ゼルダの伝説 時のオカリナ3D


対応機種ニンテンドー3DS
発売日2011/06/16
価格4800円
発売元任天堂

(c)1998-2011 Nintendo / GREZZO
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ニンテンドウ64で発売された傑作「ゼルダの伝説 時のオカリナ」が13年の時を経て鮮やかに復活!
「聖剣伝説」を代表作に持つ石井浩一(元スクウェア)が設立したグレッゾが移植を手がけた。

ベタ移植ではなく、ニンテンドー3DSの性能に合わせて、映像、操作性ともにリニューアルされている。

本体の立体視機能に対応しており、臨場感が増している。また、ジャイロセンサーも使っており、主観視点では本体の動きに連動して画面が動かせる。
が、センサーを切って従来通りの操作で遊ぶことも出来るので3D表示と比べると必然性に乏しい。とりあえず3DSの機能を一通り活用してみたんだろう。

グラフィックは、解像度やフレームレートが上がったことで、ニンテンドウ64版と比べると格段と鮮明になった。
それにともなって、テクスチャやエフェクト効果など、細かいディテールも再調整されていて、キャラクタの挙動など細部の仕様まで色々と変わっている。勿論基本的にオリジナルに忠実なのは言うまでもない。

見た目はもっと小奇麗に出来ただろうが、敢えて当時の雰囲気を優先したのだろう、綺麗にはなったが、それほど変わった印象は受けない。
こういうこだわりは、目立たないので評価されにくいところだが、素晴らしいと言える。

インターフェイスは悪くはないのだが、全般的に洗練されてない印象を受けた。
ボタン数が足りないため、タッチパネルで操作しなければならないコマンドがどうしてもでてしまい、それに対する対処に粗が目立つのだ。

アイテムは本来Cボタンユニットに3つ同時に装備できたが、3DS版ではX,Yボタンと、下画面の右上と右下の部分に計4つ同時に装着できるが、タッチパネルに装備できる2つの項目がどうにも使いづらい。中々使いこなせない。
使用頻度の低いものを付けて欲しいという意図で作ったのだと思うが、あまり快適という感じが無い。結局良く使うアイテムを2つ、X,Yボタンに頻繁に入れ替えて使うという事態に。

要所要所で使うアイテムの「時のオカリナ」は、仕様が変更され左下のタッチパネルアイコンに固定された。一々装備品から付け替える手間がなくなったのは良い改善点と言える。また、オカリナを構えたときに楽譜を確認できるのも便利だ。

そして最悪なのが、主観カメラの切り替え操作だ。タッチパネルの左上に主観モードと切り替えられるボタンが用意されているが、あたりを見回すなど使用頻度が高いコマンドなのにタッチパネルの左上というのはかなり使いづらい。ちなみにナビィの呼びかけに答えるのもこのボタンだ。
ぶっちゃけ、あまりに使いづらかったので、フックショットやブーメラン等、主観視点になるアイテムをXボタンに常に付けて、それを主観モードの切り替えに代用していた。

ちなみにボタンが足りないとは言うものの、メニュー画面などカーソル操作に使う以外に操作の割り振りがない十字キーが実は余っている。
ここにまでアイテムを装備させたりすると、複雑な操作になるから、敢えて外したのだと思うが、せめて主観カメラとの切り替えぐらいは十字キーに割り振って欲しかった所だ。

タッチパネルとボタン操作を併用させると、どうしても煩雑なものになってしまうから、この辺はもう少し練り込む余地はあったと感じた。

不満点ばかり列挙してしまったが、劣悪という訳ではない。慣れればそこまで気にならないレベルではある。

たかが移植作品なのだが、任天堂ホームページの「社長が訊く」で大々的に取り上げたり、かなり気合いが入っている作品だ。

キャラクターデザインをわざわざ新たに描き起こしたり、GC「風のタクト」の予約特典でしか遊べなかった時のオカリナ裏バージョンが収録され、ゲームクリア後に挑戦できる。
しかも、左右反転したミラー世界となり敵から受けるダメージが2倍というスリル満点かつ新鮮さを演出した内容になっており、2周目もかなり楽しめる構造になっている。
裏バージョンは、何が違うのかというと、ダンジョンの仕掛けが変わっていて解くプロセスが全く異なっている。ただし、迷宮内もイベント仕立てになっているので、ダンジョンの構造そのものまで変える事はできないため、このギミックの元となっているディスクシステム版ゼルダの伝説の時ほど目新しさはない。
この辺の詳しい話はGC「ゼルダの伝説 時のオカリナGC」の方で長ったらしく書いているので、ここでは省略する。

恐らく本体と同時発売させるつもりだったのではないだろうか?任天堂の方針で、サードパーティに配慮して自社作品を分散させたため、中途半端な時期の発売となってしまった。

オリジナル版との明確な違いで目に付いたのは、水の神殿で明らかにヒントが増えていること、「トワイライトプリンセス」同様にブーツ系もアイテム扱いとなり着脱がやりやすくなったところが挙げられる。
この2点は、当時の雑誌インタビューや、Webでの開発者インタビューで「時のオカリナ」を語る際、反省点として毎回出てきている事例で、今回の移植では真っ先に直したかったことなのだろう。

また、振動パックを使った「もだえ石」は3DSでは再現できないので、代わりに「ヒビキ石」という、音で怪しい場所を知らせるアイテムに変更されている。

他にも、いつでも倒したボスと戦える機能が付いたりしているのだが、1点だけおせっかいと言われかねない要素がある。
ゼルダではご法度とも言える「ヒント映像」が見られるシーカーストーンが追加されている(裏ゼルダには無い)。
3Dゲームに慣れたユーザーの多い今でこそ標準的な難易度に見えるかもしれないが、オリジナルが発売された当初は、当時のヘビーゲーマーの間でも苦戦を強いられるゲームだった。
ネットの掲示板ではこのゲームの質問が溢れかえる有様だった。今、客観的に見ても、次の目的を手取り足取り教えるわけではなく、ある程度突き放した作りである。
そういう背景を考えると、こういう配慮はあって然るべきと言えるだろう。映像だってあからさまに答えを見せているものではない。

もう一点、これは自分も不要だと感じたことだ。
一定時間ゲームをプレイしているとナビィが「ちょっと休憩しよう」と休憩を促す台詞を喋る。
据え置き機なら妥当な手口かもしれないが、携帯ゲーム機の場合、必ずしも長時間ぶっ通しでやっているわけではなかったりする。
空いた時間に少しずつプレイして、中断するときはスリープモードにする。そうなると、ゲーム内のプレイ時間と実際のプレイ時間に誤差が生まれるのだ。
特にこのゲームの場合、一端セーブしてソフトを終了させた場合、次にプレイする際、再開場所がかなり限られているため、気軽に電源を落とせない仕組みになっている。
わざわざ電源落とすほどでなかったり、3DSの場合すれちがい通信もあるし…。となると、ナビィのこの警告は、そんなに必要だっただろうか?という気がする。

このへん、力みすぎて逆に色々世話を焼き過ぎた感じがした。それだけ力が入っているとも解釈できる。

操作性に難点は見受けられるものの、非常に豪華で丁寧な移植で、おまけにボリュームもたっぷりという申し分ないクオリティを持った作品だ。そこで結論。

13年経っても色褪せない面白さが詰まっている。今すぐ遊べ!!





[2011/06/24]
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