絶体絶命都市


対応機種プレイステーション2(HDD対応)
発売日2002/04/25
価格6800円
発売元アイレム

(c)2002 IREM
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大災害に見舞われた「首都島」を舞台に、脱出を目指し困難に立ち向かうサバイバル・アクション・アドベンチャー。

大雑把に言えば、バイオハザードのシステムを踏襲したアドベンチャーゲームとなっているが、相違点が多く別物といってもいい。
マップがフルポリゴンで描かれており、視点は半固定式(小部屋や特殊なシチュエーションではカメラが固定される)である。L2ボタンで背面にカメラを回りこませることが出来、△ボタンで主観視点になる。
操作性もとうぜんラジコン式ではなく、スティックを倒した方に動く。

また、主人公は一般市民のため、攻撃手段を持たないので、基本的に敵が存在しない。拳銃を撃って敵を倒したりといった要素は無い。

そのため、一度クリアしてどこで何が起こるかわかってしまうと、とたんに退屈になってしまうので、リプレイ制に弱いゲームと言える。
一応、難易度選択やコンパス収集、プレイ評価システム、加えて、選択肢によってストーリーが分岐するなど、2周目以降も楽しめるようテコ入れが見られるが、シナリオ分岐は部分的なものでほぼ一本道で、
残念ながらどれも抜本的な解決策として機能していない。

グラフィックは一昔前といった風で、決して悪いわけではないのだが厳しい。プレイステーション2というハードウェアのパフォーマンスを十分発揮できてない感じである。
遠景までしっかり描画されていたり、巨大オブジェクトを違和感なく動かしたり、プログラムレベルは決して低いわけではない。たまに起こる処理落ちのひどさを見るに、ごまかし方が下手な印象がある。
アイレムという会社は、1990年代後半はゴタゴタしており、そのせいでプレイステーション世代の3Dゲーム制作を満足に経験できず、ノウハウが蓄積できないままプレイステーション2向けゲームの開発に着手した。
そういった事情があったため、本作の制作は相当にハードルの高いプロジェクトになっただろう。プログラム的に荒が多いが、それでもゲームとしてしっかり遊べるレベルにまでまとめあげているところは凄いと言える。

特にエフェクト関係(効果音、視覚的な演出)が弱く、その貧弱さが目立つ。

だが、中身自体は決して悪くない。
臨場感を感じさせるマップ造形や、イベントシーンのカメラワークやギミックは光るものがあり頑張りが見られる。

たとえるならば、予算やスタッフも少なく出来ることが限られているが、その分内容に力を入れた映画といった感じで、見栄えこそ地味だが悪くない仕上がりである。

HPの概念の他に、QPという所謂スタミナの要素がある。これは、時間と共に減少していき、激しい運動をすればその分早く減少する。
要所要所にある水飲み場(セーブポイント)で水を飲むことで回復させることが出来る。が、水はペットボトルに入れて持ち歩ける上に、補給場所である水飲み場もかなり多く、不自由に感じることがない。
HPにかんしても、一発死のトラップは多いが、一度やられると全回復で復活する。そのせいか、色々飢餓感を煽るシステムを作ったのはいいが、全く緊張感につながっていない。
また、アイテムについても、特定の道具を“組み合わせる”ことで新しいアイテムを作れるシステムがあるが、アイテムの配置がイマイチ下手で使う機会がなかったのが残念。

ストーリーも導入されているが、描写不足でどうにもパッとしない。ゲームを盛り上げるためのストーリーにはなっているのだが、ゲームを彩るためのストーリーにはなれてないというのが物足りなさを感じさせた原因かもしれない。
キャラクターデザインも魅力的でなく、ボイスを当てているが喋る台詞と喋らない台詞があり、そんなに台詞の多いゲームではないのだから贅沢を言えばフルボイスにして欲しかった。
後、主人公も喋ったり性格付けをしているのなら、わざわざ名前入力出来るようにしなくても良かった気が?こういうゲームで名前をつけることが出来ても違和感のほうが多く別に嬉しくない。
イベントシーンの見せ方にも統一感がないのも気になった所だ。

インターフェイスについては、概ね良好だが、フィールド上でのメニュー(選択肢)操作のレスポンスの悪さが気になった。また、画面切り替えのディスクアクセスが長いのも辛いところだ。
一番気になったのは、会話時の処理に統一性が取られていないこと。声を当てている台詞は○ボタンを押さなくとも勝手に飛ばしてしまうし、逆に飛ばせない台詞もあったりする。

ゲームボリュームもあまりなく、これといった中毒性を誘うものがないため、物足りなさの方が目立つゲームなのだが、出来うる限りリアリティを追求した災害追体験ゲームとしてはかなり目新しく面白い。
個人的には、ゲームを進めるにつれ主人公達の服がきちんとボロボロになっていくのが製作者の拘りを最も感じられた部分だった。
カメラワークの悪さ、練り込み不足なところや雑さが目に付くのだが、斬新な企画でそこを補っている格好だ。そこで結論。

アイディア一点勝負の作品。





[2011/07/15]
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