グラディウス5


対応機種プレイステーション2
発売日2004/07/22
価格6980円
発売元コナミ

(c)1985 2004 KONAMI / Konami Computer Entertainment Tokyo
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コナミの看板2D横スクロールシューティング「グラディウス」のナンバリングタイトル5作目は、シリーズとしては初の家庭用オリジナルでの登場だ(ただし外伝などで家庭用オリジナルで出てたことはある)。
開発は、「レイディアントシルバーガン」や「斑鳩」といった数々の傑作STGを世に出してきたトレジャーが担当。コナミとトレジャーの化学反応でどのようなゲームへと変貌を遂げるか!?

全体的に「グラディウス」はこうでなくてはならないという既成概念をぶち壊す作りが特徴的で、5作目にしてシリーズの殻を上手に打ち壊して、かつ、上手に新しい風を取り入れている。
シリーズでおなじみの要素を撤廃し、新システムの導入に積極的で、ともすれば「グラディウスらしくない」とそっぽを向かれかねない変革を行なっているが、そこはさすが元コナミのトレジャー、「グラディウス」が何たるかをわかっていることもあり、全くずれた方向へと向かっていない。
それどころか、色々新しいことをやっているんだけど、妙な安定感があり、全く外さない作りとなっているのだ。このバランス感覚は、実にすごいと唸らざるを得ないところだろう。

まず大きな特徴としてあげられるのが「オプションコントロール」システムである。
R1ボタンを押すことで、オプションの挙動をコントロールすることができる。コントロールの種類は武装によって異なり、オプションの位置を固定したり、オプションのショット角度を変えるなど4種類が用意されていて、それぞれ性能や使い勝手が大きく異なる。
これを駆使してゲームを進める必要がある作りとなっていて、シンプルなシステムでありながら従来の作品とは全く異なる駆け引きや戦略性が生まれている。

また、ゲームとしては、弾幕STGの色が更に濃くなっていて、これは人によって好みが分かれる可能性はあるが、概ね成功していると思う。

トレジャーらしい、良い意味で統一感のないステージ構成は健在で、各ステージ個性があるしメリハリの効いた作りになっていて、完成度が高い。
家庭用STGでありがちな、チンタラした部分が少なく、わりかしテンポよく進行するのも好印象。ただ、ゲームのボリュームとしては長大すぎる気はする。気合の裏返しとも取れるが。
難易度は絶望感を味わうほど高くマニアックな仕上がりとなっているが、何度もプレイすれば必ず上達の実感を得られる絶妙な作りになっていて、バランスがとても良い。
今作は家庭用オリジナルということで、難易度的には易しくなって、物足りなくなる危険性がはらんでいたが、どちらかと言うとアーケードライクなバランスになっていて、マニアにも安心といったところだ。

かといって、STGに自信のない人への配慮も忘れておらず、フリープレイではなく最初は3クレジット設定であるものの、プレイ時間が1時間経過するごとに1クレジットずつ増えていきいずれはフリープレイになる仕組みが入っているので、下手な人でもいつかはクリアできる。

それから、今作は「グラディウス」でありながら、いわゆる戻り復活ではなく、沙羅曼蛇と同様のその場復活になっている。一応、コンフィグで戻り復活にすることもできるが、初期設定はその場復活になっている。
この設定には賛否が大いに分かれるところだと思うが、選択制にしたのは正解だと言えるだろう。
この辺も、実質1機で終わりと言うシビアなシステムになっていた「グラディウス」の伝統をうまく破壊してくれたとあえて拍手を送りたい。

グラフィックはすべてポリゴンで描かれているが、あまり3Dを活かしたカメラワークを取ったりしない。が、ポリゴンでないと表現できないオブジェクトや挙動を見せるし、ステージのイントロなどで3Dを上手に使った演出がさりげなく行われているなど、使い方をわきまえている。あまり3Dの立体感を押し付けるようなところはなく、実にニクい作りとなっている。

気になる点を述べるとするならば、このゲームは当然のことながらSTG好き向けに作られている。
そのため、若干の敷居の高さが存在していることは確かだ。
オプションコントロールを駆使することを前提としたゲームバランスはマニアックな仕上がりだし、ステージ構成も癖が強くちょっとやそっとで攻略できる代物ではない。

かつて、「グラディウス」が生まれた頃のSTGは、もっと万人が気軽に楽しめるようなものであったが、STGは進化の過程で、弾幕化や難度の増加によって、一部の人向けの物となっていってしまった。

「グラディウス」は今作も昔の作品も、やりこまなければ面白さのわからないゲームだ。そこだけは間違いなく不変のものだ。
何度も挑戦すれば着実に腕が上達していくのが肌で感じられるし、マニアックなゲームシステムやバランスにも体が慣れ、次第にうまく攻略できるようになっていく。
そのSTGの面白さは、今も昔も不変のものである。

確かに敷居の高さはそれなりにある、しかし、決して入口は狭くない。昔遊んでいた“あの”グラディウスが進化して帰ってきたという事実だけがそこにはある。

「グラディウス」の新たな可能性を感じさせてくれる作品。





[2019/01/23]
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