ドラゴンクエスト3 そして伝説へ…


対応機種スーパーファミコン
発売日1996/12/06
価格8700円
発売元エニックス

(c)1996 ENIX / ARMOR PROJECT / BIRD STUDIO / HEART BEAT
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不朽の名作「ドラゴンクエスト3」を「ドラゴンクエスト6」のシステムエンジンを使って華麗にリメイク。
現在のテクノロジーを使ってどのような変化を遂げたのか気になる所だ。

勿論原型はとどめているが、ほぼ別物といっていいほど大胆にリメイクされている。

新要素をかいつまんで触れると、新職業に盗賊が追加、キャラクタのパラメータ(能力値)に性格が追加されこの性格に基づいてレベルアップ時の能力の上昇値に違いが出る、すごろくのミニゲームが追加された。
メッセージの加筆修正も丹念に行われており、最近のドラクエではお馴染みのクリア後のお楽しみダンジョンも用意され経験者でも楽しめるサービスがそこかしこに見られる。

性格システムは、3の核となっているパーティメイキングとの相性が抜群によく、かなり面白い。この点ドラクエ6では装備品の「かっこよさ」というパラメータをつけていたが今一つ面白くなかった。
ゲーム開始時に、主人公の性格を決めるため、性格診断のイベントが追加されているのも感情移入度を高めている。
オリジナル版では「おとこ」「おんな」の性別の違いしかなかったが、この要素によって、千差万別なパーティ構成が出来上がる。
主人公の性格はゲーム開始時に、その他の仲間の性格は、ルイーダの酒場でキャラ作成時の種の割り振り方によって決まる。
一度決まった性格は本や装飾品(装備品)で変えることも出来る。あまりに簡単に性格を変更できることで重みがなくなってしまった節が無くもないが、変えることが出来なかったら出来なかったで押し付けがましく感じてしまうだろうことは想像に難くない。

すごろくのミニゲームは、各地にすごろく場が追加されていて、ゴールすることでアイテムが手に入る。頑張ればゲームを楽に進めることができるようになるわけだ。すごろくのマスの内容もドラクエ(RPG)らしいイベントばかりで、取ってつけたようなものに陥ってないのが良い。

ゲームバランスは全体的にテンポを重視して易しめになっている印象だ。アイテムの種類が増えている(ドラクエ6に登場したアイテムが入っている)ため、“レベル上げる以外どうしようもない”状態にはならない。
タンスや樽から怒涛のようにアイテムや金が手に入るし、ドラクエ6の「ふくろ」システムを採用しているので、序盤の、薬草を持てるだけ持ってダンジョンを攻略する飢餓感や緊張感といったものが薄れている。この辺は良くも悪くも今風の味付けとなっている。
しかし終盤とはいえ「さとりのしょ」が簡単に手に入ってしまうのはやり過ぎだと思う。

本作はとにかくグラフィックが凄い。ドラクエ5や6の時は、発売延期が足を引っ張ったせいなのか、同時期に出たゲームと比べると画質が今一つで、古臭い印象を与えていた。
だが、今回は6の発売からわずか1年で発売にこぎつけたおかげもあってか、グラフィックの水準がかなり高い。スーパーファミコン末期という条件も重なり、ハード性能を限界まで引き出し、トップクラスのクオリティを発揮している(6の時からここまで出来ていれば...)。
スクウェアのゲームのようにただ綺麗なだけではなく、記号的な観点との釣り合いもしっかり出来てて、見てすぐ何を表しているのかわかるように描かれている点も良い。
戦闘画面の敵キャラがアニメーションする演出もかなり良く出来てて、完璧といってもいい出来栄えだ。呪文のエフェクトも、数が少ない分1つ1つに凝れたせいか非常に出来が良い。

1996ともなると、時代はポリゴン、3DCGといった風潮が強くなってきて、ドット絵の風当たりが悪くなっていた。そのためか、ドットが主な表現力であるスーパーファミコンのソフトですらレンダリングCGを取り込んだり、それを意識したようなものが目立っていた。
「スーパードンキーコング」シリーズのようなCG取り込みによる力技の映像美も悪くはないが、やはり本作のようなドット絵職人による生粋のドット絵も味があって捨てがたいものだ。ゲームメーカー諸君はもうちょっと適材適所というものを考えて欲しい。

なんか後半はグラフィックの話ばかりになってしまったが、エンジン使い回しのリメイクなので、これといって特に書くべき所がない。ドラクエということもあり、特に奇を衒った要素もなく、シンプルだが非常に高いレベルで出来上がっている作品だ。そこで結論。

良いリメイクのお手本例。ドラクエ3をやったことがない人はこれを機に遊べ!!





[2011/09/29]
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