エターナルダークネス 招かれた13人


対応機種ゲームキューブ
発売日2002/10/25
価格6800円
発売元任天堂

(c)2002 Nintendo / Silicon Knights
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要するに「バイオハザード」タイプのホラーアクションアドベンチャー。
カナダのシリコンナイツと任天堂がタッグを組んで送る、完全新作。
もともとはN64で開発されていたようだが、結局次のプラットフォームであるGCに移しての発売となった。

ほぼほぼ「バイオハザード」を踏襲した作りであるが、マシンパワーを生かしてフィールドは3Dポリゴンで描かれており、キャラクタはラジコン操作ではなくスティックの倒した方向に移動する。
危険がない所ではどこでもセーブできるし、アイテムの所持数制限もなく、だいぶ快適な作りとなっていて、気持ちよくプレイできる。
メニュー画面のインターフェイスは、ちょっと画面切り替えが多く発生しイマイチなところはあるものの、基本的には良く出来ているレベル。

ゲームの流れとしては、主人公の屋敷でエターナルダークネスの書の断片を手に入れ、それを読んで過去の出来事を追体験し、そこで得た知識や能力を使って、さらなる断片を見つけて、ということを繰り返す。
章一つはそれほど長くなく、章ごとにキャラクタが変わり、時代や舞台も入れ替わっていくため、小気味良いテンポを生み出している。

この手のジャンルのゲームとしてはかなりボリュームがあり、初回プレイでは15時間以上かかってしまった(ゲームオーバーなどでやり直している時間を入れるともっと行っているかもしれない)。
周回プレイを意識した作りとなっているのだが、2周目以降も、あまりゲームに変化がなく、ほぼ同じことを繰り返すだけになってしまっているのは残念。

アクションとしての難易度は低めではあるのだが、キャラクタが頻繁に切り替わって手持ちのアイテムがリセットされることによって、一定の緊張感が続く調整が出来ている。
いっぽう、謎解きの難易度は絶妙と言えるほどで、簡単すぎず難しすぎずのラインでしっかり出来ており、きちんと納得が行くものとなっている。

サニティ(正気度)というパラメータがこのゲームの最大の特徴である。
このサニティというパラメータは、敵と出会うなど恐怖を感じることで減少し、このゲージが減っていくと、ゲーム上で幻聴や幻覚が起こったり、ひどいときにはバグが起こったような症状まで出始める。
この演出、バリエーションが異常すぎるほど豊富で、力を入れて作られていることが伺える。演出としても実に自然で、とにかくよく出来ている。これを体験して欲しいがために、ゲームプレイを勧めたいぐらいだ。
ただ、残念なのは、このサニティを魔法で簡単に回復できてしまう点だ。他には敵を倒すことで回復することができるが、魔法で回復できるというのは緊張感を削ぐ感じで実にもったいない調整だったと思う。

グラフィックは、キャラクタの造形はゲームキューブにしては荒い印象を受けた。背景その他は60フレームで描画されていることも考えると、なかなか良く出来ている。
が、ムービーシーンは、通常時より質が低い感じ。このへんはN64で開発していた頃のデータを使っているのではないかと思われる。

ビジュアルのクオリティも中々であるが、テキストの質も高く、恐怖を煽るような内容が込められており、非常に濃い作り込みが目立つ。
ストーリーは、非常に壮大な作りでかなり出来が良く、ゲーム自体の作り込みも相まって、思わず引き込まれてしまった。
特にインタビュー記事を読むと、時代考証には念には念を入れるほどの力を入れたようで、建物の作りが年代によってきっちり作り分けられているなど、こだわりが垣間見える。

パッと見た感じ、中身の濃い作り込みがわからないというのがなんとも惜しい作品と言える。
見た目ばかりで中身がスカスカなゲームが少なくない中、ここまでしっかり細部を作り込んで、面白く丁寧に仕上げているゲームというのはなかなかない。

ロード時間がほとんどない点や、アイテムだけでなく魔法を駆使した幅広い遊びができる点など、評価できるところは非常に多い。
ホラーゲームとしても、サニティという別角度から恐怖を感じさせる演出が出色の出来で、実に新鮮に怖さを感じることができるだろう。

こだわりが細部まで行き届き、濃い作り込みが光る良作。





[2020/01/13]
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