フロントミッション4


対応機種プレイステーション2
発売日2003/12/18
価格6800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2003 SQUARE ENIX
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近未来戦闘用ロボット「ヴァンツァー」を題材とした人気シミュレーションRPGシリーズ「フロントミッション」がプレイステーション2に進出。
さらに磨き上げられたゲーム性やグラフィックなど、期待出来る要素も多い作品だ。

シリーズの位置的には、3のインターフェースやゲームシステムをベースに2のAPシステムの駆け引きを発展させた非常に考えられた内容になっている。
3は、シリーズ中最もインターフェースの出来が良かった(見やすく操作性も概ね良い)が、今作では残念ながら退化してしまっている。
SLGでは、プレイヤーに的確なタイミングで情報を与えることが他のジャンルに比べ大きな意味を持つ。ここの出来がマズイ。
欲しい情報が即座に手に入らない。射程距離など欲しいのに載ってない事柄も多い。
武器の種類が多いのに、前作のようにそれぞれの特性が表示されなくなったのも理解不能。
ウィンドウの配色も、灰色の上に黒文字、さらに欲張ってフォントサイズを小さくしてるので、読みづらい。目が疲れる。とにかくいいこと無しだ。
結局、ゲーム終了までこの辺りの出来の悪さによって無駄にストレスを溜めさせられる結果となってしまった。
それと、戦闘シーンのカット機能が3と一緒で全部すっ飛ばされてしまうのもなんだかねぇ。
結果だけを表示させる簡易表示が一番欲しい機能なのだが。直前に出したPSの「フロントミッション1st」ではその機能が搭載されたのに…。

ゲーム内容そのものはかなり改善され、例えばこれまでスキル連鎖などで運任せのごり押しでの影響力が強く、
「そんなのアリかー!」とちゃぶ台をひっくり返したくなるようないい加減さが残っていたが、4作目になってようやくこの辺にも調整が施され、隙がないほどにグッと完成度が高まっている。
センサー、リペア、EMP(状態異常)、通信援護、といったバックパック機能の追加や攻撃のリンク機能によって、戦闘での自由度が格段に高まっていて、
それだけでなく、成長システムやアビリティカスタマイズの辺りの出来映えも素晴らしく、濃密で塩味の効いた戦いを堪能出来る。
この辺の自由度やバランス調整の絶妙さや楽しさは、同社で言えば最高傑作と名高いFF5を凌ぐ勢いではないだろうか?
とはいえ、SFにロボット、シミュレーションという敷居の高さがあり万人向けとは言えないが、はまる人にはとことんはまる。

しかし、最大4vs4で行われるリンク機能を使った援護攻撃は、状況が把握しづらく、特に敵から攻撃を受けた時は訳が分からなくなる。
せめて、敵と味方を色分けしたり、攻撃するキャラクターをウィンドウでもっと目立たせるなどの処置は必要だろう。
色分けは一応、味方に関しては、こちら側で好きな色を付けることが出来るが、そんな工夫をしなくても良いようにしておくべき。
また、ステータスウィンドウの表示においても、状況によって敵と味方の表示が逆に入れ替わってしまうことがあり、余計混乱してしまうのも問題。
ただ、今まで確率で連鎖していた攻撃スキルを、自発的に組み立てていくことでリンクして高い攻撃力を得ることが出来るのは面白い。
寧ろ、本作の面白さを支えている根元はここにある。

1ステージをクリアするまでが長くかかり、前後の本格的なセッティング作業とあわせて全体にもったりとしたテンポの悪さが漂っている。
一面を長くするということは、SLGとしての戦略性の追求にも通ずる部分もあるので、一概に悪いこととは言えないが、もっと全体的なスピード感は欲しかった。

グラフィックは当然ながら、モデリング、テクスチャー、細かなディテールまでクオリティが別次元まで上がっている。
3では、ハードウェアの制約上、漫画的な色づけをせざるをえないところがあったが、今回は写実的にシックな色遣いで全体の統一感がある。
欲張って人間のモデリング表示をしないで、ヴァンツァーだけにしているのも良い判断だ(一部で表示しているが)。
ムービーに頼らず、全てリアルタイムデモでやっているのも評価したいところ。
残念なのは、発売前の宣伝映像のように、派手目なスペクタクルシーンは量的には少なく、意外と地味なシーンが多いのはがっかりではある。
逆に、アドバタイズで2種類のムービーを流しているが、これは本編との関連性もわかりにくいし存在意義が疑問。無くしてその分値段を下げた方が良かったのでは?

ストーリーは、結構難しそうなことを言ったりするが、実際はたいしたことはない。
発売2ヶ月前に、一作目がPSで追加シナリオを付けて移植発売されたが、それとの思わせぶりな関連性などストーリー面で期待している人はがっかりする水準だろう。

高い映像技術、大人びた音楽、整合性の取れた描写、そして肝となるゲームシステムと、高く評価出来る作品なのだが、
画面の見づらさなど致命的な欠陥も多く、もっと頑張って欲しい。勿論面白い作品に代わりはないが。

数少ないS.RPGのなかでも本格派を追求した良作。





[2005/10/05]
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