対応機種 | プレイステーションポータブル |
発売日 | 2009/04/23 |
価格 | 4800円 |
発売元 | アイレム |
プレイステーション2で発売されていた災害体験アドベンチャーゲーム、絶体絶命都市の3作目。
今回はプレイステーションポータブル向けに開発された。
グラフィックやプログラム周りが軟弱なシリーズだったが、このへん今回はしっかり動いている。
どうしたことだろうと思ったら、実作業を外注に出したようだ。自社でまかないきれないのであれば、外注化するのは正しい。
さすがにシリーズ3作目ともなると、色々と洗練されてきてストレス無く遊ぶことが出来る。
激しい処理落ちは無くなり、グラフィックはPSPとしてはそれなりに綺麗な水準を吐き出している。
2で不満だった、かなり近づかないとアイテムのポップアップ表示が出ないという処理もしっかり対処されている。マップの大きさも広すぎない丁度良い大きさに調整されている。
収集要素の一つであるコスプレ衣装は、道具袋の収納枠を圧迫しないようになり、煩わしさから解放された。
声優もそれなりの人を使うことにしたのか演技には問題は無く、不自然さは感じられない。
システム周り、インターフェイスは格段によくなったのだが、肝心のゲーム構成が、単調でスカスカした内容になっており、かなりつまらない。
まず、PSPというハード性能のせいだろうが、マップ構成が平坦で一本道である。加えて、先の展開が読めてしまうありきたりなエントリとなっており、全体的に退屈である。
これまでと比べイベントシーンの会話が長めで、テンポが乱される。肝心のテキストもイマイチで、まったく盛り上がらない。
脚本は、歌を被災地と絡めたテーマはキャッチーで小奇麗にまとまっているが、没個性的で魅力がないし、テレビドラマで良くあるご都合主義で独善的な展開が目立って好きになれなかった。
緊張感も無い。1や2では、頻繁に地震が起きて、その都度プレイヤーは災害に襲われ、パニックする恐怖があったが、今作ではその仕込みがあまりに少ない。PSPということもありあまり派手なことも出来なかったのだろう。
また、さすがに3作目になると災害のテーマも尽きてしまったのか、目新しさがない。マンネリ化しているのだ。
いわゆる疲労度に値するストレスゲージと体力の関係性は面白いが、ゲーム自体の自由度が低いため、過剰に設置された回復(セーブ)ポイントによって、あって無いようなバランスになってしまっている。
そんなわけで、平坦で仕込みの少ない一本道を、落ちているコンパスやコスプレ衣装を拾い、イマイチなストーリーをダラダラ見せられながら、ちんたら進めていく。
進めていくというより、やらされてる感が半端ない。
男女2人の主人公が用意されているが、ムービーと会話の選択肢がちょっと違うぐらいで基本的には同じだ。
リプレイ性を高めるために、マルチエンディング制を採用したり、やりすぎと言えるほどの選択肢を用意しているのだが、どうにもこのシリーズは何度も繰り返し楽しめるゲームではない。
敵と戦ったりというようなゲーム性が乏しいために、自身の上達を実感して効率よく攻略するという楽しみ方が出来ないためだ。
1作目の時から毎回指摘しているのだが、どこで何が起こるかわかってしまうとこのゲームはとたんに退屈になってしまう。
せめて主人公を2人用意したのなら、ゲーム展開に違いを持たせるぐらいしてくれないと、両方プレイしたいとは思わない。2周目に別のキャラでやってみたが、内容がほぼ同じだとわかった時点で飽きてやめてしまった。
ディスクアクセスの長さも指摘しなければならない。メディアインストールを併用しても、かなり長い。
そのロードの頻繁さと長さから、PCエンジンのCD-ROM2時代のゲームを遊んでいる感覚を思い出してしまったほどだ。
ここはさすがにもっと改善してもらいたかったところだ。
PSPってことで、アドホックモードを使ったマルチプレイ(協力)モードを導入しているが、なんだか力をいれるところを間違っていると言わざるをえない。上層部からのテコ入れなんだろう。
災害による即死トラップは、理不尽なものがいくつか見られた。2よりは難易度が上がっている。
散々な評価だが、一つだけ評価できる点がある。
それは、今作は災害専門家に監修してもらいながら製作したというところだ。
ゲームをプレイしながら、適切なタイミングで災害マニュアルが提示され、TIPSとして読むことが出来る。
これにより、ゲーム内で起こるイベントに俄然説得力が出たと言えるだろう(一作目からなぜやらなかったという突っ込みはさておいて)。
なんだか、シリーズ3作目にしてはがっかりな出来栄えだ。そこで結論。
良い商品より良い作品を作って欲しい。