ゼルダの伝説 大地の汽笛


対応機種ニンテンドーDS
発売日2009/12/23
価格4800円
発売元任天堂

(c)2009 Nintendo
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「夢幻の砂時計」に続く、ニンテンドーDS向けゼルダの伝説シリーズの2作目が堂々登場!
今度の乗り物は、船から一転して汽車である。奇抜なゲームデザインに期待が高まるところだ。

前作はタッチペンオンリーという思い切った操作性を実現させていたが、今作もタッチペンのみである。
世間的にどうだったのかわからないが、賛否両論だったはずである。従来型のゲームなのだから、キー操作にも何とか対応して欲しかった。
何も、タッチパネル操作なのを否定しているわけではない。問題なのは、そういう環境下でプレイさせるなら、その入力デバイスに適したゲーム内容やバランス取りをすれば良いだけであって、そういった配慮を感じさせてくれれば不満にはならない。
しかし、今回も剣を振るつもりが前に走ってしまった、あるいは前転してしまった、アイテムを使うつもりが装備し忘れて意図しない操作をしてしまった、という誤操作が非常に目立つ。
やはり致命的なのは、全てタッチペンで操作しなければならないので、機敏な対応が難しいことだ。しかし、バランス的には、キー操作を前提としたような忙しい作りにしてしまっているので、
そういった面でストレスを与えてしまい、結果として不満点として挙がってきてしまう。

何でもかんでもタッチパネル操作というのは、やはり有用な使い方ではないと思う。
それに適した効果的な活用法をすることで性能を発揮するわけであって、考えなしに全部の操作をタッチパネルにゆだねるのは無謀なだけである。
一応開発者としては、従来型の操作形態だと複雑で敷居が高くなることを危惧しての判断とのことなのだが、どう考えてもタッチペン操作が難易度を上げているとしか思えない。
体感的にも、前作以上に難易度が上昇しており、所々に理不尽さを感じて仕方がなかった(前作もラストは非常に辛いゲームだった)

なぜ今作で、ここまで手厳しく操縦性について触れたかというと、前作はまだ一発ネタの実験作として許せたからである。
しかも今回は、DS発売から丸5年が経過し、円熟期とも言える時期に、今更こんなゲームを出されても、「もうこの手のゲームは沢山だー!!」という印象しか持てなかった。

ゲーム構成やシステムエンジンは前作を流用しており、今回新たに指摘するところはほとんど無い。
グラフィックやインターフェイスが若干進化して、洗練された程度だ。

ちなみに、前作で賛否両論だった「海王の神殿」に当たる存在は形を変えて、本作にも登場している。
制限時間はさすがに撤廃され、同じフロアーを何回も潜ることはしなくて良くなったが、無敵のファントムと協力して謎かけを解いていくダンジョンになっている。
2人のキャラクタを切り替えて操作するのは煩わしさの方が大きいが、ギミックのバリエーションが増えて面白くもある。

フィールドには線路が引かれ、汽車に乗ってマップを駆けめぐる要素が新しい。
ようは船が形を変えただけなのだが、今回は進路がしっかり決まっている分、どうすればいいか明確だし、イベントをクリアすればするほど線路が増えていって、行動範囲が広がっていくという仕掛けも良い。
何よりまさか「ゼルダの伝説」で「電車でGO!」をやらされるとは思わなかった。非常に新しい。面白いつまらないは別として良い試みだと思う。
ただ、他にも線路上を滑走している電車があり、ぶつかってしまうと即ゲームオーバーになってしまうのはやりすぎだと思った。
敵も邪魔してくるし、岩に隠れているウサギを集めたり、十分ゲームギミックが詰まっているので、逆にもっと汽車を走らせて流れる景色をゆっくり見ながらゲームを進めたかったぐらいだ。

ニンテンドーDSの機能をフル活用したいのはわかるが、マイクで大きな声で喋らされたり、楽器でマイク端子に向かって息を吹きかけて演奏させるような要素はいらなかった。
マイクで喋らせるのは前作にもあったが、息を吹きかけるのは本体を近づけないと中々認識しないし、ゲーム側でもやたら感度が細かく設定されていて、きちんと息を認識しないと音が鳴らなくなるし、ただただイライラさせられるだけだった。
必須イベントでやらされる所は、そのせいもあってか、かなり判定が甘い。それならば最初から付けなければ良い。

トゥーンシェードの猫目リンクで、世界観も「夢幻の砂時計」とそれとなく繋がりをほのめかしている。なんだか無理矢理感すら感じられる気もするのだが。
ただ密接な繋がりは無く、登場人物やストーリーは割と良く出来ていると思う。
特に、ゼルダ姫はステレオタイプの王女様ではなく、適度に茶目っ気があって可愛い。昔ながらのシリーズファンからすると受けが悪いかもしれないが。これぐらいが人間味があって良い。
ゲーム中ずっとパートナーとして付いて回るのだから。

タッチペン操作のせいもあると思うが、全体的に謎解きのギミックやバランスがイマイチ「ゼルダ」にしては質が悪く感じた。
全体的なシナリオ展開も作業的でダレ気味である。やはりゼルダといえばダンジョンだろう。本作ではどちらかというと物語重視である。

サブゲームが今回も収録されているが、前作ではWi-Fi通信など手広く手を出していたが、今回はWi-Fi非対応となり内容重視に見直され、良くなったと思う。
多くの人は本編を遊ぶから、ないがしろにされがちだろうが、手を抜くことなくこういった部分にも力を入れて作っている点は評価したい。

やはり、任天堂に限ってそういったことは無いと思うが、続編の割に成長の見られない作品である。「ゼルダ」シリーズで売れるからと、ブランドにおぼれている印象を受けた作品であった。
DSタイトルでは2作目ということもあるし、やはりそこを考慮に入れるとお粗末なゲームと言わざるを得ない。勿論ゲーム単体では一定の水準を保ってはいるのだが。そこで結論。

進歩のない続編。





[2009/12/27]
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