デウスエクス


対応機種プレイステーション3/Xbox360
発売日2011/10/20
価格7980円
発売元スクウェアエニックス

(c)2011 SQUARE ENIX / Eidos
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サイボーグ化した主人公がSFの世界を舞台に活躍する一人称視点のステルスアクションロールプレイングゲーム。
近年1ジャンルとして定着してきたベゼスタソフトワークスの代表作「オブリビオン」「フォールアウト3」などの海外産箱庭ロールプレイングに大別される。

デウスエクスは、一作目が2000年にPCで発売されており、自由度の高さと作り込みを両立させた現在の海外製ロールプレイングゲームの先駆けとして高く評価された。
2作目が家庭用ゲーム機にも移植されたのだが、移植されたハードがXboxだったせいもあってか全く話題にならずに終わってしまった。

この手のゲームの特徴は、とてもじゃないが一度のプレイでは調べ切れないほど広大で入り組んだマップに大量に仕込まれたオブジェクトやテキストメッセージ、サイドクエスト。
そして、制限なく何でもできる自由度の高さだ。目的の達成のためには何をやっても許される。その過程で重要な人物を殺してしまっても、破綻なくシナリオが進行するように作られている。

さて、そんな経緯のある本作だが、とても気合を入れて作られているのは伝わってくるのだが、少々発売が遅すぎた感がある。
もう自由度が高くて作りこまれててオープンフィールドなだけのRPGでは目新しくは無いのだ。
決してつまらないわけじゃないし、細部まで作りこまれたフィールド、戦略性の高さは評価に値するのだが、残念ながら不満点のほうが目立ってしまっている。

ステルスアクションの体(てい)で作られているので、一般的なFPSと比べると主人公が非常に弱い。スキルを習得させて成長させてもまだ弱い。
力押しで攻略されると意図したゲームバランスが崩れてしまうという考えから来ているのだろう。そのため、敵を撃ち倒していく爽快感に乏しい仕上がりとなっているため、物足りないのだ。
隠し通路を見つけたり、コンピュータをハッキングして優位に立ちまわるところは中々他にはない面白さなのだが、今ひとつパンチに欠けている。
こう言っちゃ、うがった見方かもしれないが、自分で攻略法を見つけてるというより恣意的に用意された幾つかのやり方から選択しているといったあざとさが目に付いて仕方なかった。
勿論、良くできたゲームというものは、あらゆるプレイヤーのプレイスタイルを想定してゲームを作るから、自発的に攻略しているゲームなんて無いに等しいのだが、なんというか、少なくともこのゲームに関しては、あまり自分で攻略している達成感がかんじられなかった。
裏を返せば、非常にゲームバランスが良いということになるのだが、複雑な心境になるゲームだ。

アイテムが怒涛のように配置されているのに対し、持てるアイテムの数が少なすぎる。スキルで最大サイズまで拡張しても少ない。アイテムの仕様はカプコン「バイオハザード4」と同じタイプのものだ。
重火器は場所を大きく取るため、持てる種類が限定される。
探索してアイテムを見つけても、持ち切れないために大半はそのまましまっておくことになる。不親切だと感じたのは、クエストの報酬で、受け取り時にアイテムの飽きがないと自動的に報酬を捨てられてしまうことだ。

エリア切り替えのロード時間が長い。ゲームオーバーになってリトライするときのロードも同様に長いのも気になる所だ。
フィールドマップは完全なシームレス形式ではなく、主要な建物の中などエリア切り替えが発生する。また、残念だったのは、ストーリーの進行にともなって舞台となるフィールドが切り替わり前に戻れなくなる。
そのため、サイドクエストが消滅してしまうことだ。

プリレンダムービーの挿入もなんだからしくない感じだ。出来ることならリアルタイムレンダで見せて欲しかった。画質も大した良くない。

絶対に避けられないボス戦が3つ存在するが、1対1の撃ち合いで、なんとも捻りがなく作りが実に日本人的でつまらない。こういうシーンが安易に入ると一気に安っぽい三流ゲームみたいな雰囲気が出る。何とかして欲しい。
ムービーの挿入とボス戦とかこのあたりのノリは、悪い意味で親会社のスクウェアエニックスの影響を受けてしまっている気がしてならない。

ローカライズに関する不満点も目立つ。
日本語吹き替えに有名声優を使ってるあたり、決して手を抜いているわけではないと思うが、本作はRPGで膨大なテキストを扱っているため、アクションゲームなどと比べるとどうしても粗が気になるのだ。
翻訳が直訳的で、説明的な台詞が多く、イマイチ意味が通らない。言わんとしてることはわかるのだが、文脈が実にトンチンカンで、頭にすんなり入ってこない。元の作品からそうなのかもしれないが、耳慣れない固有名詞も多い。
これは、SFという独自の世界観を用いていることからも来ているのだろう。中世ファンタジーなど馴染み深い世界設定を使っていれば、ここまで意味不明にはならなかったと思う。

なんだか、鳴り物入りで発売された割には大したことのないゲームで肩透かしを食らってしまった。似たジャンルのゲームですでにクオリティの高い作品がいくつか出ている以上、この程度では満足できないというのが正直な所だ。

余談だが、アイドスというメーカーは、シリーズ展開させるのは下手で、そのかわり着眼点が良いのか新規タイトルの開拓が得意な印象がある。
閉塞感が漂うゲーム業界である意味うらやましい特性を持っているとも言える。だが、そんな完全新作も毎回期待通りに当たるわけではないから経営が不安定で会社が買い取られる事態に陥ってしまったわけだが...。
これだけのリソースをデウスエクスの続編に注ぐのではなく、新作タイトルとして自由につくってみたほうが面白いものが出来上がったように思う。そこで結論。

作り込みの凄さは素直に褒められるがゲームとしては型遅れといった所。微妙。





[2011/10/26]
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