ゼルダの伝説 夢を見る島


対応機種ゲームボーイ
発売日1993/06/06
価格3900円
発売元任天堂

(c)1993 Nintendo
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SFC「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」のシステムを引き継ぎ、今度はゲームボーイでゼルダ。
ハイラルではなくコホリント島を舞台に新たな冒険が幕を開ける。

たかがゲームボーイと侮る無かれ、そこにはSFC版のシステムをぎっしり詰め込み、
さらに洗練され完成度の高いギミックでプレイヤーを待ち受けている。

本作はゲームボーイであり、当然ながらスーパーファミコンよりもスペックが劣っている。
そのため、様々な制約がかかるはずなのであるが、上手にSFC版の雰囲気を持ってきている。
それどころか、少ない容量で小綺麗にまとめられており、凄い出来映えである。

画面は再びディスク版と同じく一画面切り替え方式に戻った。
これは退化しているとも取れるが、全然そんなことはなく、マップ上の工夫などで
むしろさらに遊びやすく分かりやすく出来上がっている。
しかも、その上でSFCやディスク版のマップ上の雰囲気をしっかり再現されている。
山、砂漠、砂浜、草原、おまけに墓地まである。明らかに画面が狭く、マップサイズも小さいのに良くこれだけ詰め込めた物である。
このことは、無駄な要素を切りつめてバッサリ取捨選択し、それが上手く行った結果と言える。

ゲーム自体は、外伝的な位置づけにある。
前作で見せた、荘厳なファンタジーを感じさせる設定はどこへやら、全て捨て去っている。
これも、GBではそれらの世界観が描ききれないといった事情があり、野暮ったいという理由からだろう。
その代わり、独自のシナリオを見せるという豪華さもある。
この出来がなかなかいい。外伝だから出来た儚く切ないストーリーが、凄く高い次元で出来上がっている。
そこにはスペックも色も必要ない、より本質で勝負を仕掛けたテキストの勝利と言えるだろう。

低年齢層を配慮したのか、小気味よく進み明るい雰囲気は、気軽に遊ぶ気分にさせてくれて、気持ちいい。

勿論ゼルダであるからダンジョン攻略も健在。
かなりの制約の中で作られているようで、基本的に一画面一部屋のディスク版方式に近い作りになっているが
SFC版を踏まえて、かなり中身が詰まったダンジョンになっていて、とても面白い。
狭い画面の中に良くこれだけのギミックを破綻無く組み込めた物である。
しかも、SFCよりもさらに練り込まれた仕掛けばかりで、SFC版を遊んでいてもなお、驚きの連続である。
実はあまり前作ほど新アイテムといったほどの物は無く、逆にアイテム数は減っているほどで、
つまりは、より厳しい制約の中からパズルダンジョンのネタをひねり出しているというわけだ。
そのため、アイテムを2つ組み合わせて(装備させて)使うという新しい自由度も見せる。

ストーリーがある、とはいえ、基本的にダンジョン攻略が主であり、余計なイベント挿入は無い。
これはより一層、ゲームそのものと向かい合い、それに集中出来ることを意味する。
かといって、何も無ければ淡々と終わってしまう。
そこにうざったくない程度に物語を入れるバランスが実に絶妙である。

不満点を挙げるならば、パワーグローブまで装備品にしてしまっているので、
その際の着脱が面倒、というよりボタン数の少なさの弊害か、A,Bボタン2つに自由に装備を割り振れるとしても
アイテムの切り替えが頻繁、という点がある。

しかし、ゲームそのものの出来が素晴らしいので、あまり気にならない。

スペックに頼っていない面白さを醸し出している名作。





[2004/04/04-2005/04/17]
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