英雄伝説 碧の軌跡


対応機種プレイステーションポータブル
発売日2011/09/29
価格5800円(UMD)/5200円(PlayStation Store)
発売元日本ファルコム

(c)2011 Nihon Falcom
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「英雄伝説 零の軌跡」の続きのストーリーが描かれる、いわゆる後編にあたる作品。
1本で完結せず、前後編でシリーズ展開していく手法は前作「空の軌跡」で使われたもので、今作でもその路線を踏襲している。
「零の軌跡」に引き続き今作もファルコムにしては珍しく、WindowsではなくコンシューマーハードのPSPでリリースしている。
今作では、前作のストーリーや登場キャラクタ、用語集など解説してくれるモードがあり、今作から入っても楽しめるような配慮が見られるものの、基本的に過去作をプレイしていることが前提なのは変わらない。

大まかなゲームシステムやゲーム内容は前作とほぼ同じもので、新たに指摘する点はほとんどない。
強いて言えば、キャラクターカスタマイズのオーブメントで、マスタークオーツという要素が追加された。
マスタークオーツは、装備して戦うと経験値が蓄積されていきレベルアップする概念があり、レベルアップすると性能が上がっていく。
また、通常のクオーツと比べると高い性能を持っており、強いステータス強化補正が得られる。
マスタークオーツは1人1つしか装備できず、かつ、同じものは複数持てず、それぞれ1個ずつしか持つことが出来ない。
このことから、キャラごとに違うマスタークオーツを装備する必要があり、そのためもあって、キャラごとに否が応でも個性が出るものとなった。
これまでは、似たりよったりのクオーツを装備しがちで、それもあって似たようなキャラ性能に落ち着きがちだった。その問題を払拭するためのシステムとなっている。

他には、使えるのが章の後半という期間限定ではあるもの、バーストというシステムが戦闘で追加されている。
ゲージを最大までためると発動可能で、発動すると一定ターン、一方的に攻撃ができるというもので、発動時に敵の詠唱をキャンセルできて、こちら側の状態異常が回復するなど
いわゆる一発逆転できるシステムだ。
このシステムを上手く使って、章後半に現れる大ボス戦を乗り切ろうという作りとなっている。
使い所が難しいが、うまく使えば劣勢を覆すことができる。中々アツい要素が追加されていて、面白い。

新規のミニゲームが追加されていて、ぷよぷよ風の「ポムっと!」や3Dシューティングなど、作り込みに余裕があったのか、かなり豪華なものが用意されている。
「ポムっと!」は、基本的にいつでもプレイ可能だが、できれば3Dシューティングも好きなときにプレイしたかった。
あと、細かいことだけど、ラストダンジョンに突入しても、町に戻れるようになっているのは地味に良かった。
「ストーリー重視」ものということで苦しいかもしれないが、強制イベントで移動制限がかかるために保険セーブを取る必要がある場面をなくしたり減らしたりしてくれるとなお良かった。
また、パーティメンバーの離脱が起こるのも、本作では極力抑えられているものの、僅かではあるが発生することがあり、難しいし大変だろうけど、なんとかそこらへんうまくやってほしかった。

メインとなるパーティメンバーは前作で人気だったのだろうワジとノエルが追加され、合計6人になる。戦闘に参加できるのは4人だが、残り2人はサポート役として戦闘に参加させられるし経験値も入る。
ただ、最終的にパーティメンバーは8人になり、しかし連れていけるのは最大6人で、2人はパーティから外す羽目になる。ここもなんとかうまく6人に収めてほしかった。
メイン以外のパーティキャラの加入タイミングは遅すぎるし、このうち2人がはぶられてしまうのも、なんだかシステム的にすっきりしない。

ゲームの基礎となる部分のストーリーやイベント、バトルなどはさすがにシリーズ作品が続いてきただけあって安定して出来が良く、安心して遊べる水準だ。
ごく一部の台詞にはボイスが当てられているのだが、容量の都合もあるのか、しゃべる台詞は本当に限られたものになってて、豪華で嬉しいというより惜しいという印象のほうが強かった。
「空の軌跡SC」のときのようにUMD2枚組にする手もあったかと思うがコスト的に厳しかったか。

ストーリーはよく出来ているんだけど、意外性を狙いすぎてちょっと空回りしていたり、今作では完結せず「軌跡シリーズ」として続けていく方針を固めたためか、作品単体で言えばどこか消化不良の感は否めなかった。
他にも、多少冗長だったり間延びしている面も気になるのではあるが、全体的にはクオリティが高く、ストーリー展開は中々良く出来ており、熱い内容になっている。

ファルコムだけあって、細部に至るまで実に手堅い作りで、大きく外すことはなく、王道RPGを丁寧に作り込んでいる感じで、相変わらず完成度は高い。
ただ1つの物語を前後編に分けて売るのではなく、1本にまとめて出したほうがゲーム内容的には引き締まった気がするのだが、どうだろうか?
レベルは継続するのに、オーブメントはアップデートという名目でリセットされるのは違和感しかないし、お金や装備品がリセットされるのも同様。
今後も前後編形式で、世界観とシナリオを共有した作品として出していくのだろうけども、この形式自体見直してほしいと思うのは自分だけか。
1つのストーリーを追うのに合計100時間ほどのプレイ時間を強いられるのは大きな負担だと感じる。

最後の方は難癖レベルの指摘をしてしまったが、クオリティはしっかり高いシリーズなので、RPG好きなら楽しめる内容になっているのに間違いはない。

「零の軌跡」が楽しめたのならぜひ遊ぶべき作品。





[2020/12/23]
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