関係なく、洞窟などカメラ自体が壁に埋まりそうな狭いところに入ると、とたんにくにゃっとした動きになってしまうのが微妙に不快だった。

それ以外だと、ドール騎乗時の挙動が実に大雑把で、意図的なものなのかもしれないが、細かい操作に反応してくれなくてイライラする事が目立った。
フライトユニットを手に入れて空を飛べるようになると、ジャンプ操作ができなくなるのも不満だった(空飛べるから使わないとか適当なボタンが無いとかだったのかもしれない)。

最後に、オンライン周りについて。

任天堂から発売されるということもあって、Wii Uゲームパッドとミーバースを上手に使うようにお達しでも出ているんだろうと思う。
幸いゲームパッドは無理矢理感がなくうまく使えていると思う(必然性については疑問が残るが)。

オンラインについては、「ゆるくつながるオンライン」というフレーズをテーマとして掲げているが、正直かなり具体化する所で難航したように見受けられた。

オンラインの状態の時は、最大32人収容できるスコード(部屋)に所属することになるのだが、誰かを指名してチャットしたり何かをリアルタイムにアプローチしたりということは出来ない。
(ただし、フレンド登録することが出来て、フレンド同士なら同じスコードに所属する事ができるようになるという恩恵はある)

32人全員が同じフィールドで冒険して他のプレイヤーが直接的に同期して見えるというようなことはない(オンラインクエストで最大4人が専用フィールドで協力して戦うという小規模な遊びはある)。
というかそれをやってしまうと、本物のオンラインゲームになってしまう。

やれることといえば、受注したオンラインクエストをスコード全員に向けて招待(自動的に行われる)したり、自分が倒した敵から手に入れた戦利品を同じスコードの他の誰かに流す(ディール)提案を出すなど。

後はランダムに選出された他のプレイヤーがフィールド上に出現し、パーティメンバーに入れて一緒に戦ってもらうことが出来る。
誘ってもらったプレイヤーは、一緒に戦ったぶんの経験値とそれに見合った戦利品を後から受け取れる(DQ10のサポート仲間の概念に近い)。

多分、狙いとしては、一人用のRPGだが、同じ瞬間に同じゲームをプレイしている人がいるという賑やかし感を出したかったのだと思う。
それを演出するには、ずいぶんと大掛かりだし複雑だし、非常に苦労したんだと言うことを感じた。
本来はもっと直接的なやりとりが出来たりしたんじゃないだろうか。

また、ことさらブレイドレポートで発言させようと頻繁にポップアップで促してくるのもうざったい。
さっきも書いたが、発言したものが誰に読まれるのか、どういった形で表示されるのかが、わかりにくいので、あまり使いたいと思わないのだ。
逆を言えば、もっとこのへんが明瞭に説明されれば、使いたいと思うし、むしろ活用していると思う。
こういうところも簡素な電子説明書に投げっぱなしできちんと説明されていないのだから困る。

褒めてるんだかけなしているんだかよくわからない内容になってしまった。
やはり争点となるのは、何度か書いているが、人を選ぶマニアック路線に走ってしまったことが悔やまれる。
個人的にはこの路線も嫌いじゃないというか、支持している方である。クリアまでダラダラと気がつけば86時間もプレイしてしまった。
しかし人によっては、このゲームはクエストばかりでつまらないお使いの集合体と感じる人もいるように思うし、それどころか序盤の取っ付きの明らかな悪さ、配慮の無さは無視できない。

また、MMORPG的面白さを表現しようとした作品だが、変なところが今風になっていて、スタンドアロンのRPGらしからぬ複雑さがあったり、どうにもコンセプトがはっきりしない。
与えられた世界を、ただおもむろに探検したり冒険したりするMMORPGの良さを再現したかったのだとは思うが、うまく表現できているかというとそれについてもどうもすっきりしない。

結局、面白いっちゃ面白いけど、悪いところもやたら目立ったりして、なんだかとっても勿体無いのだ。
MMORPG的な面白さの再現度で言えば、前作のほうがオフラインのRPGとしてはバランスが取れていてよかった気がする。
遊びきれないほど膨大に用意されたクエストや、開拓作業は楽しいんだけど、どこか釈然としない。遊びきれないボリュームがあることが原因でもやっとしてしまうのか、なんとも難しい話だ。

ただひとつ思ったのは、今作は良くも悪くもモノリス色が強く出過ぎだったように思う。
前作で高く評価されたことで、任天堂も好き勝手やらせすぎたのかもしれない。そこで結論。

かなりの力作だが、人を選ぶもったいない作品。





[2015/06/05]
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