絶体絶命都市2 凍てついた記憶たち


対応機種プレイステーション2
発売日2006/03/30
価格6800円
発売元アイレム

(c)2004-2006 IREM
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災害で崩壊していく町を舞台にしたアクションアドベンチャーの続編。今回は水害がテーマになっている。

前作の不満点や作り込みの甘さ、練り込み不足として指摘した部分が全て改良されソツなく仕上がっており、正当な進化を遂げた続編と言える。
その前提があった上で、やっていて引っかかった点を述べる。

グラフィックは前作から4年経ったこともあり、大幅にグレードアップして一定水準をクリアしているものの、やはりどことなく弱い。
見れないほどではないのだが、処理落ちが激しく重くなるところが目立つ。

アイテム周りのシステムに改善が見られるが、抜本的な解決になっておらず、惜しい。
まず、持ちきれないアイテムは捨てるか諦めるかどちらかしかなかったが、今回はリサイクルボックスと預かり屋の要素を追加したことで持てる数自体は増えている。
が、現実性を追求したのか、リサイクルボックスは実際に預けた場所のボックスからしか回収できず、預かり屋はゲーム進行に伴って場所移動しているが、これも好きな時にアイテムをやり取りできない。
ここはもう、思い切って“ゲーム”として割り切って、「バイオハザード」のアイテムボックスの仕様を受け継いでもよいのではないかと感じた。
というのも、アイテムの種類が多く、コスプレ衣装もあるし、相変わらず怒涛のようにアイテムが手に入るので、すぐに持ち物がいっぱいになってしまうのだ。
また、道具を組み合わせたり分解するシステムも、かなり狙ってプレイしないと活用できないのも勿体無いと言える。

マップが無駄に広い。前作でも若干気になっていた部分なのだが、2作目なのでもう少し丁度良いバランスというものを模索して欲しかった。
落ちているアイテムがかなり近づかないとアイコン表示されないというのも、またもどかしいと言える。

疲労度の仕組みが一新されたが、今一つしっくり来ない。
服を水に濡らすと体温が下がって体力が落ちていく(=疲れやすくなる)のだが、リアリティを追求している割には、なんだかゲーム的ですっきりしない。
3DダンジョンRPGのコンパイル「魔導物語」では、緊張感を出すためにRPGでは提示することが必須とも言えるヒットポイントの表示を敢えて隠し、プレイヤーの表情で判別させるようにしていた。
このゲームのように、リアリティを出すのなら、ゲージの表示や仕組みなど全部隠してしまい、わざと曖昧にしてしまうことも必要なのではないだろうか?

今回もマルチエンドを採用することでリプレイ性を高めている。
主人公が複数(5人)存在し、別の主人公の起こした行動が他のキャラに影響を及ぼすなど、なかなか凝っている。
しかし、選択肢の数がやたらと多く、どれが分岐の条件になるのかわかりづらく何度もやる気にならない。これだけ多いと、逆に完全に一本道のシナリオであると分かっていれば、ふざけた選択をして楽しめたりするのだが。
出来れば、他のやり方でリプレイ性を高める方法を解決して欲しかった所だ。ちょっと、やり方にセンスがない。

ムービースキップできるところが少なく、テンポが悪い。何度も遊んで欲しいのなら、まずここを一番に何とかして欲しかった。
前作と比べ、ストーリーが強化されイベントムービーの挿入も増えているので、飛ばすことが出来ないと、かなり辛い。
また、前作ほどではないものの、会話時の処理に統一感が取られてない部分がみられるのも残念。

乗り物に乗って進む場面があるが、操作の仕方を説明してくれないのも気になった。

カメラ操作がL2ボタンで背後に回りこませるだけ。出来れば右スティックで視点操作出来るようにして欲しかった。不便。

手厳しい指摘ばかりになってしまったが、洗練されたゲームと比べるとどうしても見過ごせない、見劣りしているところが多いのも事実である。
大手メーカーに比べ、技術面でハンデがあるのは仕方ないとはいえ、もう少し頑張ってほしい。

反対に、良くなった点も多い。

ストーリーの密度が濃くなり、世界観など深みが出たこと。主人公を5人用意して、ゲームを進めると切り替わっていくため、ゲーム内容にアクセントがついてダレにくくなっているのも良い。
ただ、メインキャラにはもっと演技力のある声優を起用したほうが良いと思う(サブキャラは割と聞いたことある人を使っているのでわざとなのかもしれない)。

前作では相当警戒していないと即死トラップに引っかかってやられてしまったものだが、今回はこの辺のバランスの付け方が上手で、わけもわからずやられたという状況に陥らなくなった。

エリアチェンジの読み込みは相変わらず長いが、読み込み中に町の状態を表示して退屈させない工夫を施している。しかし、セーブの処理が長いのは難点。

総合的に見ると、遊べるゲームではあるのだが、何度も繰り返し楽しめるほどのゲームでもなく、技術的な面など他の優秀なゲームと比べると貧弱で、どうしても荒が気になってしまう。非常に惜しいゲームと言える。
そこで結論。

続編として順当に進化を遂げているものの、アイディア頼りのゲーム。





[2011/07/20]
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