ゼルダの伝説 時のオカリナ


対応機種ニンテンドウ64
発売日1998/11/21
価格6800円
発売元任天堂

(c)1998 Nintendo
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スーパーマリオと並ぶ、任天堂の看板シリーズ、ゼルダの伝説。
それがニンテンドウ64で、3Dとなって大幅パワーアップして登場。
宮本茂はじめ精鋭スタッフの力の入れようは相当な物で発売は延期を重ね
本体発売から2年半もの月日を経て、遂に発売された。

スーパーマリオもN64のハードの力を借りて3Dアクションへ進化(変革といった方が正しいか)したが、
勿論、このゼルダも立体的な箱庭世界で遊ぶスタイルになっており、目新しさで溢れている。

8つのダンジョンを攻略するところや、他シリーズとのつながりをほのめかす辺りなど
ゲーム内容に大きな違いはなく、違っているのはフィールドが三次元で描かれているところぐらいである。

ゼルダシリーズは一作目から、自ら探索し発見することに楽しさの主軸を置いていたシリーズである。
そんなゲームに、3Dの箱庭空間を与えると言うことは鬼に金棒といってもいいかもしれない。
つまり、より世界を散策し発見するプロセスが面白くなっているのである。

勿論、それを支えるのが、グラフィックであり、ステージギミックであり、マップ構成であり、
時には絶妙なセンスであったりするのだが、どれもが完成度が高く素晴らしい出来映えである。

一方でゲームの3D化は、敷居の高さを招く向きもある。
視点が見下ろし型でない、主人公の目線に置いたカメラ位置は、物陰を作り
従来より広い空間は、探索を難航させる。
敵キャラクターとの戦いにおいても、位置取りや状況を把握することが従来より難しく
そういう面でのキャラクター制御の難易度も上げてしまう点。

ここで本作では2つの新しく便利なシステムを投入している。
ひとつ目がZ注目システム。
対象物に対しカメラをロックオンさせてしまう機能なのだが、
これによって、本来難しい操作を要求される局面でもすっきりした操作で対応出来、
グッと遊びやすくしている。
弓矢やブーメランといった飛び道具を当てるのにも、主観視点で狙いを定めるという
煩わしさも無い。

2つ目は、オートジャンプシステム。
Z注目に比べると地味なのだが、3D空間となると当然高さの概念もある。
本作では、実質ジャンプのアクションを削除して、必要なところでは勝手にジャンプをするという作りである。
正確に書くと、高さの概念に対し、プレイヤーがコントロール出来る作りではないということ。
つまり、足場と足場の飛び移りをオートでジャンプしてくれるだけでなく、ちょっとした段差もスティックを倒しているだけで
勝手に上に上がっていく。しかし任意で(ジャンプボタンといったもので)この操作をさせることはできない。
これではせっかく立体的な空間を用意したのに生かし切れないんじゃないかと思うかもしれないが、
ジャンプという一つの自由をバッサリ切ることで、見事に敷居を下げることに成功している。
操作性の簡略化だけではない、ジャンプが必要な局面は全てオートなので、出来ることと出来ないことが
はっきり分かるという意味合いも持っている。これはかなり大きい。
本来ジャンプに割り当てられるボタンを他のことに回せるのもでかいのではないだろうか。

インターフェースも限りなく洗練されていて、装備アイテムをCボタンに割り振って3つ同時に付けられることで、
メニュー切り替えの回数を減らすことに成功している。また、わりと多くのアクションが用意されてはいるが、
画面上に常にボタン操作のガイダンス的なものが表示されているためにこんがらがることは無い。
また、特殊アクションの殆どがAボタンで出来るので、特別難しい操作を要求されることもない。

3Dマップを一人で探索させるのは辛いだろうということで、ナビゲーター役として妖精ナビィというキャラを付けている。
敵の倒し方や、マップの怪しいところに飛んでいくなどのヒントを与えてくれるようになっていて、
これによって、3Dゆえの理不尽な難しさをかなり払拭出来ている。
ヒントの与え加減も絶妙で、敵の倒し方一つ取っても、最適な倒し方を必ずしも教えてくれる訳ではないし、
ボスキャラや重要な仕掛けに関しては、考えさせる余地をしっかり残している。

難易度に関しては、いたずらに難しいほどでなく、寧ろプレイヤーの注意力によって誤差が生じるほどで、
画面やイベントムービーに至るまで注意深く見ていれば、しっかりヒントが置いてあったりする。
但し、不慣れな序盤に若干難しめのフラグ立てを置いている気はする。

アクション操作に関しても、実のところ「ゼルダ64はアドベンチャーの比重が強い」と明言しているだけあって、
頭脳的な面を要求される作りで、しっかり考えてやれば、過度な反射神経や機敏な操作をむやみやたらに要求されるところは無い。
ゆえにアクションとしての難易度はそれほど高くない。かといって簡単というわけでも無い。
ただ、オートジャンプの性能が万能ではなく、希に本来行き来の出来るところで下に落ちてしまったりすることもある。
これは何とかして欲しかった所。

昼夜の概念を付けるなど世界観やストーリーの作り込みももの凄く、
緻密に描き込まれたテクスチャーと合わせて、精巧な箱庭フィールドが作り上げられている。素晴らしい。
それだけではない、ゼルダお馴染みのアイテムを駆使して世界に干渉出来る楽しさ。
ゼルダにしては強制イベントや見ているだけのイベントも増えているのだが、
基本的にゲームにストーリーが付いてきている程度であって、それ自体に深い意味はなく
ゲームを盛り上げるためだけの一要素でしかない。端的に言うと、一人語りが無いのだ。
ゲームとして退屈な間が無く、そこにある物語もゲームとして楽しませることに重点を置いている。

乗馬や釣りといったサブイベントもかなり多く、詰まっても気になる箇所が沢山用意してあるので、
退屈にならない。むしろ、そうやって後戻りさせることで進展するようにすら作られている節を感じるぐらい。
全てに置いて計算し尽くされたバランス設計には頭が下がる思いである。

目新しい面ばかり目立つが
ゼルダお馴染みの敵との剣劇や、墓地、砂漠、といったシリーズお馴染みのシチュエーションが
これでもかというほど入っており、感動の一言。
ダンジョンも、攻略順番を強制されない自由度は実にゼルダらしく、好きに遊ばせてくれる気持ちよさ。
全体マップは結構広いのだが、ワープ出来る仕込みが入っているので、無駄な移動時間が無いのも良い。

ゲームとしてのボリュームも申し分無く、何から何までがとにかく高い水準で出来た素晴らしいゲームといえよう。

シリーズ内だけではない、3Dアクションアドベンチャーの最高傑作。





[2004/03/30-2005/03/14]
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