新約聖剣伝説


対応機種ゲームボーイアドバンス
発売日2003/08/29
価格5800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2003 SQUARE ENIX / BROWNIE BROWN
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隠れた名作と長く称されてきたGB用ゲームソフト「聖剣伝説」一作目が華々しくフルモデルチェンジ。
定評あるストーリーを中心に、今風にリニューアルされた作風に期待が高まるところだ。

元々はGB停滞期に出た作品だけあって出荷数が少ないらしく、なかなか中古屋にも並ばず、入手困難なタイトルであった。
さらに、当時の注目はSFCにうつりつつあったこともあり、なかなか目に留まる機会も乏しく、体験したプレイヤーは少ないのではないだろうか。

たしか、オリジナル版ではチョコボが出てきた覚えがあるのだが、GBA版では出てこない。
アイテム名称その他もだいぶ違っており、SFC以降の聖剣伝説に合わせたようだ。

それ以外の要素もかなり大胆に変更されており、大筋の原案を除いては別物である。

メインの開発者がこれの前にFF11の制作に携わっていたらしく、それを意識したイベントやシステムが多く用意されている。
PS版にもあった武具の合成強化や、豊富に用意された町中でのサブクエストがそれだ。
ただ、これだけ凝ったシステムになっているのに、根本的な土台が薄っぺらいので、生かし切れてないのが残念である。
なんだか余計な項目が沢山あるだけにしか感じられないのだ。
敵の探知能力に嗅覚、視覚、聴覚といったFF11にあった要素を持ってきているが、はっきりいって今作では無意味。

武器の種類もちょっと多すぎると思う。叩、斬、突の3種類の攻撃属性があるが、それに対して武器は10種近くある。
敵によって使い分けないとダメージをさっぱり与えられないので、その都度切り替える必要があるが、多すぎて選択する時混乱する。
コマンドのアイコンも見分けがつきにくく、結構イライラする。

あと、メニュー周りを中心としたインターフェースの悪さが非常に気になる。
やたら選択項目があるせいで、階層が深くあって、何度かコマンドカテゴリを選択しないと目的のものにたどり着けない。
とにかくメニューを開かざるを得ない機会が多いのである。煩わしいので何とかして欲しい。
武器の選択とかは、セガ「シャイニングソウル」では、ショートカット機能があってそれぞれ3つまでアイテムと武器を別々に設定出来たのだけども、
あれを見習って欲しかった。
一応、アクションRPGなのだから、テンポを優先して引っ掛からないようにする工夫をすべき。

せっかくサブイベントなどの寄り道要素が沢山用意されているのに、強制イベントが多く、ラストダンジョンに入ってしまうと外に出られなくなってしまう。これは大きなマイナスポイントである。
おまけにセーブデータも2つしかない少なさ。主人公が2人から選べるのを考えると明らかに足りない。
他にも、サボテン日記の更新が何度もサボテンハウスを出入りしないと追加されていかないという考えられないような凡ミスが多くあって、作りの粗っぽさを感じる。

アクションの部分は、まあ相変わらず適当な作りだ。
アニメパターンのぎこちなさや当たり判定の滅茶苦茶さは、シリーズ伝統でもあるので、多少は大目に見るが、育成の自由度を広げすぎた収拾が付けられなかったのか
ボス戦でハマリ状態に陥らないようにするために、ゆるく作られていて、ごり押しでクリア出来てしまうあっけなさが気になった。

ただ、グラフィックをはじめとする技術的な部分のクオリティはかなり高く、特に今時のゲームではなかなか拝めないほどのドット絵の綺麗さには感心する。
画面上のキャラクター及びオブジェの表示がたまに崩れかかったりするのだが、どうもかなりハード的に無理をしているようだ。

評判の高いストーリーは今回話によるとかなり改悪されているようだが、それでもそこそこ楽しめる。良くできている。
しかし残念ながら、ゲーム的に手荒なところが多く見られるので、疑問符を浮かべざるを得ない出来ではあるが。

開発が元々聖剣を作っていたスタッフが離脱して設立したブラウニーブラウンという会社で、そこが作った「マジカルバケーション」のテイストがだいぶ入っていて、
テキスト関係が壊れ気味だったり、悪ノリしてたりするのは、合間に彼らの間に何があったのかちょっと心配になった。

丁寧に作れば良作になったのに…。





[2004/05/06-2005/12/05]
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