ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし

対応機種ゲームボーイアドバンス
発売日2004/11/04
価格4800円
発売元任天堂

(c)2004 Nintendo / CAPCOM
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GBCで「不思議の木の実」を製作したカプコンのスタッフによる
ゼルダシリーズの新作が3年の沈黙を破りGBAで登場。

GC「風のタクト」を2DにしてGBAでそのままやっているという感じで
船に乗って航海をするようなものは無いが、主人公や登場人物の声やグラフィックなど雰囲気としてはかなり似ている。

それまでの作品と比べると、よりアドベンチャー色が強くなっていて、
コントロールパッドの難しい操作を要求される局面は少ない。
また、いたずらに複雑なマップにして迷わせることや、
理不尽な仕掛けは無く、素直な作りである。
意地悪なギミックが無い分、難易度が下がったように感じるかもしれない。

「風のタクト」同様、物語がゲームを引っ張っていくスタイルで、
2Dゼルダとしては少々押しつけがましく感じる。
ダンジョンなどもバリエーション豊富な構成だが、ダンジョンという括りでは違和感を感じるところもある。
また、今ひとつ物足りないギミックと構造のところも「風のタクト」に似たものを感じる。

任天堂ブランドのゲームということもあって、
全体的に非常に丁寧に作られている。
アニメパターンも豊富で、グラフィックの色遣いも拘りを感じられる。
シリーズファンを喜ばせるような手法も心得ており、感心出来る。
音質もわりかし良い方で、新規に書き起こされた楽曲がイマイチ地味ではある物の
過去作のアレンジで上手くごまかせている。

主人公が小さくなったり大きくなったりして謎を解いていくのが
本作のウリの一つであるが、
この切り替え型のシステムは「不思議の木の実」で非常に手間取る形で使われていたため
本作でもその問題点が引きずられたまま作られるのか非常に心配であった。
だが、その辺りのマップの構造については非常に気を使ってなるたけ時間がかからないように作られており
テンポを阻害しない程度に使われているのは好感を持った(但し普通に進める分についてだが)

地下迷宮の比重が小さくなった分、フィールドマップの時点からパズルチックな構成になっている。
本作では町の住人や登場人物とのしあわせのかけら合わせをするというシステムがあり、
自分の持っているかけらと相手のかけらの2つを上手くあわせると
閉ざされた扉が開くとか、宝箱が出現するといった、マップ上に変化が起こるようになっていて
このかけらは普通にやっているとどんどん溜まっていくために、
意識的にやらずともこの恩恵を受けられるのは良い。
反面、コンプリートを目指す場合、入手手段が雑多でランダムな場合もあるため、
非常に苦労する。そこは天下のゼルダシリーズである、何とかして欲しかった。
この要素のためか、フィールドもコンパクトにまとめられており、
そのなかにさらにパズル的な構造を埋め込んでいるため、非常に狭い。
ただ、この要素のおかげで行ったり来たりが多いので、丁度良いかなとも思う。

ただ一つ、非常に残念だったのはユーザーインターフェースである。
せっかくGBCからボタンが2つ増えたのに対し、これを有効に使えていない。
それまでのGBのゼルダ通り、AボタンとBボタンにアイテムを割り振って
スタートボタンがメニュー切り替え、そしてセレクトボタンがナビィ(ヒント)ボタンである。
Rボタンが64ゼルダで追加された「ころがり」や、鍵を開ける、物を掴むという限定的動作。
Lボタンがしあわせのかけら合わせで使う。
このLボタン、Rボタンを使う局面が非常に少ない。
せっかくなのだから、Rボタンにもアイテムを割り振れるようにすれば
かなりメニュー画面との切り替え回数を減らせたのに!と思ってしまう。
また、GBAということもあって画面の視界が狭いために、
その分マップ機能が非常に優れており、メニュー画面で見ることが出来るのだが
これも殆ど使わないLボタンに独自に割り振れば、だいぶ快適に遊べたはずである。
メニュー画面ではアイテム切り替えやコレクト画面の中に一緒に入っているので
一々切り替えて見るのが面倒くさい。

全体的にあってもなくてもいいような要素(イベント)が多すぎるような気がする。
もう少しシェイプアップしても良かったのではないか。
やはり「かけら合わせ」は作業的な向きもあり、もう一捻り考えて欲しかった。

なかなか良く出来ているが、目新しいことをやっていないため意外性が無く、
熱心なファンには「もう見たよ」という感想を持たれてしまうところが欠点。

無難にまとめられた良作だが、オリジナリティに乏しい。





[2004/11/08-2005/01/06]
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