ゼノサーガ エピソード3 ツァラトゥストラはかく語りき


対応機種プレイステーション2
発売日2006/07/06
価格6980円
発売元バンダイナムコゲームス

(c)2001-2006 NBGI / MONOLITHSOFT
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壮大なSFファンタジーロールプレイング。未だかつて無いスケールで描かれる重厚壮大なストーリー。ついに完結。

一作目からなんと4年である。2年ごとに発売してきて、とりあえずはやりっ放しで終わらずに、ひとしきりのピリオドを打つことが出来たそのことに評価したい。
セガ「シェンムー」みたいに、言うだけ言って落ちるってほうが確率的には高いからなー。

まー、とにかくストーリーの比重が強いゲームである。相変わらず。
今回は、テキスト+ボイス&ムービーの体裁をとっている。これまでイベントは全てムービーでやってきていたが、やっと適切な位置がわかってきた感じだ。
これによって、見せ場のムービーはよりクオリティ高く、語りのイベントシーンをより多く挿入出来るようになったことによって、分量的にもかなりの情報量を組み入れることが出来た。
ムービーの多いテイルズってたとえたらわかりやすいかなー。
ただ、通常時の会話ウィンドウが吹き出し型なのに対し、イベント時は、上下3行分のウィンドウ表示なのは違和感あり。
せっかくカメラワークで動いてくれるのに、画面占有率が高く、淡泊とした印象を与える。
同社「テイルズオブ」シリーズでは、吹き出し型が当たり前なのだから、吹き出しウィンドウを使って、もっとキャラの表情やカットに凝って欲しかった。
一度に表示出来る文字も少なく、妙なところで頻繁にぶつぶつとぎれてしまうのも困ったところ。声つきだから、違和感もそのぶん増大。

ゲーム独特の固有名詞が多く、ある程度シリーズに知識ある人間でも、距離感を持ってしまい、なかなか入り込めない。

インターフェース周りは相当たたかれたのか、かなり考えられている印象。万全とは言えないが、悪くはない。
データベース機能が充実しており、物語の補完にも役立つのだが、更新順序別での表示もやって欲しかった。
項目がこれだけ多いと、全部チェックするまめな人の方が少ないはずで、自分の興味を持った部分だけを参照する活用の仕方をする人が多いだろう。
あと、構成が良くないのか、読みづらい気もする。もうちょっと行間を詰めて、スクロールさせる手間を減らしても良かったかと。

そういや、データベースが整備されたせいか、サブクエストがリスト化されなくなったのはどうよ。結構、色々あるようなのだが、だからこそリスト表示して興味をひかせるようにすべきなのだが。

戦闘の切り替わりが一瞬である。というか、おそらく読み込んでいない。エリア切り替えの時に一括して読んでしまっているのだろう。
そのため、メモリの節減が目的のせいか、かなりさっぱりした作りとなっている。
これは、意外と好き嫌いが出るだろう。演出過多なRPGが当たり前な現在にとって、その演出が貧弱な本作品は、はっきりいえば寂しい。
だが、それこそプレイヤーにとっては、長々とエフェクトを見せつけられるよりかは、結果のほうが重要なわけで、テンポやレスポンスを優先した今回の方針は歓迎したい。
戦闘コマンドのウィンドウを何とか出来なかったのかと思う。FF10にかなり近い構成だが、使い勝手に関しては負けている。
カテゴリわけが下手くそだし、表示枠が小さいので、あやまって間違ったコマンドを選んでしまうことも少なくない。

常用されるBGMが露骨に手抜きなのはいただけない。無音の場所も増えてるしねぇ。イベントBGMはやたら凝ってるのだが。特に戦闘がひどい。

戦闘システムそのものも、だいぶ旧世代的なシンプルな物で、見た目は今風なゲームなのに…、というギャップが先行して、おっとっとっとたたらを踏んでしまったぐらいだ。
まあ前2作のシステムが、こだわりすぎて上滑りを起こしていたことを考えると適当かもしれない。
戦闘はシンプルゆえに、結構面白い。余計な冒険をしていないからだ。
やれることが少ない序盤はともかく、ゲーム後半のボス戦の駆け引きは、そこそこにシビアで、良い位置にあると思う。
しかし、ザコ戦が一貫してバランスが悪く、戦う気が起きないのは問題だ。ここでのバランスが悪いというのは、難しいという意味ではなく、つまらないという意味である。
ちゃんと調整したとは思えない、無駄にHPが高い敵や、序盤から使えるエルデカイザーという元々は隠し技だった必殺技の強さと来たら、真面目にやるのが馬鹿らしくなるほどである。
さいわい、レベル上げが必要ないゲームだし、敵はシンボル型だしで、それなりにフォローはされている。でも、この辺のゲームバランスの付け方が素人くさいのは悪印象。

成長システムの一つとして、スタイルラインというものがある。特定のポイントを消費して、キャラクターを強化していくシステム。
有名どころで言えば、ファイナルファンタジー10のスフィア盤なんかに近い。2系統の成長ラインがあり、好きな方を選べるのだが、それ以上分岐がないので、言うほど自由さは無い。
変わりにキャラ間の個性は重視されるが、ゲーム的なおもしろさを犠牲にしている。
それと相変わらず、アイテム&アビリティ名称の馴染みにくさといったら、何とかして欲しい。

最初にも述べたが、ゲーム固有の名詞が多く、これが戦闘時の属性なんかにも使われるので、理解するまでが困る。
多くが略式表記されるのだが、ビーム属性とバイオ(生物)属性両方がBと被って表記されるのが気になった。

今作からでも入り込めるよう、前2作のあらすじが読めたりするのだが、突然仲間が一気に増えたり、ちょっと普通のRPGではあり得ない構成をしていることもあって、取っつきは良くない。

モノリスソフトという会社は、ゼノギアスの新作を作りたくてスクウェアから独立した会社であり、今回ようやく悲願達成がかなったと言える。
だが、この三部作を振り返ってみると、皮肉なことにスクウェアRPGの後追いで終わってしまっている。それも具体的に言えば、FF10。
ゲームの出来不出来、おもしろさは別にして、なんだかんだいって、スクウェアのRPGは、よく考えられて作られている。
たとえば、先にも指摘したが、戦闘ウィンドウ、フィールドカメラの快適性や、些細なバランス構成なんかも、ゼノサーガはそのスクウェア製にすら届いていないのだ。
それから、これは非常に気になるところだが、はじめからストーリープロットがすべて出来上がっていたのかどうか。どうも、行き当たりばったりで作ってきた印象がぬぐえない。
特に完結編として作られた今回においては、無理矢理にでも終わらせようとしたっちゅう気がしてならない。

グラフィックは、キャラクターモデリングはその都度手を入れられ、クオリティアップしている。毎回、目が大きくなったり小さくなったりするところが指摘されているが、あれは確かに変。ただようやく、完成地点にたどり着いたかと。
しかし、それ以外の部分は使い回しで、基本的に水準は一作目が出た2002年当時の物。なんというか、古くさい。
ムービー以外のイベント時のモーションは、PS1時代のレベル。もう少し、頑張って欲しい。

2枚組のわりには、イベント視聴の時間が長く、ゲームボリューム的には、物足りない気がする。結局は、そういったゲームなのだろう。そこで結論。

スクウェアにいた方が良かったんじゃないか?今の経営方針だったら作らせてもらえただろうし。





[2006/07/10]
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