PCエンジンで発売され、高い評価を得た超人気RPG天外魔境2が ゲームキューブ(プレイステーション2)で装いも新たに復活。 天外3の開発が再スタートしたことに合わせての発売となった。 (残念ながらGC版の開発は中止されPS2に一本化されてしまったが) 本作はリメイク移植という体裁を取っているのだが、 経験者にも、新規のプレイヤーにも中途半端な印象を与える 内容になってしまった。 最大の失敗は4800円という新作にしては低価格での発売によると思うのだが。 新規のファンを獲得するには もっと映像面で力を入れるべきだったし、 経験者を満足させるには、あまりにもゲームバランスを変えすぎた。 つまり、どっち向きに作るかがはっきりしなかったために、 イマイチなリメイクになってしまったのである。 フィールドがポリゴン化されたのはいいが、 3D化した恩恵を全然生かせておらず、 例えば、イベントや一定の場所などで立体的な構造を見せるような カメラワークで派手に動いたりはせず、 ずっと見下ろし型で固定だし、 ドラクエ7のように、手前の障害物が視界を遮ってしまう初歩的なポカや 町では出入り口が分かり辛くなるという苦しい失態も目立つ。 そもそも元となるゲームが2Dなのだから、マップでの仕掛けで3Dっぽさっていうのは無い。 多階層に及ぶギミックはあることはあるのだが、マップの構成を工夫して繋げたりしないで、 ワンフロアごとに切り替わるようにオリジナルに準じているので、 仕掛けそのものが目新しくても旧世代的に映ってしまう。 テクスチャの張りもドリームキャストのようなクオリティで どうにも地味で弱い。 肝心のイベントでは、ポリゴンではなく、 PC-E時代のビジュアルシーンで展開するので、 やはりここでもポリゴンにした意味が薄れる。 かえって、3Dフィールドとのギャップが虚しく感じられてしまう。 一部のイベントではアニメパターンを増やしてムービーにしたりしているようだが、 やはりPC-Eのクオリティのままで、現行機でやろうとするとだいぶん貧相に映ってしまう。 (PS/SSのときメモもそうだが、PC-Eだと綺麗に映る絵も、それ以降のハードに持ってくると 解像度や発色の関係で想像以上に見栄えが悪くなってしまうようだ) ゲームバランスは、今風のユーザーに合わせる形でかなり下げられたのだが、 これが戦闘の単調化に拍車をかけてしまい、 新規のプレイヤーには、「ああ、ここら辺はやっぱり昔のゲームか」と 思われてしまい、 経験者には「違う!」とダメ出しを食らう、最悪の位置に持っていってしまったと思う。 元作が高い評価を誇る一つの理由として「絶妙なゲームバランス」も挙げられていたから ここをいじってしまうのは間違いだった。 ローディングは本当に快適で、わりかし切り替えの多いゲームなのだが 待たされずに遊ぶことが出来る。 それはよいのだが、戦闘時のエフェクトが異常に冗長で まともに見ていたら全然ゲームが進まない。 これを分かっているのか、エフェクトカットをすることが出来るようになっていて この機能を使うと劇的にテンポ良く遊ぶことが出来る。 反面、ダメージ表記から何から何まで全てをすっ飛ばしてしまうので 淡々とした展開になってしまう。 こういう方法でしか解決出来なかったのかと、心底がっかり。 トラック再生の音楽は途切れることなくループするようになったが、 内蔵音源のアレンジや効果音周りは非常に安っぽく残念でならない。 強いて言えば武具屋で装備品の買い換えをする際に 装備中の物との増減が即座に参照出来る今風の仕様に変わっているのは 良い改善点であると言える(当然と言われちゃあ当然だが) リメイクに際して、現在の倫理基準に当てはめて 不適切な描写は軒並みカットされており、時代を感じると共に そんなマイルドさにまた物足りなさを感じてしまった。 本作は、昔良かったと言われていた物を 今に伝えるところに一番のウエイトがかかっていたと思うのだが、 もう少し頑張って再現して欲しかった。