緋王伝 魔物達との誓い


対応機種スーパーファミコン
発売日1994/02/11
価格11800円
発売元日本テレネット

(c)1994 TELENET JAPAN / WOLFTEAM
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「緋王伝」は、ウルフチームがPC98向けに開発した、クォータービュー視点が特徴的なリアルタイム・ウォー・シミュレーションゲーム。それをスーパーファミコン向けにアレンジして移植したものである。
魔物たちをしたがえ、4人1部隊で構成されるパーティに的確な指示を与え、敵部隊を撃破していくシミュレーションゲームとなっている。
原作は、フルマウスオペレーションによる「マルチウィンドウで展開する白熱のリアルタイムバトル」が売りの、バリバリのPC向けに作られたゲーム。移植のハードルは高そうだが、果たして完成度は如何程か!?

先に移植度について述べておくと、どうやら、スーパーファミコン版は、パソコン版とシステム周りからステージ構成に至るまでだいぶ作りが異なっているらしく、ほとんど「別物」と考えて良さそうである。
PC版だと、マップ上にいろんなギミックが用意されていたり、部隊の人数までが異なるようだ。操作性は悪くなく、複数の部隊にマルチウィンドウを駆使して快適に指示出しが出来、リアルタイムシミュレーションとしても高い完成度を誇っているようである。

さて、それを踏まえてのスーパーファミコン版。やはりPC版と同じ内容というわけにはいかないらしく、それを逆手に取って、独自アレンジをだいぶ加えているようだ。

まず、操作性について。SFCのマウス対応ということもあり、インターフェイスはマウス基準となっているが、わざわざマウスを用意するほどでもない、パッド操作でもそれなりに快適に遊べるよう対応されている。
ただ、少々癖のある操作になっているので、慣れるまでは辛いが、それでも、パッドで十分と言える。
マウスを持っているユーザーの数、割合を考えると、ここら辺、パッド操作を基準に振り切っちゃってもいいんじゃないか?とも思うのだが。マウス操作が主体となって組み立てられているせいか、部隊の装備品の付替えなど煩雑な操作が目立っている。
そういった難点を考えると、マウス、パッド両対応を目指すよりかは、パッド操作に割り切ってしまったほうが、全体の完成度はもっと上がったような気がする。SFCのパッドはボタンの数も多いので下手するとマウスよりも快適と言えるかもしれない。
パッド操作で困る局面は特になかった。

PC版で売りとなっていたマルチウィンドウはしっかり搭載。ただしマップウィンドウ1画面を分割させると言った程度の再現度である。残念ながらSFCの解像度を考えると、とりあえず付けたという範疇を出ない代物であり、使うことは殆ど無いだろう。
(軽い処理でゴリゴリウィンドウが切り替わる様はSFCのハードスペックを考えるとたしかに素晴らしいのだが)
そもそも、好きなタイミングで時間を止めることが出来るので、使わないとどうしても困るという場面がまずなく、また、ゲームの作りとしても困らせないように作られている。
この機能、PC版からの移植に際して、雑誌などでのウリ文句として付けられたものなのではないだろうか。

ゲームとしての難易度は比較的高めで、特にゲーム中盤以降はかなり難しく、挫折した人も多そうである。ステージ開始時に戦闘不能状態の味方が復活するぐらいやっても良かったかもしれない。
編成や装備品を工夫する必要があり、また、厳選した上でも、ゲーム中のAIの動きが悪いと戦況が傾くことも珍しくなく、こまめにセーブしてうまくいかなかったらリセットの嵐になる。
ちょっと、バランスがシビア過ぎるきらいがある。

気になる点と言ったらゲーム終盤のバランスがきついぐらいで、ゲーム全体に漂う独特の雰囲気はいいし、SFCにしてはビジュアルシーンも多めで(PC版には劣るだろうけども)デモシーンが見せ場で流れて気持ち良い。
あと、音楽がすごくいい。良くSFCの音源でここまでクリアな音色を鳴らせるものだと、思わず感心してしまった。
多分、PC版から結構端折られたんだろうけども、ストーリーも小粒ながら中々良い味を出している。
全体的にはSFCの購買層向けにうまくアレンジ移植されているのだけれども、操作形態がマウス操作に引っ張られていることが悪印象を与えてしまっているように思う。そこが惜しい。

ROM向けにアレンジしきれてない部分はあるものの、これはこれで悪くない。





[2018/08/23]
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