.hack//G.U. Vol.3 歩くような速さで


対応機種プレイステーション2
発売日2007/01/18
価格6800円
発売元バンダイナムコゲームス

(c)2007 NBGI / CyberConnect2 / .hack Conglomerate
戻る

クライマックスを迎え、盛り上がりも加速する.hack//G.U.最終章。
もともと年末商戦に当て込んで12月発売予定だったものだが、やはり間に4ヶ月無いときついらしく、翌月に延期して発売された。

ゲーム内容は、これまでと同じもので、クリアした時点での感想も、やはりVol.1とVol.2で既に指摘したものと同じである。

システム面での変更点では、アイテム倉庫のアイテムを中に入れたまま売却出来るコマンドが追加されたことと、開始直後から倉庫の保管数を増加出来るコマンドが用意されていること。
しかし、キャラクターのインフレにあわせて、強力な消費アイテムも追加されているので、特に手持ちで持ち歩けるアイテムがいっぱいになりやすいのは相変わらず。
回復アイテムなんかは、セガ「ファンタシースターオンライン」のように、難易度ごとに効果が変えるような方法なんかもあるので、そういうやり方も検討して欲しかった。
サーバー(場所)ごとに、敵の強さが分けられているようなので、難しくないと思うのだが。

ほかの改善点で言えば、ストーリー進行におうじて、パーティ編成の不自由さが指摘されていたが、今回はその部分は最低限に抑えられていて、割と好きに編成出来るようになっている。

ゲームバランスは、簡単すぎるという意見があったのか、ザコ敵も結構いやらしい攻撃をするようになってきた。スキルの付け替えなどで対応策もしっかりあるので、意地悪ではない。
でも、開始直後の想定レベルが高すぎたような気がする。
Vol.2データをコンバートしてはじめたのだが、レベル上げをしないと全く歯が立たなかった。
Lv85前後でクリアしたのだが、この状態だとVol.3を始めた時点で、まったく先に進めず一時間ほど経験値稼ぎをしないと駄目だった。
Vol.2のエリアと見比べてみたのだが、やはりシナリオ上訪れるマップとだいぶ開きがあった。

Vol.2で追加された神威覚醒という必殺技がよほど評判が悪かったらしく、別のものにすり替えられている。
ゲージを目押しで2回止めて、次にボタン連打、最後は長い演出シーンと、3本柱の冗長な演出は、相当な不評を買ったようだ。
今回も、効果としては大ダメージを与えるという同じものなのだが、前2つの必殺技と比べてインチキくさい。
もうちょっと気の利いた面白いものを考えてくれても良かったと思う。

主人公の装備出来る武器が増えるイベントが起こる。もったいないのが、このイベントの起こる時期で、話も佳境に入った段階で、ゲームを盛り上げるには十分な役割だったのだが、いかんせん遅すぎる。
あと、相変わらず大剣が際だって強い印象があり、今回追加された双銃(二丁拳銃)は、その印象を払拭させてくれる要素かと期待したが、残念ながらあまり使える印象は無かった。

ストーリーは、これまで引っ張ってきた伏線全てに決着を付ける最終巻だけに、かなりの盛り上がりを見せる。
Vol.1でも書いたが、少年漫画のようなベタな展開を地でいくお約束の連続であることがわかっていながらも、思わずノせられてしまう(その期待を裏切らないところも理由の一つだろうと思う)。

登場キャラクターもかなりの人数になるが、ちゃんと一人一人にエピソードを付けて、存在感をアピールしている。いまいち出来てない人もいたが、頑張っていると言える。

ただ一つの問題は、ストーリーがリンクしているアニメ版がつまらなすぎたことだ。これは、「.hack//」プロジェクト最大の汚点であるといえる。

舞台が10年後の日本(世界)ということで、んなアホな!とつっこみたくなる部分もある。設定を思いっきりとばして、100年後ぐらいにしてSFチックにすれば、ハッタリを納得出来る人間ももっと増えたかもしれない。

ゲームクリア後も、おまけダンジョンやイベントがこれまでも用意されていたが、今作では、クリア後に新たに仲間になってくれるキャラやイベントなど、サービス精神旺盛で、長持ちするゲームになっている。
Vol.2でも、ロストウェポン集めみたいな要素があったが、Vol.3になってから取ればいいやなどという、横着な反応しか持てなかったが、ゲームは今回で打ち止めなので、気の済むまで遊ぶことが出来る。

ストーリーはとても面白いのだが、ゲームはまだ今一歩な感があって、それをレベル上げというシナリオ的な努力で埋めてきていたのが、今作になるとみんな高レベルのスーパーキャラなので、戦闘がどうにも作業がちになってしまっていたのが惜しかった。
しかし全体的に高いレベルでまとまったゲームなのは確か。

とても良くできた佳作。





[2007/01/21]
戻る

inserted by FC2 system