ライトスタッフが送るPC-Eオリジナル格闘ゲーム。 本作は数少ないPC-Eオリジナル格闘ゲームの中でもずば抜けた完成度を誇る。 まず、重要なのはPC-Eというハード特性を存分にいかした上で 肝心の格闘そのものの出来も良いという点。 もし、これが他ハードでも作れるような内容であればわざわざPC-Eである必要はないのである。 しかも、後付けで無理矢理継ぎ足したという物では無く、 企画段階からしっかりとPC-Eであることを考慮した構成になっている。 幾つかモードがあるのだが、 まずは、人気声優てんこ盛りで展開するビジュアルシーンバリバリのストーリーモード。 動きに乏しさはあるものの、作画レベルは総じて高く、 これによって、各々のキャラクターの魅力や個性を上手く描いている。 ここでは世界観も描かれていて、 当時の格闘ゲームでは異質な何でもありなSFファンタジーの雰囲気が上手く出ていた。 SFファンタジーとはいえ、宇宙が出てくる類の物では無く、 SF風味のトンデモ中世ファンタジー(所謂角川文庫路線)である。 ヒロインキャラは林原めぐみで杖持った魔法使いだわ、そうかと思えばサイボーグのような格好のキャラは 備え付けの機関銃乱射してくるわで、この破天荒ぶりはちょっと他では味わえない。 家庭用の利点を生かした育成モードもある。 これは続編のSFC版にも入っているモードだが、 バトルタイクーンという武闘大会に出場して経験点を貯めていき 試合前に振り分けるパラメータポイントを増やしていくというモード。 これで育成したキャラは通常の対戦モードなどにも持ち越せるので、やりごたえも十分。 しかし、当時としてはこれは珍しい要素だったが、今思うとこれは別にいらなかったと思う。 肝心の格闘部分は、見た目は滅茶苦茶でありつつも、 実際は結構真面目な作りで、そこそこ無難なラインである。 PC-Eの性能上、キャラクターは小さめなのは仕方が無いが そのぶん動作が軽く動かし安い。 展開もスピーディで、その割に処理落ちは全く無い。 また、プログラムレベルも全般高めで、ロード時間もかなり早く待たされることはないし さらにアーケードカードにも対応していて、これを使うともうROM並である。 6ボタンパッドにも対応していて(勿論2パッドでも遊べるが、不自由なのは言うまでも無い) そうなると、ボタン数は当時のスト2と同等なわけでかなり本格的である。 PC-E特有の効果音のスカスカ感が健在なのは残念。 それでも頑張っている方ではあるが。 また、裏技で高速処理(通常の2〜3倍の速度だったか)をさせることが出来るものがあって(スト2ターボの裏技と同様) この仕込みもあって、かなり遊べる格闘ゲームである。 見た目のユニークさは、現在のギルティギアシリーズに代表されるサミー製格闘ゲームに通ずるものがあるが 1993のゲームとはいえ本作も負けてはいない。