ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス


対応機種Wii
発売日2006/12/02
価格6800円
発売元任天堂

(c)2006 Nintendo
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2004年のE3で初公開され、多くのギャラリーを興奮の渦へと巻き込んだ、待望のゼルダ最新作、4年ぶりに発売。
任天堂としても、そうとう注力して開発していたらしく、予定していた発売を一年延期してまで作り込んだ超大作。
そのため、元々ゲームキューブ用に作っていたものの、ちょうど予定していた任天堂据え置き次世代機Wiiと時期が被ったため、Wii版の同時発売までも実現させた、メイクミラクル(死語)満載なゲームだ。

前回のゼルダが、アニメ調の変化球気味な作品だったが、今回は再び「時のオカリナ」風のリアルゼルダで作られている。
N64「時のオカリナ」が発売された時も、その世界観やグラフィックデザインの作り込みには驚かされ、様々な場所で話題にされた物だ。
今作は、それを上回る完成度を目指すべく、挑戦を続けたようである。それだけに、ファンの期待も非常に大きく注目度も高い。

もちろん、あの衝撃から8年経っているだけに、映像美の水準は見違えるほどで、ちょっとした中世映画のような雰囲気を醸し出しているが、N64時代のような不格好、無骨なキャラクタデザインも健在で、「なんか違う方に行っちゃった」ような違和感もなく、すぐにとけ込める。
それだけでなく、今だから出来る、曲線美にあふれた建造物や装飾品、造形の綺麗さは、他の追随を許さない。

ゲームボリュームがとにかく巨大で、あの「時のオカリナ」を凌ぐ分量を誇る。良くゲームキューブの8cmディスクに収まったなぁと感心してしまうほどでかい。
ゲームクリアだけでも要したプレイ時間が実に36時間!!アクションアドベンチャーとしては、長すぎな気がしないでもないが、それは贅沢な注文だろう。
しかも、これでも横道のサブイベントの遊び要素でやり残した部分がたくさんあり、「まだ遊んでたい」余韻が残るほどである。

「ゼルダの伝説」の優秀なインターフェイス、ゲームデザインをお手本にした作品が増えてきたために、ゲームシステムの器だけでは既に目新しさ、面白さは感じれなくなってきている。
しかし、さすが本家は違う。イベントムービーの使い方、謎かけのバランス調整が絶妙すぎて、長大なボリュームにもかかわらず、手の内を見透かされてホイホイ解けるようなゲームでないのが凄い。
たいていの真似たゲームだと、開発者の意図がやるうちにわかってきて、だいたいが後半マンネリになる傾向にあるのだが、このゲームはそうではない。最後の最後まで、どうすればいいのかわからない悩む楽しさが詰まっている。

アクションとしての難易度はそれほど高くない。むしろ、低すぎると言ってよい。それよりも、より“最適な解き方”を探す楽しさを重視している。
これをWii版の発売を考えて調整したとは思えないが、結果的に新しい入力デバイスでプレイするユーザーにもストレスを与えることのない位置にバランスを置くことが出来たのではないだろうか。

なかでもアクションシーンでは、剣劇のクオリティが高く、派手なムービーシーンを操作しているかのような錯覚に陥るほどの素晴らしさを見せる。
これ以外にも、ボス戦などで攻撃シーンでイベントムービーに入っちゃってるのに、それと気づかせずに思わず攻撃ボタンを連打してしまうようなシームレスさにはため息すら出る。

Wii版に関して操作形態についていくつか触れる。

ボタン数の関係で、「風のタクト」で出来るようになっていた、Cスティックでの視点操作がWii版では出来なくなっている。
そのため、微細な視点操作ができない分、不便さを感じることがある(ゲームキューブ版では出来る模様)。

メニューインターフェイスが、スティックでカーソル移動で選ぶことを前提に設計されているためか、センサーのポインタで選ぶのが慣れるまで大変。アイコンそのものを大きくするなどまだまだ改良が必要。
アイテムの装備切り替えでは、円形でアイテムが並べて表示されるが、かえって選びづらい気がする。

これまでと違う操作系では、十字キーに装着したアイテムはショートカットの役割でしかなく、実質すぐに使えるアイテムはBボタン一つだけになっている。
つまり、アイテムを切り替える場合、割り当てた十字キーを押して、Bボタンの部分と交換して持ってくる必要がある。
セットしたアイテムを直接使えるGC版とは、ちょっとした違いなのだが、少々煩わしくなっている。逆に、煩わしさを感じるほどのゲーム内容ではない。

弓矢やブーメランなど、主観視点でねらい打ちする操作との相性が抜群に良く、これまでのスティックで狙っていたものと比べると、随分と楽に遠くまで狙えるようになっている。自分で当てた感覚が強まっているのもいい。
これは、センサーバーを使ったポインタ操作の真価を発揮した場面だろう。これからは日本でもFPSの時代だ!

剣を振る時は、リモコンを振る必要があるが、想像しているほど忙しくない。基本はボタン操作が主だからだ。
逆に、回転切りなど一連の操作が簡単に出せるようになったことによって、コンボの最後に狙って回転切りを入れるなど、これまで上手にプレイ出来なかった人でも、ハイレベルな操作を簡単に実行出来る。これは素直に評価していいのではないだろうか。

Wiiリモコンには振動機能とスピーカーも備わっていて、剣を振ると振った音が、弓を構えると弓がしなる音などがする。
文章だけではたいしたことないことに感じると思われるが、実際さわってやってみると、これら一連の演出がプレイヤーとの一体感を高めていることに驚く。

リモコンがどこを指しているか示すために、画面上には常に妖精が表示されている。しかし、この妖精は、ただそれだけのために表示されているだけで、もっとゲーム設定と絡めて欲しかったのが正直なところ。
なんというか、せっかくゲーム画面と違和感のないポインタを用意したのだから、なんとか設定の一つでもいいので、入れて欲しかった。
アドバイスは「ミドナ」というキャラクターがやるので、存在意義はないが、なんだか浮いている感じがして寂しい。

総合して、さすが手をかけて作り込んだゲームだけあって、隙のない高い完成度を誇るすばらしいゲームといえる。
全体的に尺の長いゲームになったような気がしないでもないが、たしかにここにはゲームでしか味わえない極上のエンターテインメントが存在している。
ゲームにここまで没入出来たのはいつ以来か。改めてゲームの持つ潜在能力の高さを実感させてもらった。

そこで結論。

ゼルダはやっぱり期待通りのゼルダだった!何も言わずとにかく遊べ。





[2006/12/08]
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