ヨッシーアイランドDS


対応機種ニンテンドーDS
発売日2007/03/08
価格4800円
発売元任天堂

(c)2006-2007 Nintendo / ARTOON
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ヨッシーが主役のジャンプアクションの新作が久々に登場。
赤ちゃんを背に、タマゴを武器に、孤軍奮闘する異色なようでその実オーソドックスなアクションゲームだ。

昨年大ヒットした「Newスーパーマリオブラザーズ」では、ポリゴンの横スクロールアクションだったが、本作では昔ながらのドットを貫いており、制作者の意気込みが感じられる。
絵本のようなグラフィックも健在。

いまやヨッシーが主人公のゲームはいくつか出ているが、1995年に発売されたSFC「ヨッシーアイランド」を踏襲した作品となっている。

ゲームシステムや内容、中身もほぼ一緒で、新しい試みなどは見られない。

ただし、ゲームの幅をひろげるために、背中に乗せている赤ちゃんによって、性能が変化するシステムを採用している。

マリオだとBダッシュが出来る、ピーチ姫だとジャンプ時に日傘を差して、上昇気流に乗ることが出来る、といった具合。

ステージマップの要所要所に、停留所のようなギミックがあり、そこでキャラクターを変更することが出来る。

任天堂のアクションゲームなのだから、出来が悪いわけがない!というわけで、なかなか良く出来ている。
だが、いくつか気になった点もあったので、良くできていることを前提に、その辺を指摘する。

SFC「ヨッシーアイランド」のステージを差し替えただけのほぼそのままの作品なので、当時の長所だけでなく欠点も引き継がれている。

一定の査定基準で、ステージクリア後に点数が採点されるが、満点を取るのが非常に難しい。
とくに、敵によって赤ちゃんを引き離された時に減少するお守りスターも、点数に影響されるため、クリア時に満タンである必要があるが、自動的に回復するのは10まで。
しかし、お守りスターをゲット出来るのは、ステージ内でも限られた場所だけ。

SFC版では、アイテムの存在によって、この縛りを軽減させることが出来たが、今作ではアイテムの仕様が撤廃され、より厳しい条件になっている。

逆に、ただクリアするだけであれば、ミスするまでがかなり甘いので、かなり難易度が低く、また、ステージも少なく感じられる。

Newスーパーマリオブラザーズと一緒で、やり込み要素(このゲームの場合、100点を目指す)を凝り始めると、劇的に難しくなる。

この辺のバランスの極端さがえらいひどさで、割り切ってる風にも感じられる。
こういったエッジのきいた作りが、今ひとつ受けを悪くしているんではないかと思う。

正直言って、今の時代に、ここまでストイックなゲームが出るとは思わなかった。

画面の表示は、2画面をフルに使ったもので、そのせいか縦に広いステージ構成になっている。
上下方向の視界はやけに広いが、左右は相変わらず液晶画面の小ささがネックになっていて、狭く見づらい印象を与える。

このゲームは、横スクロールアクションである。
横方向の視界の悪さは致命的とも言える。

「ヨッシーアイランド」というゲームは、基本的に右へ進めていくタイプのステージが多いが、進行方向が定まってない横スクロールアクションで、
スーパーファミコン版では、それがステージギミックの自由度を広げたとも言えた。

しかし、DS版では、右往左往させるステージ構成は、画面の狭さから来る、画面外からの敵の奇襲が頻繁に起こり、ストレスの元となっている。
一定方向に進行方向を定めておけば、キャラクターをその方向の中心からずらして表示させれば視界は確保出来る。

ところが、統一されてないゲームでは、そういったことが出来ないので、画面の外からいきなり敵に接触した、とか、かなり近い距離から敵の動きに反応しなければならない、というアンフェアなゲームだと思わされてしまう。
たしかDS初期にリリースされた「キャッチ!タッチ!ヨッシー!」では、強制スクロールで、方向が固定されていた記憶があるのだが…。
こういった事情を理解した上での英断だったのだろうと思う。

2画面を使った縦方向からのギミックは新鮮なところも多くあったが、プレイヤーは、操作キャラがいる画面を凝視してもう一方の画面をほとんど見ていないことにこのゲームを遊んでいると気づかされる。
たとえば、上画面に敵がいるのに気づかず、攻撃を受けたり、画面を活用して先のマップのギミックを見せていたりして、注意を促したりしていても、そういったことに“意外と”気づけないのである。

また、2画面の表示についても、そのままつなげて表示しているのではなく、画面と画面の間の部分もゲーム側でしっかり計算して隠して表示しているので、ど真ん中に死角があるようになっている。
これは、ビジュアル的には違和感がないのだが、遊んでいると、非常に気になる。
特に、縦方向に向かって進んでいく場面だと、死角が真ん中に来るので、遊んでいてつらい。

ステージ構成については、一部スーパーファミコン版を使い回している部分がある。
これは手抜きと取られやすいが、当時を懐かしむ意図もあり、いいんじゃないかと思う。

しかし残念なのは音楽だ。
見た目ほとんど当時のままなのだが、音楽のみ新曲に差し替えられている。

この新曲がSFC版に大きく負けている。テンポと迫力に欠け、テンションが上がらない。
ここまで昔のままだったのである。もういっそのこと、音楽もそのままでいっても違和感はなかったように思う。

スーパーファミコン版では、当時のプレイステーションやサターンに対抗する意図があったのか、特殊処理を積極的に使っていたが、
このゲームでは、あまり2Dの特殊処理というのは見られない。

当時話題になったポリゴンも一切使っていないし、モーフィング処理、扉の開け閉めなんかもあっさりしたものだ。

時代柄、使う必要性がないと言われてしまえばそれまでだが、ゲーム全体に華が感じられず、地味である。

つらつらと、きついことを書いてしまったが、面白いゲームなのは確か。
それ以上に、DSでアクションゲームを制作する難しさを感じさせられる作品である。
クリエイターの知恵と工夫と客観性が求められるジャンルではないか。

そこで結論。

DSで横スクロールアクションを作るのは難しい。





[2007/03/17]
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